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ひらめきの月曜日
 
「ひじきの二度めし」に挑戦

こんなハズでは…

いくらひじきを洗っても、強烈な胃腸薬の匂いが微かに香る。「さすが強力わかもと」と実感させられた。

でも、匂いくらいなんだというのだ。これくらいでガッカリしてるようなら「ひじきの二度めし」を作る資格がないというものだろう。


ひじき以外の匂いがどうしても消えません
見た目はまったく変わらず。

しかし、どうも様子がおかしい。予想では、この段階で「うわ、こんなにひじきが柔らかくなってるなんて!」と驚きの言葉を発しているハズなのだ。

それなのに見た目も触り心地も、どこにも変化らしいものが見えない。やはり、ひじきは米のように簡単には消化してくれないのだろうか。

不安な気持ちのまま、煮る作業へと移る。2つの鍋で、同じ時間、同量の調味料になることだけに心を砕き、ひじきの煮物が完成した。ちなみに具は豚とネギのみ。


普通ひじき。
胃腸薬ひじき。

煮たところで違いなど生じるハズもなく、見た目はどちらも全く一緒である。ただし、匂いが少しだけ違う。

胃腸薬ひじきからは、なんだか複雑な匂いが漂ってます。


普通ひじき。普通においしい。
胃腸薬ひじき。…まぁ、匂いは気にならない。

経緯を知らない人に食べさせたなら、たぶん「んー、あんまり違いは感じないかな」と言うだろう。

…いや待て、おかしい。こんな感想を言うために作ったんじゃない。ここは「さすが向田さん、ひじきの二度めしっておいしいんだ!」と感激する場面じゃないか。

なのに、感想が「匂いは気にならない」ってのはどういうことだ。


諦めきれず、乾燥ひじきでも実験。
ここでも同様に対比物を用意。
今度は具なしでシンプルに味わおう。
悲しいかな、やはり違いは見えず。

少しでも違いがあるんじゃないかと、何度も何度も食べ較べた。乾燥したものを胃腸薬で戻したのだから、生のひじきより違いが生じやすいかと思ったのだが、やはり虚しい結果に終わった。

あ、ちなみに匂いは、初回の何倍も時間をかけて洗ったせいか、今回はほとんど気になりませんでした。


どれも普通においしい、という結果に。

夢は夢のまま

いま、私は2つのことを思っている。

ひとつは「ひじきのように硬い物の場合、胃腸薬ごときでは消化されないのか。消化と体内をスルーすることはやはり決定的になにかが違うのか」ということ。

そしてもうひとつは「夢は夢のまま、終わらせた方がいい場合もある」ということだ。

実験方法が間違っていたとはいえ、今回のことで私はもう「ひじきの二度めし」と聞いても心が躍らなくなることだろう。

「いつか食べてみたいなぁ」という食べ物があることは、実は幸せなことなのかもしれない。

最終的に、4種類全部を混ぜて煮直しました。これが一番うまかった。

 
 
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