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はっけんの水曜日
 
ドリアンはおかずになる

包丁を指した瞬間に空気が変わるのがわかる。

入刀

それではいよいよドリアンに入刀しよう。とげとげの表皮は想像通りに硬く、体重をかけないと刃が入っていかなかった。しかし硬いのは表面だけで、中は力を入れることなくずぶずぶと包丁が入っていく。

それと共に辺りに不穏な空気が立ち込める。

くさいのだ。ほんと、くさい。玉ねぎの腐ったにおいと形容されるが、玉ねぎを腐らせたことがないのでうまく表現しているのかよくわからない。ただ玉ねぎだろうがみかんだろうが腐るとこんなにおいがするんじゃないか、というにおいだ。食べ下した物が胃と腸とで消化され、そのカスが再び世に出た時のにおいにも似ている。

もわんとな。
チーズみたいなさわり心地でした。
とてもしっくりきている。

ドリアンの内部はいくつもの部屋に分かれていて、各部屋に薄黄色い果肉が入っている。中には大きな種を含んだ実もあった。実はやわらかくチーズのような感触だった。

ご飯に乗せる前に少しだけ食べてみた。複雑な甘みが口の中に広がる。色々な甘い物をつぶして混ぜて腐らせたみたいな味だった。正直たくさんは食べられない。

これをいよいよご飯のおかずにしたい。今回は少し趣向を変えて五穀米を用意したのだが、炊き立てのご飯にドリアンを乗せると見た目上非常にしっくりきていてびっくりした。日本の主食の上に東南アジアの王様が乗っかっているのに、なぜこんなに自然なのか。これはもしかするかもしれないぞ。

 

それではさっそく、いただきます。

食べてみよう

それではご飯と一緒に食べてみよう。においはする。すごくする。足元で動物が死んでいるんじゃないかと思うくらい、におう。しかし僕は今回の取材で、鼻の回路を一時的に頭の中で遮断する、という感覚を覚えた。

意識の中で一時臭覚を忘れ、一口食べてみる。すると奇跡は起きた。

お。
なんだこれは!

栗だ

これがなんと栗ご飯なのだ。ホクホクの甘い栗がご飯に乗っている。足元で動物が死んでいるが、僕は今確かに栗ご飯を食べているぞ。しかもとても濃厚な甘さを秘めた上等な栗だ。ご飯と一緒ではなく単体で栗だけ食べてみたくなるな。ぱくり。

あ、これドリアンだ。

ここで初めて栗ではなくドリアンだと気付く。しかしそのくらい、栗ご飯なのだ。果物の王様、ドリアンはご飯のおかずになる。しかも秋の味覚の代表格、栗ご飯になるのだ。ほんとだよ、ほんとなんだから。

大発見してしまいました

ドリアンはご飯と一緒に食べると栗ご飯になる。納豆一万回混ぜるとカニになる、くらいセンセーショナルだ。興奮の中、ふと大発見をなしえた手のひらを見てみると、点々と血が出ていた。ドリアンが刺さったのだ。このあたりも栗に似ているじゃないか。

秋はドリアンご飯の季節ですよ。 

痛さも栗並み。

 
 
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