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ロマンの木曜日
 
ハモる天気予報

出来たか?ハモる天気予報

小林君から紹介を受けた松井秋彦先生は、CPJ(Contemporary Progressive Jazz)という独自のジャンル、コンセプトを掲げて活動する新主流異端派作曲家で、いくつものバンドを率いて多数のアルバムをリリースしている。ご自身の音楽活動の他に、「ミュージッククリニックJJ」という音楽スクールでは講師として、新感覚のジャズとクラシックを教えている。小林君はそのスクールの生徒だったのだ。

先生のお仕事が終わる夜11時、スクールにお邪魔して先生のお力をお借りする事になった。


ミュージッククリニックJJ(東京都世田谷区)
ミュージッククリニックJJ(東京都世田谷区)

松井秋彦先生
松井秋彦先生

「話し言葉に音程をつける訳ですけど、同じ言葉でも人によって色々な高低があるので、それを12半音にはめていくのは難しいですね」

先生はそう言いながらもピアノに向かい、天気予報の文面を口ずさみながら鍵盤を叩き始めた。天気予報を譜面化してくれるのだ。


天気予報を譜面に起す松井先生
天気予報を譜面に起す松井先生

「天気予報です」の部分を何度か試し、さらさらと譜面に音符を書込む先生。

「どうしても12半音にはめた瞬間に、話し言葉が音楽になってしまいますね」

やはり、一朝一夕でどうこうなるような話ではないらしい。時間をかければ面白い物になるかもしれませんが……、先生はそう言いながらも「天気予報です」の次のパートも譜面に起してくれている。


難航する採譜作業
難航する採譜作業

30分後、全予報の半分までの譜面化が終了した。


天気予報の譜面
天気予報の譜面

譜面化出来た文面は以下の部分だ。

「天気予報です。北上を続ける台風第9号は、明日未明から午後にかけて八丈島の南の海上を通過する見込みです」

これを先生に音符通りに話してもらい録音して、さらにハモリ部分も話してもらって録音、その2つの音源を重ね合わせる。そうすれば、天気予報のハモリが完成するはずだ。

ゴールは近いのか?

しかし、そんなに簡単な話ではなかった。この譜面通りに発声するには、少し時間が必要なのだそうだ。練習して発声出来るようになったとしても、2つのパートを別々に録音するため、それぞれのピッチが合うように調整するのが大変だという。

どうしたらいいでしょうか?


マイクを持つ松井先生
マイクを持つ松井先生

そこで先生から提案があった。僕が普通に天気予報を読み上げ、それに先生がハモリを加える。採譜通りの音程ではないが、その方がそれらしく聞こえるかもしれない、との事であった。

もちろん僕に異論などない。先生の言う通りにやってみた。


即席デュオ
即席デュオ

僕はなるべく低音を意識するように指示を受け、先生は高音でハモってくれた。何度か練習を重ねた結果、比較的上手く出来たと先生が認めたテイクが以下である。


ハモる天気予報(070906.mp3)


「ある意味、現代音楽的なアプローチとも言えますね」

と先生は今回の試みを評価してくれた。しかし、急なお願いだったので、先生が満足するような面白い物に仕上げていただくには時間が足りなかった。

もし、先生がまだ興味を持っていてくだされば、しゃべりにハモる、という挑戦を続けていきたい。

無理なお願いを快く引き受けてくれた松井先生に感謝の気持ちを込めて、ここで先生の新作を告知させて下さい。

CPJ(Contemporary Progressive Jazz)の松井秋彦がマルチの視点で出す、ベースとしてのリーダー作。「Jackpot : Jackpot」。11月にリリースです。

Jackpot : Jackpot
Jackpot : Jackpot

どうぞよろしくお願いします。

取材協力:ミュージッククリニックJJ




 
 
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