ぎっしりイカ味
醤油・ダシ・日本酒・みりんでコトコトと、イカの匂いを凶悪に発しながら3〜40分ほど煮ただろうか。ここまで小さいと、果たして何分ほど煮ればいいのか加減がさっぱり分からない。
煮汁が少なくなってきたのを機に、鍋から出してみた。
見ただけで「あ、これ、わかめだ…」と分かるような物もあったが、他の多くは実際に食べてみないと中に何が入っているのかまったく分からない。
さしずめ「イカ・ロシアンルーレット」と言ったところか。ま、食べてギャッと驚くような物は入れておりませんが…。
では、一品目から。いきますよ。
なんというか、これは食感がダメだった。キノコのくせに、ほぼ噛み応えゼロ、と言っても過言ではない。汁をズブズブに吸ってしまっており、すごくしょっぱかったのもダメに拍車をかけた。
…煮すぎてしまったのだろうか。
いや、そんなことはない。次のコレを見れば決して煮すぎてないことが分かる。
さすがである。考えてみれば、これは「イカ大根」の大根をイカに入れたバージョンだ。合わないわけがない。
大根の爽やかさが、イカという曲者をうまくいなした格好となり、当たり前だがすごくおいしい。
さて、続いて食べたものがナゾだった。
なんだろう? と思いながら、ひとくち食べて疑問はとけた。蕎麦だ。煮ているうちに麺同士が膨らんでくっつき、ほぼ固形物と化していたのだ。
これはなかなかイケる。餅米のもっちり加減が、まさか蕎麦で再現できるとは意外な発見である。味もグー。
次の一品は、見た目が怪しかった。
おお、豆腐。これもいい。最初に食べたエリンギがグズグズだったので、もしや豆腐も…と危ぶんでいたのだが、なかなかどうして。豆腐とイカは、一緒に煮てもおいしいに違いない。
見た目で分かる
ここまでは「食べてみるまで分からなかった物たち」をご覧いただいたが、続いては「食べる前から分かってる編」へと進みたい。
やはり、これから何を食べるのかが分かっていると、いろいろと安心できていい。ホッとする。
うむ。うまい。これはなかなかの珍味だ。イカのエキスを吸った卵だもの、マズくなりようがない。イカがうっかり自分の体より大きい卵を食べてしまったかのような、そんなずんぐりした見た目もかわいい。
うずらの卵は上出来だったが、次の一品はどうなんでしょう。
水で戻さなかったのが悪かった。うん。それは非を認めよう。しかし、味の面でもこれはダメだった。エリンギと同様、イカの汁を必要以上に吸い込み過ぎているのだ。これはしょっぱい。ひとくち食べるごとに、日本酒3口飲みたいくらい、しょっぱい。
しょっぱいと言えば、米を入れた物もそうだった。
当然のように汁を吸いまくっており、膨らみっぷりも予想を遙かに超えた物となった。ここまで増えますか。
そして、残るひとつがコチラ。
煮溶けた餅が流出しかかっていたが、残った餅はとってもおいしかった。このモチモチ感と、さっきの米が融合したら、さぞかしうまい詰め物になるだろう…って、それこそが本家のいかめしなんですよね。
…さ、うまくオチたところで撤収だ。
本物のいかめしが食べたくなりました
イカに餅米以外の何かを詰めるなら、豆腐か蕎麦がいいのでは、という結果に終わった。味で言うなら大根もいいのだが、いかんせん固いため、うまく詰まってくれないのだ。大根は外に出して煮よう。
あ、豆腐が合うってことは、おからもいけるかもしれない。蕎麦がいいならうどんだって、そうめんだって大丈夫ってことか?
いや、あれこれ試すのはもうやめよう。「詰め欲」も満喫できたことだし、次は本物のいかめしを買って食べた方がいいに決まっている。