大人が本気で水いじり
建物を出て、少し離れたところにある水理実験場にやってくると、いきなり人工的に造られた小川がお出迎えしてくれました。
実はこれ、現在建設が進められている某ダムの下流域を40分の1の縮尺で忠実に再現したもの。白く色付けされているところは実際に住宅がある場所、赤い線は道路だそうです。
流れている水は、普段のこの川の水量。ほんのわずかです。
こんなにチョロチョロした流れの川が、大雨が降ると周辺の街を洪水の危機にさらす恐れがあるとは、やはり自然の力は恐ろしいものです。
それではダムの上流に、100年に1度程度の確率の雨が降ったことにして、下流の流量がどのくらい変わるのか見てみましょう。
上流からの流量が増えても、ダムが水を貯め込むことによって、下流には一定の水しか流れません。
というわけで、とりあえずダムができれば洪水の被害が出る可能性は低く抑えられる、というシミュレーション結果が出ました。
あくまで実験なので結果ありき的な書き方になっていますが、これはプロパガンダではありません、念のため。
それでは、もしダムがなかった場合はどうでしょうか。それはつまり流入量と放流量が等しいということなので、貯水池を満タンにして、ダムのてっぺんにある非常用の放流口からも水を出します。
本物のダムでこれが起こると大変なことですが、あくまでも模型なので楽しみです。
このように、ダムがないと下流が洪水の危険にさらされる可能性が高い、というシミュレーション結果も出たわけです。
もちろんこの結果が全てではないでしょうけど、実際ダムが造られる際には必ずこういった実験を行なって、ダムの有効性を確認している、とのことでした。
現在はダムの計画もそれほどありませんが、日本中でダムが造られていた時代はいくつものダムの実験が同時に行なわれていたことでしょう。その頃の光景もちょっと見たかったな、と思いました。
また、さまざまな実験や研究を見て、学生時代にもっと真面目に勉強してればこういう仕事にも就けたのかも…と思いましたが、やっぱり部外者の方が気楽でいいな。
完成したダムへのいざない
最初に「ビジュアル重視で」なんて書いたにも関わらず、かつてないマニアックな内容に終始してしまってすみません。相手がダムだとつい…。
しかし、そんな僕のダムへの想いが、また新たに結実しました。
ベタな流れですみません。
去年、史上初のダム写真集「ダム」を出版させてもらったのですが、このたび第二弾が出ました! その名も「ダム2(ダムダム)」。
第一弾は東日本のダムがメインだったので、今回は西日本が舞台です。でもダムに興味があるならどこに住んでる人でも楽しめる内容になっていると思いますので、ぜひ見てみてください。
Booksさんでも取り扱ってもらっています。