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フェティッシュの火曜日
 
間違ったフォントづかいコレクション
やる気のないスタッフが集まりそうな「STAFF募集中」


パソコンの普及で、昔に比べて手書きの文字を書く機会がずいぶん少なくなった。僕みたいに悪筆な人間にもやさしい時代の到来だ。

でも、だからといって気を抜いてばかりもいられない。悪筆問題をやりすごした先には、パソコン特有の問題「フォント選び」がたちはだかっている。

しかし世の中には、そんな問題が潜んでいることにまったく気づかないで書かれてしまった文字がある。今日はそんな文字たちを鑑賞していきたい。

石川大樹




不適切なフォントとは?

 まずは下の画像を見てほしい。


花屋さんのポップ

花屋さんのポップだ。注目してほしいのは、数字に使われているポップ体。文字のウキウキした感じにつられて、私も1束買っていこうかしら、なんて気分になってしまう。うまいフォントづかいだ。

しかし、これはどうだろう。


数字は適当です

おかたい資料に、うかれた文字。TPOをまったく意識していないフォント選びだ。この資料で予算達成状況の説明をされても、半笑いで説明されているみたいでぜんぜん説得力がない。

フォントなんて何を使っても自由だけれど、文書の内容に応じて向き・不向きがあるのは確か。ゆえに、このようにどうしてもしっくりこない、「それ違うよ!」といいたくなるフォントづかいが生まれてしまうのだ。

そんな間違ったフォントづかいを集めて、分類した。ポップ系、ホラー系、3D系、その他、の4種類だ。順に紹介していこう。

 

緊張感ゼロ。
ポップ系

まずは定番のポップ系からだ。

世の中にあふれている間違ったフォントづかいのなかでも、いちばんよく見られるのがポップ体。会社で、街で、お店で、駅で、いたるところでTPOをわきまえてないポップ体を見ることができる。今回は、定番のポップ体にくわえて、丸文字やまんがみたいな文字もポップ系に分類した。

ウキウキした文字は緊張感をそぐ。注意書きや、謝罪文、警告にはもっとも向かないフォントだ。


手塚治虫風?看板つきやぶって突っ込んでいくのが正しい対応ではないか。
途中まで笑いをこらえて言えたのに、「調整中」のところで噴いてしまった、みたいなフォントづかい。

たぶん噛まれても痛くない。
いまいち信用できない。本当に17時に開くだろうか。

子供がぐったりしてるのにそんなとぼけた文字を!

ポップ系の中でも、いちばん浮き足立っているのはやはり丸文字。猛犬注意がまったく緊張感をかもしださないのはもちろん、営業時間案内ですら、ちょっと信用できない印象なのだ。

TPOのわきまえてなさ、空気の読めてなさこそが、ポップ系のフォントづかいの醍醐味といっていいだろう。

 

 

魚を殺して焼いて食ってしまうという恐ろしい定食。
ホラー系

意外に多いのがこのホラー系。インクが途切れるように、太い部分と細い部分が混在する文字たち。なんとなく人に恐怖心を呼び起こさせ、不安にさせるフォントだが、うっかり食べ物なんかに気軽に使われていることが多い。


一くち黒棒。食べたら死ぬ。

右の黒い文字。「夢」「住空間」ときて、「たたみ」で唐突にホラー。ギャー!


店内に入るとそこには血まみれになった着付美容師が…

別の店。血まみれになった着付美容師が組合を組織。


特徴のあるフォントだけに、個性的なフォントを使おうと思った人がうっかり手を伸ばしてしまうのかもしれない。これが恐ろしい文字であることに気づかないままに。

しかし、これは地雷だ。うっかり踏んでしまったら一気に紙面全体がどんよりと霊気に包まれる。万全の注意を払いたい。

 

 

宇宙空間からお知らせです。食器は必ずご返却ください。
3D系

注意して探しているとたまに見つかるのが、この3D系。

圧倒的な装飾過剰感で、フォントだけでおなかいっぱい。肝心の内容が頭に入ってこないことうけあいだ。


パートさん募集界のビッグバン

3D&蛍光色のコンボ。


ゴゴゴゴゴ。両サイドからこちら側にせり出してくる「禁煙」。

文字の浮き出しの角度・形状などによって、いろいろな表情をみせてくれるのも3D系ならでは。

作り手にとっては作りこみ甲斐のあるフォントだけに、ついつい自分だけのこだわり全開になって、周りを見失ってしまう。

文字も派手なら間違い方も派手。それが3D系の特徴だ。

 

 

巨大な相撲文字で「時刻表」。番付表の間違いではないか。
その他・他にもたくさんある間違ったフォントづかい

ここからは、サンプルが少なく○○系として独立させるにはいたらなかった少数派フォントを紹介していこう。

意外と見当たらなかったのが勘亭流。いわゆる相撲文字だ。特徴的でユーモラスな文字なので、好んで使われているかと思いきや、発見したのは1つだけ。極太のフォント+貼紙自体のバカでかさで、ずしりと重量感のある1枚だった。

見つけたときにおもわず「あっ」と声が出てしまったのが下の表札。象形文字から漢字になる途中の文字だ(篆書というらしい)。はんこ等ではたまに見かける字体だが、表札に使うのはかなり挑戦的だと思う。


漢字のなりたち系表札

ご近所さんも一緒に、漢字目指してがんばり中


そして下の2枚は当サイトのウェブマスター、林さんにいただいたもの。個性の強い特殊フォントは、紙面を完全に支配してしまう。フォント自体がメッセージだ。書いてあることはどうでもいい。(ほんとはよくない)


ベルばらフォント。ゴミ箱がなければお菓子を食べればいいじゃないの
仁義なき食堂、あすか食堂

 

間違ったフォントづかいはサービス精神のあらわれ

 はっきりいって、フォント選びに迷ったときはゴシック体を使えばたいてい間違いない。もっと硬い感じにしたければ明朝、あとは年賀状や手紙なら毛筆だ。

 でも、それじゃつまらないじゃないか。せっかくみんなに読んでもらう貼紙・看板だから、もっとユニークなものを作りたい!なんてサービス精神を出してしまったばっかりに、見事に裏目に出てしまったのが、これら間違ったフォントづかいなのだ。サービス精神の空回り、見るよりも探すほうが楽しかったりするので、みなさんもぜひ探してみてほしい。

ネタ探し中に発見した看板。座るのか立つのか中腰なのか、はっきりして!

 


   
 
 
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