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ひらめきの月曜日
 
オブラートで肉を包む

スープで茹でます

まずは、ただ丸めただけの肉団子から茹でてみよう。これはあくまで比較のためのスープだ。とは言え、普通のおいしさが約束されたスープでもある。とにかく失敗のしようがない。


なんの緊張感もなくドバドバと入れて、
火が通るのを待ちます。

はい。できました。

ま、どこからどう見ても「普通にひき肉を丸めて入れたんですね」としか言いようのない肉団子スープだ。


針生姜でも乗せたいところですな。

さあ、続けてオブラート肉団子を茹でよう。

平静を装ってはいるが、ものすごく緊張している。これほどまでに「どうなっちゃうんだろう?」と不安になる料理を作ったことが過去にあっただろうか。

オブラートがズル剥けになったり全部溶け出したりしたら、この企画はやっぱりボツにした方がいいんだろうな。「はい、ダメでしたー」で終わるのって、すごくイヤだもんな。うん。

意を決して、オブラート肉団子を鍋に入れる。
もうなるようになれ、という心境だった。


いきなり皿に張り付くオブラート。やーめーてー。
なんとかひっぺがして鍋に投入。

ドキドキしながら様子を見守る。とりあえず、鍋に入れた途端にオブラートが消えてなくなる、なんてことにはなってないようだ。

…と、少しだけ安堵しながら観察していたのだが、なにやら鍋の中がおかしなことになっていた。


なぜかプクーッとした泡が発生。
ほぼすべてに泡。まるでカエルの腹のように膨れている。

なんだなんだ。オブラート肉団子のゴールは「泡」だったのか? いや、でもこの程度の変化ならどうってことないし、残ってくれただけでもありがたい。

その泡も、肉に火が通る頃には消えてなくなった。


完成。お、お、お、オブラート残ってます。

包まさってる!(包まれてる、の意。北国の方言)
ほら!

3枚重ねが功を奏したようで、オブラート流出(もしくは溶解)という最悪の事態は回避された。

では、食べてみますよ。チュルンと喉を通ってくれれば非常にワンタンっぽいのだが…。


うわうわうわ。

すごい。ワンタンなんてもんじゃなかった。葛だ。これはまるで葛をまとわせた団子だ。しかも肉だスープだ、大変だ。

どれも面白いようにチュルンチュルンと喉を通り過ぎていく。まさかここまで喉越しのいい団子になるとは思ってもみなかった。しかも葛の部分に汁がたっぷり染みてて、それが肉にも伝わってきてて、ものすごくジューシーで、ふんわりしてて、いやもう、ちょっとあたふたするくらいおいしい。

オブラート、おそるべし。

興奮のあまり忘れそうになったが、ここで比較のために作った普通の肉団子も食べてみよう。


オブラートの後に食べると、なんといいますか、
もそもそしてます。

普通の肉団子のはずなのに、なぜか非常に荒々しく感じてしまった。ダイレクトに肉が舌に当たるせいだろうか。

そういえば今回の団子には片栗粉を全く入れなかった。あれは“つなぎ”の役割以外にも、肉をプルンとさせる効果、肉汁を出にくくする効果、肉をふっくらさせる効果等々あるのではなかったか。

ってことは、オブラート(原料:でんぷん)で包んだ肉団子がおいしかったのも、ちゃんとした理由あってのことだったのだ。単に「葛みたいだー。ビロビロだー」とはしゃいだだけではないのである。

捨てるくらいなら

通常、オブラートは薬を飲むことを前提として買うものだ。しかし私のように「なんで買ったんだっけ?」とか「間違えて多く買いすぎた」とか「使用期限が心配だ」という方が万が一いらっしゃいましたら、思い切って食べてしまうという手もアリだと思います。

ほんと、びっくりするほどチュルンとしますから。

皿についたオブラート。こうならないように、包んだらすぐに茹でましょう。

 
 
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