●ポニーはかわいいね
失意のマツタケを心に抱いて歩いていると、再び大人一人の自分にもスポットが当たる掲示を発見。
どうやらポニー乗り場の看板らしい。「大人の方も乗馬できるよ」と、私に対してもフレンドリーな呼びかけをしてくれている。
まあそれはありがたいけど、ポニーか…。
どうしようかと思いながらポニー乗り場に行ってみる。ポニーは何匹もいるらしく、それぞれ名前などが写真入りで丁寧に紹介されている。ここでもフレンドリーだ。
しかし、その横には人気投票の結果がランキングで表示されていた。1位のゆうは136票も集めているのに対して、最下位のだいちはわずか23票…。
かわいそうなだいち。ベスト3くらいまでだけ発表して、下位はぼかすというやり方もあるだろうが、きっちりと全て公開。
結構むごいポニーの世界。私がだいちの立場だったら牧場から逃げ出しているに違いない。がんばれだいち、きみには負けてほしくない。
よくわからない応援メッセージに奮い立たされて、ポニーに乗ることを決意。乗馬券には子供や親子用といったものがある他に、たこ焼きなどの券も一緒に販売。
心がぶれるが、間違えて押さないようにしないと。自分が買うべきは、大人乗馬券だ。
心の中の何かを断ち切って、ポニーに乗馬。勇気を出して係員に「すみませんが、写真、撮ってもらえますか?」とデジカメを渡して撮ってもらった。
もし何か言われたら「子供たちに見せたくて…」とか「ちょっと下見で…」などと嘘の言い訳をするつもりだったのだが、何かを察したのか、特に何も言わず、笑顔で撮ってくれた。
緑深い森の中で新鮮でおいしい牛乳を飲み、ポニーに乗って楽しむ。今回僕がしたのは、そういうことだ。行動だけを切り取れば、あくまで明るいレジャーである。
ポニーに揺られながら、心の中をうつろう光と陰。
午前中に訪れて、正午過ぎには帰りました。