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ひらめきの月曜日
 
食べ物に躍動感を与えたい

 

いきなりですが、肉です

サンマに怖れをなしたまま、次に挑むのは肉だ。肉といっても、豚や鶏をそのまま串に刺そうというワケじゃない。機会があったらやってみたいが、たぶんその迫力はサンマを軽々と越えるだろう。

ま、私にできるのはこの程度のことですよ。


普段ならこのまま生姜焼きを作るところを、
今回は、これ。

豚肉が波打つことで躍動感など生まれるか? と、半信半疑のまま肉を串に刺す。

…これはさすがにダメか。意味のないことをしてしまったか。と思ったのですが。


おや?

お。悪くない。焼き目も面白いし、なにやら肉が立体的になったじゃないか。

これは躍動感というよりも、あれに近い。あれというのは、ほら、ステーキを鉄板の溝に斜めに置いて格子柄の焼き目を付けたりするでしょう。あれです。

では、再び海に戻りましょう。

 

生き生きおでん

海といっても、今度は練り物だ。海の魚はもう懲りた。元・魚くらいがちょうどいい。


ちくわ。さすがに恐くなりようがない。
うねらせ甲斐があります。

まさかと思ったが、これがなかなか躍動的なフォルムになった。こんな生物がいるはずもないが、うっかり「どこが頭で、どこからが胴体ですか」と問い質したくなるような、見事なうねりっぷりである。

さらに、勢いづいてコレも串に刺してみよう。


こんにゃくです。
ま、予想通りな感じですね。

そういえば、こんにゃくは普段から細工をされがちだ。クルンとひっくり返して縄のようにしたりするが、あれも考えてみたら躍動感と言えるのではないだろうか。

ただしこの場合、こんにゃくに躍動感が求められているのではない。あまりに見た目が素っ気なさすぎて、「何か手を施したくなる」風貌なのだ。

その点、次のタコなんてのは、いるだけで躍動感に満ちあふれている。存在そのものが「うねり」を表現していると言っていいだろう。


存在感ありすぎ。
それにさらに手を加えます。

さすがにくどい。過剰だったか。でもまぁ、今回の企画には必要なメンツなことに変わりはない。

さて。以上の三つを鍋に入れて煮込むことしばし。


躍動的なおでんの完成です。

単に「カサが増えたおでん」と言えなくもないが、皿から溢れんばかりに飛び出したおでんには妙な力がある。これを躍動感と呼べるかどうかはさておき、普段と趣が違うというだけで「おや?」という気分にはなる。

特に、ちくわには魅せられた。


こういう皮の生き物、いそうだもの。
そして、背泳ぎしてるっぽいもの。

どうです、この躍動美。ちくわって、穴が消滅してもこんなに面白くて使える食べ物だったんですね。ますます好きになりました。

今回試したものの中では一番串も刺し易かったし、見た目の変化も楽しめた。「第1回 躍動する食べ物選手権」の優勝は、ダントツでちくわです。

串一本でいろいろ変わる

「なぜ踊り串は川魚だけに使われるんだ!」と、なかば強引に挑戦状を叩きつけて始めた今回の企画だったが、その理由がイヤというほどよく分かった。鮎くらいの大きさがちょうどいいんですね。あんまり大きな魚でやったら、ちょっとヒキますもの。

ただし、川魚以外にも踊り串が有効なことはちくわが証明するまでもない。タコウィンナーやウサギの形の林檎だって、食べ物の見た目を変化させるという点に於いては、同様の効果を期待したものだろうと思うのだ。

だから結論めいたものを書くとすれば、これはあくまで気分の問題なのだと思う。やってもやらなくてもいい。ただ、ちょっと面白いですよと。それだけです。

お総菜で買ってきた天ぷらも、この通り。

 

 
 
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