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フェティッシュの火曜日
 
電線の上流へ

道を阻むは線路やら橋やら

発電所を電線で辿るたび、主要幹線で電線を見失う以上にやっかいだったのが、橋や線路の存在。たとえばA地区からB地区に移動する際に、その合間に橋や線路があると、その2地区をまたがってる電線の存在が意外と見あたらないのだ。

電車の電線と、電力会社の電線って違うんだなぁ。当たり前だけど。自転車で行きつ帰りつ電線の通り道を探しまくり、先へ先へ。目指すは品川区。


道挟んで右が線路。渡りたいけど電線がない。

低い電線は危ないから、橋の下にないのも分かるが。

見あたらないといってもちょっと戻って回り道すればいいだけの話なのだが、あらためて車以上に張りめぐらされた電線の数に驚かされる。実際は地下にもあったりするのでこれだけではないのだろうが。

始める前は途中で大きい鉄塔なんかにぶつかり、それを辿っていけばいいのかな?と思っていたけれど、意外とそういう展開にはならず。鉄塔はあったけども、電線の道とはまた別のもののよう。一般道と高速みたいなもんか。


鉄塔はまた別の電線ストリート。

橋や電車の妨害に耐えながらも自転車を右往左往させてなんとか品川区まで到着。主要に使った山手通りはほとんど電線沿いたったのもあって、3,4カ所行きつ戻りつした程度で予想以上にすんなりと品川付近まで来ることはできた。

とはいいつつ、途中で家の合間に走っててどうにも電線をたどれず「たぶんあそこからあそこに繋がってるよな‥」と願望込みのルートになってる所もあり。猫か雀なきゃ完全踏破は無理ですわ。と言い訳少々。


約11km、電線をたどってやってきました。
潮の匂い、そしてクレーン。

海の近くとあって、この辺りの難関は橋。どでかい川幅だと電線が張られてるのは期待できないし、回り道できたとしても相当また別の橋までと、ぐるりと遠回りしなくてはいけなくなる。


終盤の難関、新東海橋。
橋の上、かぼそい電線がオレとお前をつなぐ。

品川ふ頭付近も比較的整理された街並みで、電線もあまりゴチャっとはしてない。いつ電線が途切れるか‥なんか面クリア型の迷路ゲームでもしてるような気分だ。しかも最終面。そしてゴールがついに目の前に!


あと1kmくらいで発電所のはず。
この橋を渡ればすぐ発電所!

目指す火力発電所は品川ふ頭すぐの場所。電線をさかのぼる旅もこの橋を越えてしまえば、目の前のはず。そこにつながる電線を見つければエンドロールだ!天王洲アイル駅を横目に見て、電線をたどって橋を見てみると‥


橋に着いた!でも電線が‥ないよ?

脇を向いても見あたらない。
電灯や信号はあるんだけどなぁ。

駅手前の電線を最後に、橋の先に行く電線ルートがどこにもないのだ。全部地下化されてしまってるのか。

実際、目の前にあるのはこれまで通ってきた道にはなかった大きな川。たしかに電線を張るより地下に電線を通した方が安全というもの。とはいえ、ホントにないのか!あと数百メートルなのに‥。


川見回してもどこにも通ってないなぁ、電線。

橋手前のこの電線から先にはつながってない様子。
橋の向いにはいっぱいあるのに。

近所の地図より。まさにあと一歩!

明大前駅からここまで自転車で約2時間(寄り道込み)。最後、ダッシュで走れば一分足らずの距離が届かなかったのは残念だけども、電気って人間の血管のように街に張り巡らされ、自分ちに来てるんだなぁ、というのが実感できた。こんな電線ばかり見て歩くことももうないだろう。

もし電気が自転車と同じ速度だったら、2時間かけてウチまでやってきてるのだ。そう思うと「わざわざお越しいただいてすいませんねぇ、」という気分になる。冷たい茶でもどうですか、座布団くらい出しますよ?そのくらいのもてなし気分で今後は使っていこうか。まだクーラーのお世話になる季節だしね。


君の家までつながってるんだぜ

発電所の向い、お台場の電気もここ生まれ。

デンセンマンてのもあったね

そういえば70年代に小松政夫・伊東四朗と共に大ブームを巻き起こした「デンセンマン」は「遠くニューギニアの火力発電所から100万ボルトの電線をひた走り」日本にやって来たんだったなぁ。電線の中に入れる能力があったのか、デンセンマン。

もはや電話は携帯が主流だけど、電線はどんな家でも通ってる。電気を通って行けたら最高だなぁ、好きなあの子の家でもひとっ飛び。感電するほどロマンティックだぜ、電線。


 
 
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