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フェティッシュの火曜日
 
自転車でたどってわかる、高架下のいろいろな表情


最近は、ひと駅かふた駅、気が向けば3駅4駅くらいなら自転車で移動するようにしている。日ごろほとんど運動をしないので、自転車くらい乗らないと、というわけだ。

運動だけならどんな順路で行こうがかまわないが、隣の駅へ用事で、となるとなるべく近道を行きたい。その場合の近道はなんだ。それは線路だ。

いや、線路の上を「スタンドバイミー」してはいけません。線路の「下」、つまり高架下を行くのが近道だ、ということになりましょうか。

ところでその高架下を行く旅が、けっこう面白い。今自分の中でのブームなのだ。
今回はそんな狭いブームを無理やり皆さんと共有しつつ、いつもより遠くへと一気に走り抜けてみることにした。

乙幡 啓子



日の当たらない小さな旅へ

私の家の近くには、JR中央線のまっすぐな線路が走っている。どうせならそのまっすぐな線路の下を、どーんと近道できれば愉快、なのだけど・・・。


ただいま鋭意工事中。

いきなり工事中の写真ですみません。だが国分寺駅あたりから三鷹駅あたりまでのかなりの距離、現在は高架化工事中だってのをすっかり忘れてた。あの「あかずの踏み切り」で悪名高かった地帯です。

仕方がないので、三鷹から先、吉祥寺近辺の高架下からスタート。
取材の日はすこぶるいい天気だったが、これから高架下ばかりを行くのであまり関係ありませんな。


入れそうな高架下を見つけては・・・。
入り口を探し、とにかく入ってみる。その繰り返しです。

なんだか、敵陣でジャングルの川にもぐりつつ進んでいくような興奮がなくもない。

というわけで、まあ一緒にサイクリングしていると思ってご覧くだされば幸いです。今回は終始こんなテンションでまいります。写真多めで文は少な目。


もぐりましたー。なかなかの距離かせげそうだ。

やがてフェンスが・・・でもこれを超えると・・・

またフェンス。

冬ならけっこう日の当たる公園。
でも夜中にここでこれ見たら泣く。

横道を挟んで、また区画が登場。そのまんまな名前の公園。

土日はスケーターたちでアツいとかアツくないとか。

ふと横を見ると、民家の裏庭が物寂しい。高架になる前のなごりの木杭とともに。

と、かなり走ったあと、いきなり道が果てる。

 

プハッ

当然、高架下の土地に建物を建てるなどして有効利用している区画もあり、そのたびに経路の再設定を迫られる。そんなときはなるべく高架とつかずはなれずの位置をキープしつつ走り、またもぐっていくポイントを探し出すことにしよう。

水泳に例えると、ここで息継ぎをしておいて次のストロークにそなえます。本当か。


さっきのどんづまりを回避したら、年の瀬の外界に出た。
この中を走り抜けたらそれはまるでブルースブラザーズだろう。
駅の周辺は商業施設が軒を借りてます。もぐれません!
たまに途切れても駐輪場だし。入れません!お金取られます!
やっともぐれそうだなと思い、ずんずん入ってみると・・・
すんごい高いブロック塀で阻まれた。
まっすぐ行くとどう見ても他人の敷地。吸い寄せられそうになりつつクリア(というか一度間違えて入ってしまった)。

 

RPG感も満喫

当然、高架下を突き進む人のために高架下はあるのではない。みんなのためにある。よって、そこにいたる道は様々。見失うことだってある。わかりにくいこともある。しかし目を凝らしてよく見れば、おのずと道は開けてくるのだ。


西荻窪駅。とうぶん下にはもぐれまい・・・とあきらめかけると・・・
正面階段脇に、私をいざなうように空気の流れが・・・
そこをたどってゆっくり走ると・・・
少しだけライフ回復!
「この先は業務用通路です」とあり、こりゃ引き返すかとあきらめかけたが、
「バイク等から降りて通って」との記述で救われる。

というわけで自転車降りて一応通れました。

駐輪場かな、などと思って進むと・・・
いきなり魚屋。

 

そして冒険へ・・・

さて・・・自転車の通れるところというのは、たいてい駐車場になっています。

中でも、はるかかなたまでこんなふうにスカッと見渡せる駐車場に入れたときが、高架下サイクリングのヤマ場といえましょう。ほんとに気持ちいいんですわ。


もはや実用でなくて観光。遺跡と対峙したときのような厳粛さ。

いすずトラックがズラッと、王に仕える者のように無言で並ぶ。

イスタンブールの地下貯水場のような。

写真ではわかりにくいが、ゆるやかにジャンプ台のような傾斜がついていて実に壮大な眺めなのだ。

また、天井の意匠も場所によって様々な変化を見せるので気が抜けない。高架下は外界より変化が少なく単純そうな場所、と思ったら大間違いだ。


タージマハルのようでもあり
ピラミッド内部のようでもあり

合体変形の途中のようでもあり。

だいたい高架下めぐりのポイントを押さえたところで、今回最も興味深かった区間を再び駆け抜け、そしてとうとう新宿まで行ってみることにしよう。


 

 
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