未開の地へ車は走る
検問突破!
検問を突破すると案内板が出てきた。
通常なら『↑渋谷 2km』なんて書かれている案内板だが、ここでは産廃、汚泥、スラグ、残灰といった用語が並ぶ。
ここは東京が作った巨大なゴミ箱なんだ。
梅田「普段、何人ぐらいがこの処分場を出入りするんでしょうか?」
担当者「外部の人も多いので正確な人数は分からないんですよ。職員は100人。出入りする人も含めると500人ぐらいでしょうか」
埋め立て現場へ
永遠に続く地平線。信じがたいが、これはすべてゴミ(と、土)で出来ている。
1977年から現在に至るまで約5,246万トンのゴミを受け入れてきた結果、このような巨大な島が出来上がったわけだ。そしてもちろん、この中のごくわずかな一部は、僕やあなたが捨てたゴミだ。
目を凝らして不燃ごみを見ると、そこには見慣れたメーカーのアイスキャンディの包装紙とか、見慣れた製品とか、さまざまなものが荒涼とした土地に積み上げられていた。
直感的に、ここには喜びも、悲しみもすべて詰まっている、と思った。
東京中のいろんな悲しみとか、喜びとか、さまざまな思いが、風化され、捨てられてここに積み上げられていくのだ。ずいぶん叙情的なことを書いているが、本当にそう思ったのだから仕方ない。
梅田「ここもいつか、お台場みたいに商業地になるんでしょうか?」
担当者「この土地はゴミで出来てますので地盤が弱いんです。だから、お台場みたいに高い建造物を建てたりはできないでしょうね」
梅田「そうすると、この土地はどうなるんでしょう」
担当者「30年ぐらいは放っておくしかないでしょうね。時間が経つと、自然に地盤が固くなってくるんです。それまでは、このまんまじゃないでしょうか」
この土地を訪れる前、ここもいつかはお台場みたいになるんだ、と考えていたので多少考えが甘かったことに気づいた。
担当者「あの山を見てください。左側に積まれているのが不燃ごみ、右側に詰まれているのが粗大ごみです。どちらも細かく粉砕されていますがね」
すべてのごみが集められ、粉砕されると、不燃ごみの総和は白っぽい固まりに。粗大ごみの総和は茶色っぽい固まりに成り下がっていた。ここではどんなブランド物のソファーも、どんなに安っぽい製品も、すべて白か茶色の山の一部に過ぎない。
梅田「島のところどころにある、この茶色い柱のようなものはなんですか?」
担当者「ごみから放出されるメタンガスを排出するためです。ごみは風化するとメタンガスを作るんですよ。ほっておくと火災が起こります。それを防ぐために、このようにガス抜きできる場所を確保しております」
担当者のかたとお話ししていると時折轟音が鳴り響いた。空を見上げると飛行機が飛んでいた。ここは羽田空港に近い。建物もないので、ここが都内で最も飛行機を鮮明に見ることが出来るスポットであろう。
ここには人が住んでいない。だから騒音問題も関係ない。飛行機はおかまいなしに飛んでいる。
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