朝食後に休んでいると、どこからともなくチリンチリンという鈴の音が聞こえてきた。
クマ避けの鈴だろうか。誰かが村山古道を降りてくる。
今回、山に入って初めて会う登山客だ。
しばらくすると、初老の男性が林の中から姿を現した。
私は「こんにちは」と挨拶をし、村山から村山古道で登ってきた旨を話すと、
その人は「それはごくろうさまです」とこちらに名刺を差し出した。
その名刺には畠堀操八とあった。
畠堀……操八さん……?はて、どこかで聞いたことがあるような……どこかで……あぁ!
これには本当、おどろいた。
畠堀操八氏は、私がこの村山古道の存在を知ることができた本、
「富士山村山古道を歩く」の著者だったのだ。
村山古道を今に復活させた村山古道の第一人者でもある。 |