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ひらめきの月曜日
 
カレー VS くさや


買ってきました680円。高価。

「もうカレーに合わない具はない」と思われている風潮はないだろうか。特に“カレー鍋”なるものが出現してからというもの、白菜や小松菜といった和風の食材までもがカレーに取り込まれてしまった感がある。

しかし、待てと言いたい。果たして本当にそうだろうか。カレーと相性の悪い具はもう存在しないのだろうか。

実は去年、ずっとこのことを考え続けてきた。そして年が明けて数日。なにかの啓示を受けたかのように「ハッ」と閃いた食材がある。

そう。くさやだ。

高瀬 克子



匂い VS 匂い

カレーといえば、その第1の特徴は「匂い」であろう。夕げの時刻に住宅街を歩けば、どこからともなくカレーの匂いが漂ってくる。それほど、スパイスの香りは強烈であり、魅力的だ。

一方のくさや。こちらも魅力的かどうかはさておき、その匂いの強烈なことにかけてはカレーの比ではない。


こうして丸ごと買ってきたのは初めて。
いろんな調理法が載っております。

「もうオレと相性の悪いヤツなんてこの世に存在しないね」とばかりに我が世の春を謳歌し安穏と暮らしているカレーだが、相手がくさやと聞いてちょっと顔を曇らせる。

しかし、それも長くは続かなかった。


カレー談「オレはトドまで取り込んでるんだぜ」

そうだった。トドや熊といった、ちょっとクセのある肉をカレーは手中に収めてきた歴史があるのだった。

「我らがスパイス軍団にかかれば相手が誰であれ負ける気はしないね」といったところか。

自信満々の様子だが、果たして私はカレーの連戦連勝状態にストップをかけることは出来るのだろうか。これぞと見込んだくさやは、無事カレーに一矢を報いてくれるのだろうか。

 

それぞれを調理

まずはカレー作りから取りかかった。


手を負傷して複雑な調理が出来ないのでレトルトを駆使
出来たカレーを、くさや用に小鍋に取り分けます。

一気に台所がカレー臭に包まれた。きっと近所の住民に「あら、あそこのお宅は今日はカレーなのね」と思われたことだろう。

続いて、くさやに取りかかる。


恐る恐る封を切ったが無臭。なんと二重包装になってました。さすが。
ついに出た! すでに倒れそうなくらいクサイ。

クサイ。本当にクサイ。これは本当に食べ物の匂いなんだろうか、と疑問に思うほどの臭いだ。

食べればおいしいことは分かっているのだが、この匂いだけはどうにも我慢がならない。身悶えするほどのクサさに、思わずオエッとなってしまった。


オエッとなりながらも焼いていきます。
焼けた。

いったい、カレーの匂いはどこへ消えたのか。さっきまでスパイスのいい香りに包まれていた台所が、一気にくさやの強烈なニオイで充満してしまった。

ご近所も「え、カレーじゃなかったの? よりによってくさや?」と混乱していることだろう。というか迷惑だったかもしれない。試しに玄関を開け廊下に出てみる。

…あ、くさい。

「公共の施設にドリアン持ち込み禁止」というのはよく聞く話だが、これからは「マンションでくさやを焼くのは禁止」という項目が賃貸契約に含まれてもおかしくない。通報されなくて良かったと心から思う。ご近所の皆さん、申し訳ありませんでした。

一方、台所は「下水でもあふれたか」と危ぶんでしまうほどの臭気に満ちている。


どんなに臭くても、食べるとおいしいんだよね。
ほぐした身をカレーにドバドバと入れます。

くさやを入れたカレーのニオイを嗅いでみた。…おや?そんなにヘンじゃないぞ。うん、これはどちらかというとカレーの匂いの方が勝っている気がする。

まさか鼻がバカになったか? それとも、やっぱりカレーはくさやまでも手中に収めてしまうのか?


目にみえる具は、見事なまでにくさやオンリー。

これほど食べるのが楽しみなような、恐いような、妙な気持ちになるカレーも珍しい。

まずは、くさやの身がゴロンと大きいところをスプーンですくってみた。これが肉なら「ヒャッホー!」と言いたくなるような見た目であるが、相手はくさやだ。

しばらくスプーンを凝視したのち、意を決して口に入れる。


カレーひとつでこんなにドキドキするとは。

く。く、く…くさい。鼻から抜ける匂いが、ほぼくさやのそれだ。味の点から言っても見事にくさやがカレーを制圧しており、匂いといい味といい、くさや圧勝。これでは「くさやカレー」ではなく「くさや(カレー風味)」だ。

くさやを単体で食べた場合は「おいしい」で済むのに、なぜかカレー(スパイス)と絡むことによって、その匂いが強調されてしまうのは不思議だった。

試しに、くさやの身をほぐして、小さくしてから食べてみる。


分量を減らして再チャレンジ。

…お? くさくない。くさくないよ!

うん、これはイケる。今度はちゃんと「くさやカレー」と言える代物だ。「カレー・具・ごはん」の味のバランスがきれいな三角形を描いており、カレーの味がきちんとする。

そしてカレーの彼方から、うっすらと漂ってくるくさやの味とニオイがなかなかオツだ。決してカレーの邪魔をしていない。

これは合う。これなら合う。要は、くさやの分量の問題だったのかもしれない。大きな身をほぐして全体に混ぜ込み、一気に平らげた。

勝ったのか、負けたのか

いわば、ニオイの両巨頭ががっぷり四つに組んで熱戦を繰り広げた今回の試み。最終的に「くさやが出しゃばるとカレーが引っ込み、くさやがおとなしいとカレーが前面に出る」という結果に終わった。

これはどちらが勝ったことになるのだろう。

ただし、くさやを焼いてから丸一日以上が経過した今も台所がクサイことから分かるように、ニオイでいえばくさやの圧勝だった。

とりあえず「オレ様の影響を受けずに済む食材なんて存在しねーんだぜ。誰だって傘下に収めてやるぜ」というカレーの態度を少しだけ軟化できたような気がするのだが、気のせいだろうか。 

残ったくさやは、ちびちびと少しずつ楽しもう

 
 
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