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ひらめきの月曜日
 
エンジン付船を操船してきた
憧れのエンジン付船を操船してきました。

今年の3月に二級小型船舶操縦士という免許をとった。この免許があれば、岸から5海里(9kmくらい)だったらどこへでもエンジン付きの小型船を出せるのだが、肝心の船を持っていないので、免許を持ってからぜんぜん操船していなかった。

このままではせっかく厳しい訓練を乗り越えてとった免許がムダになってしまうので、操船の仕方を完全に忘れる前に思い切ってエンジン付きの釣り船をレンタルしてみた。

(text by 玉置 豊




船に乗るため、千葉県の岩井海岸にやってきた

船に乗るといえば、江ノ島あたりでかっこいいクルーザーをチャーターしてっていうイメージがあるかもしれないが、それは私の目指す方向性とちょっと違う。私が乗りたいのは純粋な釣り船。

今回は友人達を巻き添えにして、千葉県の高崎漁港にある山正丸というボートレンタル屋さんで8人乗りの釣り船を借りることにした。レンタル料はガソリン代など込みで一日15,000円。今日は5人だから割り勘すれば一人3,000円とけっこう安い。


千葉県南房総市の高崎港というところにやってきた。 これが今回借りた船。

船は釣り専用のものなので、キャビンとかトイレとかは一切なしのシンプル設計。教習で使用した船と見た目からしてまるっきりの別物。さすがに最大8人乗れるだけあって船体も結構大きい。

操船する自信なんてまるでなしだ。


剥き出しのエンジン。船外機というタイプだな。 生け簀には釣りエサとなる活きイワシをオプションで入れてもらった。

 

見たことのない操船席にとまどう

とりあえず船に全員で乗り込んで操船席に立ってみた。

ハンドルはまあいいとして、確かリモコンレバーという名前だった前進と後進を司るレバーが、なぜか2つある。教習船では一つのレバーで、前に倒すと前進、後ろに倒せば後進というシンプル設計だったはずなのだが。

この時点でもう頭がパンパンになってきた。たまに運転するレンタカーでもシフトレバーの形が違うだけで混乱するというのに。堂福先生助けて!


シンプルな操船席。 なぜレバーが二つあるのだ。

水深のわかる魚群探知機がもの凄い見づらいところに付いていた。 でもやっぱり魚探があると便利だよね。

 

これは再教習が必要だ

操船の仕方がまったくわからない。でも大丈夫。今日はこんなこともあろうかと、サポートとして船舶免許を取って10年以上のベテランである友人にもご同行いただいていたのだ。

友人曰く、なんでも左側の黒いレバーが車でいうオートマのギアで、右の赤いレバーがアクセル。前に進むには、黒いギアを前に倒して、赤いレバーをゆっくりと前に倒していけばいいらしい。

なるほどなるほど。ってそんなに簡単に理解できるわけがないので、レンタル屋さんのご主人に今日が初めての船出だということを伝えて、沖に出る前に港の中で再教習の時間をもらうことにした。


左がレンタル屋のご主人、右がベテランの友人。この黒いレバーが…なんだっけな。 バックするときは、ハンドルを右に切ると…どっちにいくんだっけな。

だめだ、全然わからない。

ただでさえ教習から時間が経っていて操船方法を忘れかけているのに、レバーが2つになって難しさ倍増。ハンドルもどこの位置が真っ直ぐなのかがよくわからない。

教習中と違って周りには当然他の船が走っているし、ちょっと止まっていようとしても風と波で船は流されるし、カモメはフンをしてくるし、やっぱり海は一筋縄ではいかない。

 

それでも大海原へと旅立つ

二人の講師に挟まれながら、おっかなびっくり港内をクルクルと2周して、どうにかこうにかハンドルとアクセルの感じが掴めた。と、思う。

いつまでも港内をクルクルしていると釣りにきたはずの友人達が怒り出しそうなので、意を決して友人に横でアドバイスをしてもらいながら、ヨロヨロと水平線を目指して大海原へと旅立つことにした。


ノロノロと大海原へ。真っ直ぐ進むって難しい。 船長席からの眺め。船が長いのよ。

港を出て真っ直ぐ海を進むこと2分。

もう釣り場に到着してしまった。

今日の釣りものは水深5メートルとか10メートルで釣れるシロギスやマゴチなので、ポイントが港からすぐ近いのだ。

 

あとはベテランに任せた

釣り場に着いてからもポイントの移動などで船の操船はあるのだが、それを私がやっていると、私だけでなくて船員の全員が不安で釣りに集中できないので、ここからの操船はベテランに任せることにした。

友人の運転はさすがに安定しており、安心して船に乗っていられる。大船に乗ったつもりとはこのことか。


メゴチとシロギスがいっぱい釣れた。 ベテランらしい安定した操船っぷり。

イワシエサでマゴチという魚を狙ったのだが、釣れたのはこんな怪しい魚。 そんなに大きい魚じゃないのに、エサのイワシが丸飲みされていた。

話の本筋とは関係ないけれど、竿がポッキリ折れた。


マゴチ用に買った竿、結局マゴチを一匹も釣り上げぬままに折れてしまった。無念。

 

残念ながら釣り終了

せっかく船を借りて海に出たのだが、今日はなんだか風がもの凄く強く、これ以上の釣りは厳しいようなので、昼前に早上がりすることにした。海では安全第一が鉄則なのだ。

港への帰航は勇気を出して私がやることにした。右へ左へユラユラと進みながらどうにか港内までたどり着き、船員全員のサポートを受けて、さらに3回くらいやりなおして、どうにかこうにか着岸に成功。ものすごいハラハラした。


サポートのベテラン操縦士がものすごい不安そうでした。この写真、よく見るとハンドルもレバーも持っていないな。

やっぱり埼玉出身の人間が調子に乗って船とか乗っちゃダメだなと思った一日だった。でもレンタル釣り船を使った釣りそのものはとてもおもしろかったので、また懲りずにきたいと思う。

海を舐めてはいけない

船の操船、やっぱり一回や二回乗ったくらいでは危なっかしくてしょうがなかったです。今日は操船に慣れた友人と一緒で本当によかった。

私は船の操船がしたいのではなくて、船で釣りがしたいだけなのだということがよくわかったのは収穫でした。

今後も一人での操船はしばらく控えようと思います。

釣りエサ用に買ったイワシはマゴチには化けずにオイルサーディンとなりました。

 
 
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