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ロマンの木曜日
 
すぐにやられちゃう人たち

特撮ヒーロー物には必ず「すぐにやられちゃう人たち」が登場する。代表的なところでは、仮面ライダーのショッカー戦闘員のような人たちだ。大抵、ヒーローは1人なのに集団でやって来る卑怯な連中である。1人相手に大勢でずるいなあ、と思うのだが彼らはあっという間にやられてしまう。卑怯だけど弱いのだ。弱いから卑怯なのかもしれない。いずれにしても、そんな彼らの事が気にかかる。色々なヒーロー物の中から、そんな戦闘員だけを集めてみる事にした。

 

(text by 住 正徳



戦闘員の代表格、ショッカー戦闘員とは


ショッカー戦闘員

最初に、冒頭でも触れたショッカー戦闘員について掘り下げてみよう。仮面ライダーに登場する「すぐにやられちゃう人たち」である。黒い目出し帽に全身黒タイツというスタイルはあまりにも有名だ。あの人たちの事を「ショッカー」と呼んでいる人も多いと思うが、正式にはショッカー戦闘員である。「ショッカー」とは世界征服を目論む悪の組織の名称であり、その最下級構成員である彼らはショッカー戦闘員と呼ばれるのだ。

詳しくは、この悪の軍団全組織図をご参照いただきたい。


悪の軍団全組織図

仮面ライダー1号から7号ライダー(ストロンガー)に至るまで、大首領のもとに8つの軍団が存在していた事が分かる。1号ライダーの敵、ショッカー軍団に始まり第8軍団のデルザーに至るまで、それぞれ「ゾル大佐」や「死神博士」といった幹部が配属されている。幹部の指揮下にはクモ男、コウモリ男といった怪人クラスが252体いて、その更に下に「すぐにやられちゃう人たち」=戦闘員が配置されていた訳だ。

このように、悪のヒエラルキー最下層に位置する戦闘員たちであるが、そのスタイルも様々である。みんながみんな黒い目出し帽に黒い全身タイツではない。以下、その変遷を見てみよう。



仮面ライダーシリーズの戦闘員


初期のショッカーは顔にペイントを施していた 女戦闘員もいた

戦闘員のリーダー格は赤戦闘員 第9話コブラ男に仕える戦闘員はアイマスクを装着

第14話以降、戦闘員はマスクを装着 指揮する怪人によってマスク頭部のシールが変わる。
写真は怪人ドクダリアン指揮下の赤戦闘員

2号ライダーに肩を貸す戦闘員。怪人はトドギラー ゴキブリ男指揮下の黒戦闘員。第53話移項はボディに白い骨の模様が入る

劇場版「仮面ライダーVSショッカー」に登場した
オートバイ部隊
第2軍団ゲルショッカーの戦闘員は空中から襲いかかる

第3軍団デストロンの戦闘員。
白戦闘員は兵器の開発や改造手術を担当
デストロン軍団のシンボルであるサソリをモチーフとしたコスチューム

第4軍団ゴッドの戦闘員。
格闘技においてプロ級の腕をもつ
第5軍団ゲドンの赤ジューシャ。
厳密には戦闘員というよりも女スパイとして働く

第6軍団ガランダー帝国の黒ジューシャ。
人間の5倍の力をもつ
第22話に登場したクロジューシャのオートバイ部隊

第8軍団デルザーの戦闘員 幹部毎にマスクが変わるのが特徴

以上のように、仮面ライダーシリーズだけでもこれだけのバリエーションがあるのだ。カラフルだったりヒラヒラがついていたり弓を引いていたり。もう少しがんばればヒーロー側でやっていけるような戦闘員もいる。だが、悲しい事にこの人たちはすぐにやられちゃうのだ。

続いて同じ石ノ森作品から、キカイダー01に登場する戦闘員である。




キカイダー01の戦闘員

キカイダー01は1973年から約1年間に渡り放映された特撮ヒーロー物である。悪い人たちは「シャドー」という組織で、もちろん世界征服を目指している。八名信夫さん演じるビッグシャドーがリーダーで、幹部クラスにはシャドウナイト、サダムなどのアンドロイドがいる。

そんなシャドーの戦闘員はこんな感じだ。


シャドーマン シャドーマンの足

体の右側が赤く左側が黒い。光と影を表すコスチュームであろう。靴の色まで左右で違う。最近では左右違う靴を履くのがお洒落だと聞いた事があるが、そのルーツはシャドーマンにあるのかもしれない。潜入工作を得意としているようだが、残念な事にこの人たちもすぐにやられてしまう。



愛の戦士レインボーマンの戦闘員

続いては「愛の戦士レインボーマン」からのエントリーである。作詞家の川内康範さん原作による特撮冒険活劇だ。今まで見てきたヒーロー物はすべて世界征服を目論む悪の組織との戦いを描いたものであるが、レインボーマンはそれらと一線を画す。レインボーマンの敵「死ね死ね団」のターゲットは日本オンリーなのだ。第二次大戦で日本軍の被害にあった人たちが日本を懲らしめるために悪い事をしかけてくる。死ね死ね死ね死ね死んでしまえ。そんな死ね死ね団の戦闘員たちはこんな感じだ。


ウエスタンスタイル 仮面をかぶってる。怖いよー

もちろんこの人たちもすぐにやられる訳であるが、レインボーマンの戦闘員には次のような人たちもいる。


顔全開 矢が刺さってやられる

この人も矢でやられる この人も矢

顔が全開なのだ。他のヒーロー物の戦闘員たちは、ペイントやマスクでその素顔を隠している。すぐにやられてしまう人たちだからなるべく無機質に、きっとマスクやペイントにはそんな意図があったに違いない。でも、死ね死ね団は顔出しだ。凄く苦しそうな顔でやられていったりする。また、他の戦闘員は奇声を発する程度であるのに対し、死ね死ね団の戦闘員はしゃべる。

話の設定から戦闘員の在り方に至るまで、当時のヒーロー物としてはかなり斬新な作品だった事が伺える。さすがは川内康範さんである。



と、ここまでは変身ヒーロー物における戦闘員を見てきた。次ページでは戦隊ヒーロー物、映画の世界のすぐにやられちゃう人たちをピックアップしていこう。





 

 
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