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ちしきの金曜日
 
心霊写真の保管場所を訪ねて

 

訪問記

後日、実際に保管場所を見せてくれるという読者の方のお宅にお邪魔させてもらうことにした。

一人目は、神奈川県にお住まいのマチューさんだ。


この日、デジカメの日付機能が故障。

神奈川県某所

まさか実物を拝めるとは思ってもみなかった。棚なんだろうか。引き出しなんだろうか。いや、やはり棚か。白い服を着た髪の長い棚が…、バックミラーを見るとそこにはずぶ濡れの棚が…、棚の形をめいめい思い浮かべていると、後ろで大きな音が鳴った。雑踏の中、それは誰かが叫んだ声だったのか、不思議と印象に残らない音だった。

 

マチューさん。家では心霊写真を保管中。

収納の様子を描いてもらう。右上に横顔のようなものが。

マチューさんと合流

マチューさんは朗らかな方で、こんな方が心霊写真の入った棚を持っているのかと意外だった。しかし案外現実はそういうものかもしれないという妙な説得力もなくはない。

マチューさん:友達と鎌倉に行ったときの写真です。大仏の写真を3枚撮ったのですが、そのうち一枚に、大仏の肩の上辺りに何か黒いものが写っているんです。ちょうど大仏の頭についているツブツブがポロリと取れ、それが宙に浮いているような感じです。

大北:保管はやっぱりあれですか?棚ですか?

マチューさん:クローゼットの奥の、写真箱の中に入っています。箱は金属の箱で、写真は全部そこに入れています。特にアルバムには入っていません。

箱か!しかも金属とは、かなりミステリアスな。アルバムにも入れずに、金属の箱に。きっと戦時中に大事なドロップを少女が入れた箱を掘り起こした、とかそんないわくつきのものなんだろう。そして、いよいよマチューさんの家に案内していただく。


 

家が顔に見える
穴かがり…

いよいよこの先に、心霊写真の保管場所が


部屋に到着

マチューさんの整理の行き届いた部屋には、さまざまなマスクや人形が置かれていた。聞けば「顔が好き」だという。顔のついたものを集めるのが趣味なのだそうだ。顔か。表向きは顔を集めながらこっそりと心霊写真を保管するマチューさん。マチューさんの人物像が何だかよく分からなくなってきたが、実際は心優しい良識ある人だ。


ずらり顔

 

ついに保管場所とご対面

いよいよ問題のクローゼットを見せていただく。

壁一面が大容量のクローゼットになっており、この部屋の持つ収納力に圧倒される。なるほど、これほどまでに収納できれば、中に心霊写真のひとつやふたつ入っていてもおかしくない。「壁一面のクローゼットを見れば中に心霊写真と思え」そんな格言を今日はひとつ提案させていただこう。


上段奥

手前の箱をどけると…これが問題の箱だ!

 

金属質の箱。

缶の中には

ルマンドー!

箱の中へとさらに迫る

これか!中を一目見て、歓声が上がった。金属の箱とは、使い込まれた感じの缶だった。実寸は23cm*23cm*14.5cm。この中にどっさりと写真が入っている。「多分おかきが入ってたのかな…」というので素材はスチールであろう。昔はおかき、今心霊。ここまでダイナミックな変容を遂げたのは缶としても缶冥利につきる思いだったろう。

心霊写真は、封筒の中に入っていた。実家に住んでいたころ、すぐに人に見せられるようにと、封筒に入れてリビングの引き出しに入れていたそうだ。その名残で今もそのまま封筒に入っているのだと言う。封筒のサイズは15cm*9.5cm。ちょうど写真がすっぽり収まる大きさだ。なるほど、心霊写真といえど「ぴったりサイズ」は収納におけるキーワードか。勉強になる。

大北:他の写真と一緒に入れていますね

マチューさん:そうですね、特に恐ろしいような写真というわけではないので。どちらかというとこっけいというか、ともだちに見せて笑いが起きるような写真ですから。仲のいい友人にはだいたい見せましたよ。

大北:お寺で心霊写真を供養してくれるサービスもあったりしますが?

マチューさん: もう少し怖い感じの写真だったらいったでしょうね。でもこれは、もしかしたら心霊写真というよりも、UFOとかそういう類のものに近いかもしれません。

石川:では、今後この写真は…?

マチューさん:このままですね。改めて何か悪いことでもあれば、飾ったりするかもしれませんけど。何もなければこのままです。

マチューさんが所有している写真はおもしろい心霊写真なんだろうか。人に見せて楽しいもののようだ。こういう心霊写真ならば一家に一枚あってもよろこばしい。お茶請け代わりにそっと心霊写真を、というのもなかなか粋なおもてなしだろう。心霊写真でもお上がりやす。京都辺りでそんな風習があったりしないのだろうか。

マチューさん:せっかくですから写真、見ますか?

大北、石川:けっこうです。(怖いので)


次の目的地へ

この後、「ルマンドとバームロールの歌っていうのがあるんですけど聴きます?」とマチューさんから提案があり、三人スピーカーの前に正座してルマンドの歌を聴きながらルマンドを食べた。変わってるよなー、と素朴な感想を言いつつお部屋を後にし、我々は千葉へと飛んだ。



 

 
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