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ちしきの金曜日
 
ちんちんと聞いてニヤニヤする自分にさよならを
 


 「ちんちん」という言葉がある。最も多い用いられ方は、男性器の俗称としてであろう。丁寧に「お」をつけて、「おちんちん」などと言ったりもする。

 「お」をつけるほど大事なものだろうか?と自問して、「うん、大事なものだな」と改めて思うおちんちん。

 言葉の響きといい、実体の様相といい、ちんちんという言葉は人をニヤニヤさせる力をもっていると思う。

 そして世の中には、おちんちんではないにも関わらず、ちんちんという音を含むものがある。代表的な例は「チンチン電車」だろうか。言葉の魔力ゆえか、そうしたものたちにまでうっかり反応してニヤニヤしてしまうことがある。

 小学生くらいまでならともかく、いい大人になってそれはどうだろう。そんな自分に決別すべく、街で見かけるちんちんたちと向き合ってきました。

小野法師丸



●街で不意に出会うちんちんたち

特になんでもない日常の中、虚を突くように襲ってくるちんちんがある。といっても、もちろんあの実物ではない。そんなものが街中でぶらぶらとやってくるわけではない。


恥ずかしそうな様子も見せず走るチンチン電車
声に出して言ってもいい

 例えばそれは、チンチン電車。そういう電車が存在すると知ったのはいつのことだろう。それが小学生だったなら、「チンチン電車!?チンチン電車!?」と、軽いフィーバー状態だったと思う。

 発車の合図に使われるベルの音からそう呼ばれるようになったチンチン電車。意味はわかる。ただ、言葉の響きが意味を超えて聞く者を魅了する。

 心の中で一度「チンチン」の部分にこだわってしまうとまずい。とんでもない電車を想像してしまったりもする。チンチン電車……これは大変だ!

 そうした気持ちの乱れを正すのが今回の企画の目的。あくまで真顔でチンチン電車と向き合いたい。


クールに決めてみせるぜ

 よし、がんばった。決してニヤニヤすることなく、チンチン電車と一緒におさまったショットだ。まずは軽くクリア、と言いたいところなのだが…。


一瞬の気の緩みが命取り

 何枚か撮影した写真を見ると、やっぱり笑ってしまっているものもあった。ダメだ、まだ吹っ切れてない。実際、先ほどの真顔写真も相当がんばって作った表情なのだ。

 運転士も「なんだこいつ?」といった表情で私の方を見ている。「ニヤニヤしやがって」と思われているのだろうか。申し訳ない、自分はまだそういう男なのだ…。

 そして、このチンチン電車に関係する公園があるらしい。ニヤニヤしないでいられるかどうか、不安を抱えながら向かう。


いかにも高架下という雰囲気の公園
これはないだろう

 「ちんちん山児童遊園」である。

 これはずるい。「ちんちん」+「山」である。なんだその山は、それは反則だろう。一度気になり始めるともうダメだ、「山」という字の一番長い縦画をじっと見つめて、おかしな気持ちになってくる。

 違う、そうじゃない。この公園の由来は、以前このあたりをチンチン電車が走っていたことらしい。そうなんだ、そういうことなんだと自分に言い聞かせる。


負けるな自分

 平常心を保ち、無心で空中の一点をじっと見つめる。よし、ニヤニヤしてない、大丈夫だ。

 ここまではよかった。しかし、余計なことをしてしまうがこの言葉の怖さである。


ほんとの自分を抑えられない

 同行の撮影担当に「今度は『ちんちん』のところまで入るようにフレーミングして撮ってみて」と頼んでの一枚。うれしさを隠しきれていない。

 まだまだ真剣味が足りない。もっと揉まれなくてはならないようだ。


 

 
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