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ちしきの金曜日
 
狛犬の鼻の拓を採る

■大山、初の作品


こんなかんじか

吉野さんにおだてられながら描いたが、やっぱりまだまだだ。まだまだ、っていうか今後続けていくのかどうか疑問だけど。

「狛犬の鑑賞収集っていったら、ふつう写真撮りますよね。なんで吉野さんは写真じゃなくて拓とイラストなのか不思議に思ってたんですけど、自分でやってみるとなんでだかよく分かりますね」
「そうでしょ!」
「ひさしぶりに絵なんて描きましたけど、絵を描くって形をかなりじっくりと見ますものね。描く前と描き終わった今では狛犬の見え方が全然違いますねえ」
「そうなんですよ。それに、拓を採るときには狛犬に触れるでしょ。そうするとその石の質感とか量感とかがよく分かるんですよ。これが大事」

ぼくは「味がある」とかあんまり信じてないけど、これはちょっとした感動体験だった。これは味じゃなくてより狛犬を体験するための手段なのだ。胴回り計測はどうかとおもうが。団地が拓に採れないのが残念だ。


ここでは、狛犬のまわりでこどもたちが遊んでた。この中から第二の啄木が!

 

■かっこいい狛犬

この日は、朝から晩まで吉野さんと狛犬めぐりを楽しんだのだが、そろそろ紙面が尽きてきたのでそのすべてを紹介することができない。最後に今回見た中でいちばんかっこよかった狛犬を紹介しよう。


この狛犬さんと
この狛犬さん
台座には、無邪気に戯れる子どもの狛犬さんの姿が描かれている。かわいい。

台座の字を見るといろいろなことが分かるとか

「これはいい姿してますね。ぼく、これ好きです」
「いいですよね、これ。台座に刻まれた内容からすると江戸時代に作られたものですね。かなり古い」
「へー」
「最初に見た狛犬さん、実はあれは『岡崎型』と呼ばれるもので、大量生産品なんですよ」
「へー!そうなんですか」
「いかにも狛犬、っていう形だったでしょ。あれは大正時代に愛知県の岡崎で作られたデザインで、その後日本中を席巻したものなんです。一般の人が思い浮かべる狛犬って、あれですよね」
「正直、あれは『普通』であまり面白味がなかったです」
「その点、この狛犬はいいですよー。石工のノミの跡が実によいです」


最初に紹介したもの。岡崎型。

 

■かっこいいのだがこれも拓が採れない

「だけど、これも拓は採れないんです」
「なんでですか?」
「よく見てください。かなり傷んでるでしょ」
「ほんとだ」
「風雨にさらされて傷んでますし、もともと脆い石でできてるんです。こういう狛犬さんの鼻の拓を採ろうとすると、欠けたりしちゃいますから」
「かっこいいのに、残念ですね」


よく見るとあちこち欠けてたりヒビが入っていたりと、かなり損傷が激しい

だから、そのフキダシは。なんでそんなに準備万端なんですか。

拓はあきらめて、記念撮影

岡崎型の狛犬さんの拓も挑戦しました。やっぱりこれは楽しい趣味だよ

狛犬って奥が深くて、趣味としている人や研究者もけっこういる。だけど吉野さんがすばらしいところは小難しいことはおいといて、とにかくもっと狛犬さんを見てみようぜ、っていうそのスタンスにある。鼻の拓を採るっていう一見エキセントリックな行為も、実はそのための手段なのだと思った。

吉野さん、目下全国の山車を見て回った成果を飛び出す絵本にしようとしているとのこと。なんだかすごいひとだ。


 
 
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