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フェティッシュの火曜日
 
壁が迫ってくる部屋を作る
迫りくる壁。ストップ!ストップ!


 敵の罠にかかって出口のない部屋に閉じ込められてしまった主人公。一見、脱出は不可能だ。クソッ、どうしたら…。そのとき、ガタン、ゴゴゴゴという音とともに、部屋の壁が動き始めた。自分のほうに迫ってくる。早く脱出する方法を探さなければ、迫ってくる壁に潰される!

 映画でもマンガでもゲームでも、いろんなところでよく見かけるシチュエーションだ。僕は締め切り前になると、この仕掛けを思い出す。じわじわ近づいてくる締め切りは、ちょうど迫ってくる壁のようだ。そしていま、ちょうどいくつかの締め切りを抱えている。ジワジワ迫ってくる締め切りの壁。この焦燥感、形にしてみよう。

(text by 石川 大樹 produced by ざんはわ



顔だけ「迫ってくる壁」

 できることなら動く壁のある地下室を作って、上から落とし穴で落ちるようにしたいところなのだが、さすがに部屋1つ作るのは大変だ。ここはぐっと簡単にしたい。部屋に見立てた箱に顔を入れて、箱の正面が迫ってくるのはどうだろうか。顔がすっぽり箱に収まってしまえば、かなりの臨場感があるに違いない。ヴァーチャルリアリティの装置でよくある、ヘッドマウントディスプレイ(眼鏡型ディスプレイ)と同じ原理だ。

 

引き出しキット680円

15分で作るお手軽トラップ

 最初は普通のダンボール箱を加工しようと思っていたのだが、東急ハンズでうってつけの材料を見つけた。紙製の引出しつき衣装ケースだ。

 引き出しを開けた状態で奥にできる空洞に頭を入れ、引出しをジリジリ閉めていく。そうすれば引き出しの奥の壁がだんだん頭に迫ってくるだろう。


外箱ができた
部屋の広さを確認。

引き出しもできました
おーおー

 組み立ては15分ほどで完成。はたしてダンボールでヴァーチャルリアリティは可能なのか。

 さっそく顔にダンボール箱をかぶせて、恐る恐る引き出しを押し込んでみる。


迫ってくる。ダンボールが。


 顔にダンボール箱をかぶせて、引き出しを押し込んだ様子が見えた。あれ?

 出口のない部屋も、迫ってくる恐ろしい壁も、どこにも見当たらない。ヴァーチャルリアリティどころか、目の前にあるのは現実。ヴァーチャルのかけらもない、ただのダンボールだ。


子供の声だけが響く

 

テクスチャにこだわる

 もっとヴァーチャルな感じにするにはどうしたらいいだろうか。考えるに、これは質感の問題ではないだろうか。実物大のサイズで部屋を作ったとして、素材がダンボールだったら怖くないのではないだろうか。

 すべての文末が「だろうか」だ。何一つ確信はない。雲を掴むような気分だが、できることからやってみよう。ダンボールの表面にコンクリートの柄を印刷した紙を貼ってみることにした。


コンクリート柄を印刷した紙を
外箱の内側にテープでぺたぺた貼っていく

不器用さをいかんなく発揮。壁グニャグニャ。
何度か貼りなおして、なんとか引き出しが中に入るように

 不器用さ丸出し。箱の内側がみごとにグニャグニャになってしまった。テープが余計なところにくっついたり紙の継ぎ目が引っかかったりして、引き出しのすべりもずいぶん悪くなった。まあいいや、外から見るとグニャグニャでも、頭を入れたらちがうかもしれない。


今度こそ絶体絶命!!

 おお!できた!壁はゴゴゴゴとうなりを上げて迫ってくる。これは確かに動く壁だ。特に壁のふちが視野から消えてから、距離感がぼやけてきたときの焦燥感ときたらない。集中力と想像力さえあれば、思わずのけぞる大迫力。これはひとつの完成形といっていいだろう。

 ざんはわの大北君にもかぶってもらおう。 ちなみに見ているあいだに気を抜いて雑念が入ると魔法が解けて部屋が紙箱に戻ってしまうので、ポイントはとにかく集中することだ。


半苦笑いみたいな表情

 最初は納得のいかない感じだった大北君だったが、何度か試すうち「グニョグニョの壁が、SF映画に出てくる4次元空間みたいだ」と言った。コンクリ打ちっぱなしのイメージで作った壁面だったが、不器用さが掛けあわさることによって、うっかり異次元空間を作り出してしまったということか。

 



 

 
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