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ひらめきの月曜日
 
コンビニの恵方巻徹底ガイド
恵方巻


恵方巻という行事があるではないか。太巻きを恵方を向いて食べるあれである。無口で食べるほうがいいらしい。

万人に開かれた行事だ。太巻きを食べるだけで参加できるというのがいい。いい企画だ。

歴史を調べると江戸時代の末期に大阪の船場で誕生した文化らしい。時代は流れて、現代において『恵方巻き』文化を先導しているのはコンビニではないだろうか。

関西発祥のこの恵方巻きなるイベントをコンビニ経由で知った人は多いと思う。

今回はそんなコンビニ各社の恵方巻きを食べてみました。

(text by 梅田カズヒコ



まずは恵方巻を勉強しようではないか。

恵方巻について知っていることをいろいろと書こうかと思ったがオールアバウトのこの記事が詳しかった。

恵方巻の詳しいルーツを知りたいかたは上の記事をご覧になっていただくとして、僕の興味は歴史が流れていくに従って、大衆から生まれた文化をいつの間にかコンビニのような企業が先導している結果になっている、という点だ。

この点がバレンタインデーと同じだ。(バレンタインも元々欧米各国で行われていた行事を、日本の製菓メーカーが“チョコレートを贈る日”として広めた文化である)


でも、コンビニから販促的に広まったものだろうがなんだろうが恵方巻きというのは楽しい。よく僕はコンビニ比較記事を当サイトで書かせていただいているのですが、比較というよりもいっぱい食べたいだけだったりします。それでは、各社レビュースタート!


1.セブン−イレブン『恵方巻』



今回は4社のコンビニの恵方巻きが登場しますが、グラム数が軽い順に紹介します。まずは一番軽いセブンの恵方巻き253グラムから。

巻きものもおにぎり感覚でノリがパリパリ。

断面が四角形。全体的に上品。

巻きものもおにぎりチック

海苔がおにぎりと一緒で食べる直前にひっつけるパリパリのおにぎりだ。このあたりの芸の細かさがセブンっぽい。

パリパリ太巻きは他の太巻きと比べどこかおにぎりチックな味がしなくもない。

あと、左写真の断面図を見てもらえば分かるかもしれないが玉子の占める割合が多い。

味付けも醤油というより塩っけのある味付けで、全体的に上品だ。ドロドロした味じゃない。山の手の恵方巻といった感じ。そつがないけど一抹の物足りなさを感じたりもしなくはない。多少胡瓜が太い気もしたけど気のせいか。

データ

値段:380円
カロリー:413kcal
炭水化物:84.8g
重量:253グラム
全長:14cm
直径:縦4cm×横5cmぐらいの四角形。

具:玉子焼き、きゅうり、干瓢、穴子(椎茸入り)、おぼろ。

2.ファミリーマート『まるかぶり寿司』



重量306グラムで第3位。ファミリーマートの『まるかぶり寿司』。僕の近所のお店がそうなのか、「ファミマおみくじ」なるくじが付いていてめでたい感じだ。

 

306グラム。普段食べ過ぎを気にしている人も、恵方巻きぐらいは重量感があったほうがうれしいですよね。

断面がきれいな円形。

きれいな円形が嬉しい

手に持つとかなりの重量感。それにきれいな円柱形になっているのが嬉しい。黒光りする海苔。こんなことを書くと誤解されるかもしれないが、海苔はセクシーだ。ぱんぱんにご飯が詰まった太巻きの海苔なんか、特にセクシー。

味のほうはというと、視覚的な印象通り玉子と高野豆腐が味の核になっている。忘れたころにやってくる穴子や干瓢の感じがなかなかいいです。

全体的にやや薄味のあっさりした味付けが好印象。物足りない人は醤油をつけて食べるとなおいいですかね。

そして、今回すべての恵方巻きが380円という値段設定なのに対し、ファミマだけ370円というのも素晴らしい。

 

データ

値段:370円
カロリー:528kcal
炭水化物:103.5g
重量:306グラム
全長:16cm
直径:5cmの円形。

具:玉子焼き、穴子(椎茸入り)、干瓢、高野豆腐、きゅうり、おぼろ。

3.ローソン『丸かぶり寿司』



3位のファミマをわずかにくだし308グラムで第2位の重量を誇ったのはローソンの丸かぶり寿司。ファミマが“まるかぶり寿司”で、ローソンは“丸かぶり寿司”。ネーミングもかぶっている。


ファミマとたった2グラム差の308グラム。

断面。具の配置がとてもきれいです。見られることを想定しているような印象。

そつのないローソン

恵方巻きの文献をひも解いていくと、具材は七福神をイメージして7種類の具を入れるのが、正式な太巻き、という説がある。

そのせいか、ローソンの丸かぶり寿司はパッケージの時点で七種の具材と謳っている。さすが関西資本のローソン。恵方巻きがなんなのかわかってらっしゃる。


ローソンの太巻きは一番特徴が少ないと言えば少ない。あえて言えば穴子の分量が他と比べて多く、これが味を多彩なものに変えている。

穴子が多いということは豪華だ。それぞれの具材が絡み合うバランスも素晴らしい。微妙な楕円形の形状も、具の配置の視覚的な美しさもいい。全部いい。要するにうまいということである。文句なしだ。

 

データ

値段:380円
カロリー:568kcal
炭水化物:93.4g
重量:308グラム
全長:16.7cm
直径:縦4.2cm×横5.5cmの楕円形。

具:玉子焼き、穴子、干瓢、高野豆腐、椎茸、きゅうり、おぼろ。

4.サークルKサンクス『丸かぶり恵方寿司』



各社の健闘を抑え、見事重量1位に輝いたのはサークルKサンクスの『丸かぶり恵方寿司』。その重さ316グラム。重さに比例し、カロリーも他社を圧倒的に抑える653キロカロリー。なぜかどの食品も一番高カロリーになってしまうサークルKサンクスが今回もやってくれました。


迫力の316グラム。

たまごと豆腐できゅうりで挟む配置。食感を大事にしているのかな?

家っぽい味のサンクス

一番家っぽい味がした。なんでだろう? と思い食べていくと次の2つの特徴に気付いた。

1.醤油の味付けと酢飯の酢の分量がやや多い気がする。
2.ご飯の部分が大きい。

このあたりが原因のようだ。名実ともに、一番おなかいっぱいになる恵方寿司である。そう言えばネーミングの『丸かぶり恵方寿司』というのも、他者の製品名をすべて合わせた最大公約数みたいなよくばりな名前である。

米がぎゅうぎゅうに詰まっている感じ。お母さん、たくさんごはん炊いたなー、という感じがいかにも家っぽい。炭水化物もぶっちぎりのオーバー100である。

 

データ

値段:380円
カロリー:653kcal
炭水化物:134.1g
重量:316グラム
全長:17.5cm
直径:5cmの円形。具がややゆるいのか重力に負け楕円形になる。

具:玉子焼き、穴子、干瓢、高野豆腐、椎茸、きゅうり、おぼろ。

太巻きがあまり好きじゃない人には丸かぶりロールケーキなる商品もありました。おひとついかがでしょう?(セブン−イレブン)

太巻きを4巻も食ったので、今年は超ラッキーだと思います

僕は血液型から姓名判断に至るまで、占いのたぐいを信じていないし、同じ理由で通説というか、『これをするとツキがよくなる』的な迷信のたぐいのすべてを信じていない。

しかし、最近になってその考えはゆらぎつつある。こうやって、恵方を向いて太巻きを食べるだけで、それでツキが回ってきた気分になれば、こんなに幸せなことはないではないか。いい発明である。根拠がどうとか、科学的であるかなんてどうでもいい。要は僕らが幸せな気分になれるかどうかが一番大切なのだ。それがイベントってもんだ。豆をまこうが、それを歳の数だけ拾って食べようが、そこに幸せな光景が広がっていればそれでいい。

子どもの頃は斜に構えていろんなイベントを鼻で笑っていた僕であるが、騙されて楽しんでみるのも悪くはないな、と恵方巻きを人の4倍ぱくつく26の冬である。



 
 
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