●まじめにおいしいヨーロピアンラーメンたち
続いてやってきたのは、「とんこつらぁ麺 CHABUTON」というお店。
いろいろなところに店があるようだが、今回は秋葉原の店にやってきた。ご覧の通り、店構えにはどこにもヨーロッパを想像させる要素はない。
実はこの店、店を始めた方がフレンチの出身なのだそうだ。以前勤めていたフレンチレストランでまかないとしてラーメンを作ったことがラーメン店を出すきっかけになったらしい。
ということならば、ラーメンにもフレンチの要素があるのではないだろうか。
そんなヨーロッパへの期待をもって食べたのだが、……ごめん、わかんなかった。
もちろんおいしいラーメンだということはわかる。もしかしたらフレンチで培った技法がラーメン作りに応用されているのかもしれない。ただ、個人的に食べた感じでは、うまいということ意外はわからなかった。
それでも店主の過去に思いを馳せてみる。イマジネーションで食べるフレンチラーメンだ。
続いては「空海」というお店。店の名前こそかなり和風っぽいが、店構えからは単に和風のお店ではないということが読み取れる。
先の店とは違い、デザインなどになんとなく読み取れるヨーロピアンな雰囲気。これは期待できるだろうか。
実際、この店のスープはゲンコツや鶏ガラをローストしてゆっくりと煮出すという、フランス料理の技法を使って作られたものであるらしい。技術的にヨーロピアンなのだ。
塩もフランス産のものを使っているとのこと。では食べてみよう。
…すいません、やっぱりわからない。うまいということ以上のヨーロピアン感はわかなかった。
「うん、これはフレンチの技法が生かされた味だ!」と、本気で言えればかっこいいのだが、残念ながら自分にはそんなことはわからない。目を閉じてヨーロッパの街並みを思い起こしながら食べるが、それはやっぱり無理がある。
わかりやすいヨーロピアンラーメンを求めて続いて訪れたのは、下高井戸にある「クチーナ」というお店。
店構えからしてイタリアンな感じを漂わせているこの店。実際、以前はイタリア料理店だったところを、ジャンルをラーメン屋に変えて営業しているらしい。
店前にも大きく「らぁ麺」と掲げてあるのだが、店内のテーブルに置いてあるものは明らかにラーメン屋風ではない。あくまでイタリアンで押してくる。
メニューの中からここではイタリアの都市にちなんだ「ジェノヴァらぁ麺」を注文してみた。
バジルやトマト、モッツァレアチーズといったイタリア料理ではおなじみの食材が使われたラーメン。これはビジュアル的にもかなりイタリアンだ。それでいてネギやメンマといった定番の具もあわせて入っている。
それでもバジルの香りがラーメンであることを否定しようとするが、実際に食べてみよう。
…うん、これもおいしい。そして明らかにヨーロピアンだ。
全体的に違和感なくなじんでいて、スープパスタのようでもあるが、麺やメンマがパスタ側に転ばせないラーメン感を放っている。不思議な感じはあるが、確かにうまい。
どれも手堅くおいしかったヨーロピアンラーメン。そう、どれも確かにおいしかった。それはそれで満足なのだが、ヨーロピアンラーメンを探すからにはさらなる新機軸も期待したい。
そうだ、以前評判を聞いて気になっていた店があった。あそこにならまた別のヨーロピアンラーメンがあるかもしれない。最後にそこを訪れてみよう。