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ロマンの木曜日
 
ダムの研究所

こういう実験してるとこ、見たかった

 ダムが好きで、全国のいろいろなダムを見てまわるのが趣味なのですが、そんな中知り合った関係者の方のお誘いで、ダムの設計や建設にかかわる様々な研究を行なっている施設を見学させてもらえることになりました。

そこは、土木建築分野では最先端の研究施設のひとつと言える場所。

と書くとちょっと小難しいですが、理論は僕もよく分からないので、ビジュアル重視でお伝えしたいと思います。

萩原 雅紀



ダムのシリコンバレーは浦和

JRの浦和駅からバスに乗ってやってきたのは「独立行政法人水資源機構 浦和技術センター」というところ。

「水資源機構」という組織、一般にはあまり馴染みがないかも知れませんが、ダムや水路の開発、管理などを行なっていて、例えば東京で安定して水が使えるのは水資源機構が管理している利根川上流のダム群や、そこから水を引いている武蔵水路のお陰だったりします。

そんな、いつもたいへんお世話になっている組織の研究所ですが、イメージとしてはダムや水路の模型を作って水を流してる、というような分かりやすくて面白い実験をやっている感じ。

それは早く見たい。ちょっとお邪魔します。


道路にも看板が出ています 独立した棟が立ち並ぶのが研究所っぽい


大人が本気で土や岩をいじりまくる

貸していただいたブルーとグレーの作業服に着替えて、ヘルメットと長靴も装備。気合いが入ったところでまず案内されたのは、軟弱な地盤の上にダムや水路、道路などを建設する研究をしている部署。

いきなりやたら専門的ですが、最初に地震で地盤が液状化する分かりやすいシミュレーションを見せてもらいました。

容器に砂を入れて水を注ぎ、しばらく置くと水が底に溜まって表面は固くなってきます。そこに振動を加えると内部の安定が崩れ、下から水が湧き出してきました。これは容器の中でも実際の平地でも同じ仕組みだそうで、面白いけどぞっとする光景でした。

誰でも簡単にできる実験とのことで、いつか自分でもやってみたい。


念願のマイホームとマイカー あー!俺の家と車が!

また、ここでは土や岩を盛り立てて造る「フィルダム」の強度に関する研究も行われています。フィルダムは建設地点で採れる土や岩を使うことが一般的なので、その地点の土が材料として適しているか、耐震性に問題がないかなどの実験が行なわれているようです。部屋の片隅にはかつて実験に使われた試材が所狭しと並んでいました。


振動三軸圧縮試験装置、というかっこいい実験器具 試材に振動を繰り返し与えて特性の変化を見る、らしい
有名ダムの試材がズラリ、マニア垂涎! ほかにも何だかかっこいい装置がたくさん

続いて見せてもらったのも、同じように材料に圧力と振動を与えて強度や変形を調べる実験器具ですが、こちらは石や岩が対象のかなり大型のもの。昔のソ連の宇宙船のような魅力的な形をしたカバーの中へ、ゴムチューブに詰め込まれた試材が入れられ、上から振動が与えられます。

実験前は単なる円柱だった試材が、終了後に取り出された姿は変わり果てたものに。内部の過酷さを物語っています。

ダムというモノがモノだけに、強度、とりわけ地震に対する安全対策はかなり重点的に行なわれているようです。


宇宙船のような実験器具 実験後の試材はメタボな姿に変形
僕はいつまで経っても仕事に慣れません 実験を待つ様々なダム建設地点の材料


もちろんコンクリートも

ダムといえばコンクリート。別の棟に移動したそこは、コンクリートの中のセメントや石(骨材といいます)、水などの配合を変えて、強度や特性を調べる実験を行なう部署。簡単に説明すると、「その建設地点で採れる骨材」に対し「どのくらいの量のセメント」を加えたら「強度とコストの折り合いがつくコンクリートができるか」というようなことを日々追求している、という感じでしょうか。

ここで見せてもらったのは、ビルや住宅などに使われる一般的なコンクリートと、ダムに使われるRCDと呼ばれるコンクリートの違い。固まる前のそれは、普通のコンクリートの粘度がカレーのルウだとすると、ダム用のRCDはポテトサラダかというほどの固さ。これを振動させながら圧力をかけて締め固めるRCD工法は、ここではないかも知れないけど日本で開発されたものだそうです。

テンピュールがNASAの研究施設で生まれたように、RCDは日本のダム研究施設で生まれたのです!


まずは一般的なコンクリートを練る ビルや住宅に使われる普通のコンクリート
一方ダム用のRCDは骨材も大きくパサパサ これを振動を加えながら締め固める

締め固めたコンクリートは完全に固まるまで待ち、その後さまざまな強度試験に使われるとのこと。

これらの研究の成果で、大小さまざまな骨材を使用できるようになり、骨材の選り分け行程においてかなりのコスト削減ができたそうです。特にダムへの風当たりが強い昨今、コスト削減は徹底的に追及しなければなりません。


締め固めたRCDコンクリート
まだ固まっていないが形は崩れない
10年前のダムのコンクリート(右)と昨年完成したダムのコンクリート(左)
こんなに大きな骨材が使用できるようになった

とまあ、本人は「すごい!すごい!」と興奮していたのでいろいろ書いてしまいましたが、デイリーポータルでコンクリートの強度がどうとかこれ以上誰も読まないと思うので、そろそろ表に出てダムや水路の模型に水を流す、いわゆる水理実験を見に行くことにしましょう。


ものすごい大きなメーター 試材に対する拷問器具

 

 
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