●ひとりで勝手に心理戦
次の目的地に移動する途中、スーパーに立ち寄る。ここにもヤングはあるはずだ。
そう、食品売場で発見したのはヤングコーン。ヤングラーメンと違い、若者向けのコーンというわけではない。純粋に若いトウモロコシという意味だから、深く考える必要はない。
しかし、考える必要がなくても考えてしまうのがこの年頃。ヤングと聞いただけで「ヤング!」と思ってしまう、無駄な繊細さが垣間見える。
他に買うものもなかったので、カゴにヤングコーンだけを入れてレジに向かって購入。レジ係の店員からは舌打ちや苦笑は聞かれなかった。よし、これでまた一つヤングをクリアだ。
再び街を移動していても、気を抜くとヤングの文字が飛び込んでくる。ヤングギャルが20名勢揃いしているとの広告だ。
しかし、よくよく見ると古いたたずまいの広告ということもあってか、そこにヤング感はあまりない。「ヤングギャル!」という言葉そのものがヤング感と相反しているようにも見える。
ヤングと聞いてビクッとさせられたが、むしろシンパシーを感じさせる好例。世の中にはいろいろな表情のヤングがある。
さて、ラーメン食べ過ぎによる胃のもたれもなくなってきたところで、目的地に到着。
やってきたのはカラオケボックス。昔はカラオケというと中年世代の楽しみというイメージのものだった思うが、今では若者も大いに楽しんでいる。
そう、カラオケで若者らしくはじけよう。もちろん歌うのはあの曲だ。
西城秀樹の「ヤングマン」だ。直訳すると「若い男」。こんなにストレートな曲も他にないだろう。
さあ、ヤングマンを若々しく歌い上げよう。採点機能で高得点をはじき出せば、晴れて私もヤングマンと認められたことになるかもしれない。いくぞ!
そう意気込んで歌い始めたところ、画面には秀樹ご本人が登場。髪型やポーズがいちいちカッコよくて、つい見入ってしまい歌に集中できない。
これは罠か。試されているのか。
それでもなんとか歌いきる。果たして採点結果はどんなものだろうか。
最近のカラオケはこんなにいろんな項目で判定をするのか!と、いきなり若者らしくない感想をまず思う。総合得点は73点とのこと。やはり秀樹に気を取られたか。
合格点をもらった気もしないし、はっきりダメだと言われているわけでもない感じ。実に半端だ。
その微妙な数字はまさに私とヤングという言葉との距離感でもある。もう少しはっきりと決着をつけたい。