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はっけんの水曜日
 
豚の丸焼き、再び

あのすばらしい味をもう一度。

 先日、沖縄県は県産の肉を全国へとアピールするため、11月29日を「うちなーいい肉の日」と定めた(うちなーというのは沖縄の、という意味です)。それを記念して式典が開かれたのだが、なんとそこであの豚の丸焼き(参考記事)が振舞われるというではないか。しかも無料で。抑えきれずに仕事さぼって雨の中行ってきました。

安藤 昌教



雨なんて関係ないです。

あいにくの雨です

当日は雨風ともに強く、「いい肉の日」記念式典は中止になるのではないかと思われた。しかし行ってみるとすでに準備は整っている。さすがだ。余談だけれど、沖縄の人は雨に強い。会社員でも学生でも多少の雨だったら傘なんてささずに塗れて歩いている。温かいからだろうか、それとも台風を知っているから多少の雨なんて誤差範囲内なのだろうか、理由はわからないが、とにかくこんなの全く行事の妨げにはならないのだ。

僕も肉を食べて泣きたい。

会場ではゴルゴみたいなキャラの人が県産豚肉を食べて泣きながら感動していた。これが今回のキャンペーンの広告だ。「でーじまーさん」というのは「とてもおいしい」という意味の沖縄言葉。僕もあのとき丸焼きを食べて思わず泣きそうになった。そのくらいうまい肉をもう一度食べてみたい。思えばあの日以来、僕は肉を食べるたびに「あの肉」を思い出している。初恋みたいだ。あの肉に、また会えるのだろうか。


しかしこの雨だ、関係者以外出席者はいないんじゃないかと思っていたのだが、意外なほどたくさんの人が集まっていた。僕は余裕をもって1時間くらい前から会場入りしていたのだが、すでにいつから座っているのかわからない感じの方々がたくさんいた。総じて年齢層は高め。雨が降って急に寒くなったこともあり、会場はファンデーションと防虫剤のにおいに満ちていた。


すでにたくさんの人が集まってきている。
僕は先頭に陣取る。

寒さに耐えながら待つこと1時間。いよいよ「いい肉」の日記念式典が始まった。式典は各方面から駆けつけた来賓の方々の挨拶から始まり、県知事の挨拶、そして「いい肉の日」宣言が高らかになされる。しかし申し訳ないがみんなあまり偉い人たちの話を聞いている様子はない。なぜかというと後ろからいいにおいがしてきたから。丸焼きが来たのだ。来賓の方々もそれを察してか、手短に挨拶を終えていった。肉は人を動かす。


ずらっと並んだ偉い人たち。
この人が知事。
いい肉の日、宣言。
しかし途中から後ろのほうへと意識が向かい始める。

 

主役登場。

豚、来る

式典が執り行われている舞台の後ろのテントではちゃくちゃくと丸焼き豚の準備が整いつつあった。僕はてっきり前のイベントのように豚が火の上でくるくる回されているのだと思っていたのだが、今回はすでに焼きあがった状態での登場だった。しかし豚の登場で一気にテント内の空気が変わる。それを注目している全ての人の胃が準備運動を始めた。見つめられる豚はいい感じにてかっている。

取り巻きを引きつれ、まずは知事がおもむろに試食に向かった。そしてそれをカメラたちが取り囲む。ギャラリーはただつばを飲む。

試食が始まると会場は一気に熱を帯びる。
まずは知事から。
平日の昼間なのにこの行列。

テントの外を見るといつの間にやら長蛇の列が出来ていた。もちろんみんな豚目当てだ。仕事はどうした。僕もなんとか並んで肉をゲットすることが出来たのだが。

肉はもらった。

しかし違うのだ。前回頭がおかしくなりそうなほどうまかったあの丸焼き肉とは、色も形もにおいもかなり違う。これ、本当に丸焼きなのだろうか。

いただいた肉がこれ。
うまい、確かにうまいのだけれど何かが違う。
ファッションチェックではない。

疑問に思いテントの中を確かめてみると、先ほど登場した丸焼きの豚がなんとそのままそこにいるではないか。ならば僕がもらった肉はどこからきたのだ。実はあの丸焼きの豚は見せるためのもので、配っているのはすでに切り分けられたものだったのだ。

大人の世界を垣間見てしまったような悔しさがあったが、まずは食べてから批評することにしよう。ばくり。

肉は口の中でとろけるほど軟らかく、食べるというより一緒になる、と表現した方がしっくりくる。味もしっかりしみこんでいて長時間かけてゆっくりと焼かれたことが直感的にわかる。たぶんこれは丸焼きだ。しかしあの時食べた丸焼きほどのインパクトはなかった。やっぱり丸焼きは豚の形をしたところから直で切り出してこそありがたみがあるのではないか。人が多いので効率化するためにはこの方法が最善だということは理解できる、しかし僕はたぶんまたあの丸焼きを夢見て暮らす日々へと帰っていくだろう。

興味深いイベントでした

あの時の感動を再現することは残念ながらかなわなかった。しかしたくさんの人とうまい豚を食べながら、いい肉の日の誕生に立ち会えただけでも今回のイベントに参加した甲斐はあったように思う。それからこの日集まった人たちは試食が始まると一斉に後ろに詰め寄り、ほとんど誰もその後のイベントなんて見ちゃいなかった。僕は沖縄のこういう割り切ったところが好きだ。そんな中、知事だけはど真ん中に座ってちゃんとその後の出し物を見ながら豚を食べていた。責任感あふれる知事だ。ミニライブはすこしやりにくそうに見えた。

一人、肉を食べながらミニライブを観る知事。

 
 
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