秋田県北部に位置する大館市といえば、きりたんぽ鍋や比内地鶏で有名な所だ。しかし冬に行われる「アメッコ市」という行事のことをご存知の方は少ないんじゃないだろうか。
かく言う秋田出身の私も、親から「あんたのこと連れて行ったことがあるよ」と聞かされたものの、幼なすぎたせいか記憶があまりない。とにかく飴を売る露店がズラリと並んでいたような気がしたが、果たして正確にはどんなものなんだろうか。
大人になった目で、しっかりと全貌を見てきました。
(高瀬 克子)
歴史は古かった
このアメッコ市だが「ここで買った飴を食べると風邪を引かない」と言われており、1588年(天正16)から続く古い民俗行事なのだという。しょっちゅう風邪をひく私には有難い言い伝えじゃないか。
それにしても、これほど古い行事だとは知らなかった。ざっと計算しても420年である。昔は甘い物が貴重だったろうに、よくぞ今まで続いたもんだと思う。
ちなみに、アメッコと言われて「?」という方に説明させていただくと、アメッコというのはずばり飴のことだ。秋田ではいろんな物の語尾に「っこ」を付けるのだ。
まさか「なぜハチ公がいるんだ。そこは渋谷か」と思われた方はいないと思うが、大館といえば秋田犬の里であり、渋谷で銅像になっているハチ公のモデルは、わざわざ大館から送られた秋田犬なのである。
ちなみにここのハチ公の周りで待ち合わせをしている人は皆無であった。
いきなり飴だらけ
アメッコ市の会場は駅からちょっと遠い。会場となる商店街までの循環バスも運行していたが、天気も良いことだしブラブラと歩いてみることにした。
と、会場に近づくにつれ、北国にあるまじき光景が目に飛び込んでくるではないか。
到着する前から街の中がアメだらけだ。これがいざ会場の中に入ったらどうなってしまうんだ? と、いやがうえにも期待が高まる。
ほどなくして、アメッコ市の会場に着いた。
「よし、さっそくアメッコ市を堪能するぞ!」と鳥居を入ったところ、スピーカーからは「白ひげ大神の巡行が始まりまーす」と聞こえてきた。
はて。白ひげ大神って?
これは家に帰ってから得た知識だが、どうやら白ひげ大神の巡行とは「近くの田代岳の守り神・白髭大神がアメを買うために山から降りてくる、との言い伝えを再現」したものらしい。
そんなことは一切知らずに「へー、なんかスゴイなぁ」と巡行の様子を見ていたのだが、途中からどうも様子が違ってきた。
巡行というか、早い話がパレードだ。しかもかなりゆるい。大館のキャラクター大集合、といったところか。
白ひげ大神一行も帰ったことだし、さっそく会場の中を見て回ることにしよう。