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ちしきの金曜日
 
東壁とマッカーサー

■こんなところでマッカーサーの名を聞くとは


もうじき取り壊されるという奥に見える建物で働いてきたという方と話をした
フェンスの脇、いたるところにたてられている再開発の案内看板

そもそもこの歯抜け地帯はなんなのだ ろうか。いたるところに立てられている再開発の内容を案内する看板には「環状第二号線 新橋・虎ノ門地区」とある。環状二号線?


国土交通省国土技術政策総合研究所のページ【こちら】より

調べてみたところ、環状二号線とは有明から神田佐久間町で昭和通りにぶつかる部分までの道路のことで、この歯抜け地帯はその一部だという。


看板に描かれていたものをもとに描いてみた。青い部分が道路予定地で歯抜け地帯(nifty地図より)

そして驚いたことに、この部分は通称「マッカーサー道路」と呼ばれているという。なんでマッカーサー?

 

■都市伝説


歯抜け地帯の様子。右が新橋、左が虎ノ門方面。この部分だけまるで谷底のようになっている。

この「マッカーサー道路」はなんと終戦直後1946年に計画されている。戦災復興都市計画のひとつ。それがいまだに完成していないというわけだ。「マッカーサーがつくるように指示した」という都市伝説があり、そこから「マッカーサー道路」と呼ばれているらしい。

ぼくも都市計画は勉強したので多少の知識があるが、そこから推測するにこのマッカーサーの指示というのは事実ではないだろう。というのも、当時の占領国側は戦後の都市計画にまったく冷ややかで、むしろ計画を却下してきたのだから。

上の写真を見ると、もともとあるまだ取り壊しされていない建物もそんなに背が高くないことが分かる。歯抜けにならずともここ一帯は周辺を高い建物にかこまれた谷底のような場所だった。これは道路が計画されていたため、60年あまりも「ここには3階建て以上の建物を建ててはダメ」という規制があったのだ。

 

■そして最後に杉浦さんの壁作品

今回のこの「マッカーサー道路」で杉浦さんが撮影した「壁絵画」の作品をご覧いただこう。すてき。ぼくにはこうは撮れないなあ。ちょっと嫉妬するよ。


クリックすると大きな画像を見ることができます。

手前の道路がかかる部分だけ低い建物になっている!

ちょっと気になるのが、上記地図左上の虎ノ門病院。敷地の一部が道路建設予定にかかっているが大丈夫だろうか。と思って見に行ったらなんとみごとに、その部分だけ背の低い建物になっていた。虎ノ門病院の形にはこんな秘密が隠されていたのだ。びっくり。

壁鑑賞が思わぬ勉強になった、今回の取材でした。壁がねえ。


 
 
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