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ちしきの金曜日
 
あの可哀想な人


したたかに頭を打つ「ピクトさん」

世の中には変わった趣味の人がいる。たとえば「ピクトさん」を収集・研究している人。いや、これを趣味と言っていいものか。というか、団地をめぐっている人にそんな風に言われたくないか。

「ピクトさん」とはなにか。漢字では「被苦人さん」と表記するらしいよ。その方によれば。

(text by 大山 顕



■「ピクトさん」研究の第一人者

「最近『転倒系』をさらに下位分類しなければと思っています」

神妙な口調でそう語るのは「日本ピクトさん学会」の会長、内海氏だ。

うそ。「神妙な口調」はうそ。楽しげな口調だ。

この日は、内海会長と新宿でピクトさんフィールドワークをご一緒させていただいた。その様子をレポートしたい。

その前に「ピクトさん」とは何かを説明せねばなるまい。

プリントアウトされたピクトさんの数々を広げ語る内海会長。まわりの目?気にしない。

 

■体を張って危険を知らしめる、あの可哀想な人。


この人。
「ピクト」とは「ピクトグラム:pictogram」 の略で、日本語では「絵文字」などと訳されている。よく駅などの公共空間でよく見られる、言葉を使わずに図記号で意味を表したもののことだ。代表的なもの は左の非常口の人の絵。日本語が読めない人でもこの絵を見れば「ああ、ここが非常口なんだな」と分かるようになっている。ちなみに左のピクトは世界統一規 格で、日本が提案して採用されたもの。

それら「ピクト」の中でも特に人の形をしているもの、かつ「可哀想な目にあっているもの」を「ピクトさん」という。というか、内海さんがそういっている。

この可哀想な人たちを収集した「日本ピクトさん学会」というウェブサイトの主宰であり学会長が内海さんだ。

めりこむ頭。おちゃめなポーズ。

今日も可哀想なピクトさんたち。(「日本ピクトさん学会」より)

「おそらく、彼らは仕事として日々ひどい目にあっているのだと思われます」と内海さん。「彼ら」とはピクトさんのことだ。

「彼らが体を張って危険を知らせてくれているおかげで、わたしたちは今日も無事に一日を過ごせるわけです」

ここでみなさんにお知らせしておきたいのは、やや変わった観点の持ち主ではあるものの、内海さんはごくまともな社会人であって頭のおかしい人ではない、ということだ。紳士ですよ、彼は。ほんとに。

「でもみんなあまりにも彼らに対して感謝の念が薄い。もっと彼らに感謝すべきです」

重ねて言うが、彼はとてもすてきな、まともな人です。


■研究のひとつ:「転倒系」ピクトさん



画像はいずれも「日本ピクトさん学会」より。

世界中で、じつに思い思いに滑って転ぶピクトさんたち。あらかじめ滑りを見せつけることで、われわれに注意をうながしているわけだ。ご苦労様です。

これらのケースを内海さんは「転倒系」と分類している。分類としてはほかに「頭打ち系」「つまづき系」「落下系」「感電系」「かけこみ系」などがある。


あらためて「転倒系」を研究する内海会長。そのまなざしは職人のそれだ。

「これまで『転倒系』とひとくくりにしてきましたが、あらためてよく見るとその転びにはさまざまな見どころがあることがわかってきました」
「それはどういうことでしょうか」
「たとえば、『足の開き』ですね」
「ほほう」
「年期のはいったピクトさんは転ぶときの足の開き具合が尋常ではないです」
「ははあ」
「あとはたとえば『手の使い方』です」
「それはなんですか」
「やはりプロのピクトさんは手のあげ方など見られることを意識したアクションが光りますね」

しつこいようだが、内海さんはまともな人です。


大胆な足の開き具合がベテランの技を感じさせる
さながら阿波踊りかと思わせる手の使い方がみごとだ

 

 
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