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ちしきの金曜日
 
炉端焼きの楽しめる山あいの温泉
猫「また来たの?」


南房総の君津市に、ちょっと変わった温泉がある。
ロビーの囲炉裏で勝手に炉端焼きを楽しめるのだ。しかも酒類以外のものなら飲食物の持ち込みOK。

ほんの少しカオスな空間で炉端焼きを楽しんできた。

(text by ほそいあや



内房は山あり海ありで楽しいです。

千葉県君津市

君津市といえば、すぐそばに養老渓谷もあり、亀山ダム・亀山湖などの観光スポットもある。
夏は海水浴、秋は紅葉狩りなど、内房の自然はとても豊かで、一年を通してなんだかんだと遊びに来ている気がする。そして温泉も個性的なものが揃っている。

今回紹介するのは「七里川温泉」。本来は旅館だが日帰り入浴施設としても客足が絶えない温泉だ。

見事に山しかありません。秘湯気分が盛り上がります。
外観。

大きな地図でみる

 

入り口では猫がおでむかえ

ひとなつこい白猫が3匹いて、振り向くと接近している。誰かが座ると、トコトコ駆け寄ってくるさまがかわいい。そしていかにも温泉旅館の仲居さんのようだ。


気づくとあなたのそばにいる。「私たちがナビゲートします。」

 

玄関から一歩入るとひろがるアジア世界

いきなり魚を焼くにおいが充満する異空間が現れた。
合宿所のように脱ぎ散らかされた靴といい、居る人みんなが顔なじみっぽい雰囲気といい、親戚の家にあそびにきた気分だ。段ボールごと食材を持ち込み周囲に配るおばちゃんは、近所の農家の方なんだろうか。
まだ日は高いが、みんな和気あいあいと炉端焼きとお酒を楽しんでいる。

一瞬どうしたらよいのか迷うような、視覚と嗅覚を同時に刺激される感覚は、外国の見知らぬ屋台街に迷い込んだ時の気持ちに似ている。


よくわからないけど楽しい。日本もアジアなんだなあとつくづく思う。

玄関にも炭火焼きテーブルが侵出している。
厨房の前には唐突な絵画。親戚の家だよこれは。

自分たちも適当に座り、干物を注文して焼き始める。干物は300〜450円だがおおぶりで食べ応えがあった。お酒はそのつどフロントに買いに行くシステム。

猫らは油断すると膝にのってきてゴロゴロ言いはじめ、そのまま眠ってしまったりする。たまりませんわ。


テーブルの間を縫うように白いやつらが行き来する。愛想を振りまきながら。

 

イイダコはこんなのです。

焼きタコに感動

手近なスーパーに寄り焼くための食材を調達してから行こうと思っていたが、あいにく見つけられなかった。

しかし、この日は折しもイイダコ釣りの帰りだったので、新鮮なタコを持ち合わせていた。これは焼くしかないな。

中まで火が通りきらぬ位に焼く。同行の玉置さんが「このままでも海水の味がついているから何もつけなくても大丈夫」と言う通り、ちょうど良い塩味が新鮮なタコの風味を引き立てて抜群に美味しかった。

もう少し釣果がよかったら隣のテーブルの人にもおすそわけできたりして楽しかったかも、と思った(私の釣果がゼロだった事が大きいのだが…)。


まるごと口に放り込むと、濃い海の味が・・・至福!

 

大広間にあらわれる謎のピアノマン

炉端焼きに興味のない人はここで思う存分くつろぐ。温泉だけ利用する時は風呂上がりにロビーに行ってしまうと体に匂いが付いてしまうのでここでごろごろするのだ。

運がよいと、謎のピアノマンの演奏を聴くことが出来る。クラシックからポピュラー音楽まで堪能で、ちょっとびびる。この日は美しいカノン。 スタッフらしいがすごくシャイな青年で、拍手をしたら頭を下げてそそくさと引っ込んでしまった。その後、干物を運んでいた。

様々な不思議要素が詰め込まれた空間に迷い込んだ気分になる。でもこのピアノを聴くためだけに来てもよいかなあとも思える、魅力いっぱいの温泉なのだ。


茶釜の湯で煎れるお茶はおいしい。
ピアノマンは不意に登場しいつのまにか消える。

 

肝心な温泉は・・・

メインのはずの温泉が最後になってしまったが、個人的にはかなり好きなお湯だ。お風呂はかけ流しの硫黄泉で、この近辺では珍しい湯質だと思う。蛇口のお湯も温泉を使用している。入った後は肌もつるつるになり、いつまでもぽかぽかで気持ちいい。


湯上がりのお楽しみを横目で眺めつつ…
なぜか薄暗い階段をのぼります。
この日は平日なので空いていましたが、土日はやや混雑するようです。
露天は高台にあります。眺めよし。

囲炉裏・猫・温泉。三拍子そろった大人のワンダーランド

この温泉の迷うところは、入浴前と入浴後のどちらに炉端焼きをするかだ。 風呂上がりのビールを死守すると体中に干物の匂いが付いてしまうので、帰る前にもう一度入浴するのがよいかもしれない。あと、スタッフが猫に対して寛大すぎる気もするが、個人的にはそのままであってほしい。
次回は宿泊してじっくりとお風呂と干物を楽しみたい。

七里川温泉
千葉県君津市黄和田畑921−2
0439−39−3211

このおじさんは、「この前トイレ行ったらよー、全部猫に喰われててさあ」と話していた。

 
 
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