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フェティッシュの火曜日
 
壁が迫ってくる部屋を作る

 

もっともっと恐ろしい壁を

 なんとなくそれっぽいものはできた。しかしこの恐さ、ジワジワ迫ってくる締め切りとおなじ恐怖レベルまで達しているだろうか。いや、まだまだだろう。できたー!って喜んでいられるうちは、まだまだ怖さが足りないのだ。僕が求めているのは、箱から頭を出すと髪が全部白髪になっているような、そんな恐怖なのだ。

 ひとまず迫ってくる壁は完成形に達したので、そこに怖いものをいろいろ付け足していって恐怖を増幅させる作戦を考えた。大北君と二人がかりで材料を持ち寄り、ありったけの恐怖を演出する。


僕たちの考えた「怖い」

釘の頭と赤絵の具で引っかき跡みたいな血痕をつくる
裏から釘をバスバス打ち込んで

怖いグッズを設置
これで仕上げ

 一つ一つ、殺意と怨念を込めて恐怖を植え付けていく。そして完成した究極の恐怖がこれだ。

 

ズドーン。この世のあらゆる怖いものを凝縮した壁。定冠詞つきの「THE 恐怖」。(マウスオンで説明が出ます)

 あまりにショッキングなものができてしまった。全体から漂うまがまがしさ。と同時に、武器・ヘビなど、怖いものラインナップの幼稚さ。両極端な2つのテイストが融合して、かなり狂気を感じる出来だ。さらに単純な怖いものの組み合わせにくわえ、スパイスとして吸殻がかなりダーティーな風味を効かせてくれた。

 これはきっと怖いぞ。さっそくかぶってみる。


マウスオンで迫ってきます(怖くなったらマウスをずらそう)

本気で怖い

 こわい!釘が刺さる!罠とか抜きで普通に怖い!おもわず途中で箱から顔を抜いてしまった。釘が目に入りそうだったからだ。

 しかし部屋っぽさは全くなくなってしまった。前ページの時点では、本当に部屋にいるような迫力がそこそこあったこの箱。自分がすっぽり箱の中に納まることで遠近感がよくわからなくなり、スケール感を錯覚してでそこに広い部屋があるように見えていた。

 ところが今回はヘビやピストルのおもちゃのせいで、壁の本当のサイズがわかってしまう。そのせいで迫ってくる壁としての臨場感はまったくなくなってしまったのだ。

 とはいえ、やっぱり怖い。むしろものすごく怖くなった。だってトゲ生えてるもん。壁としてのリアリティはなくても少なくともあのトゲは本物で、勢いよく動かせば目に刺さる。さっきはヴァーチャルだった恐怖が、本当の恐怖になったのだ。

 

技術の平和転用を目指す

 怖い壁はできた。もう満足だ。いたずらにネガティブな感情を追い求めるのはもうやめよう。

 次は、この怖い壁を作る技術を平和活動に転用したい。最後に、同じ方法でハッピーな壁を作ってみよう。


楽しいもの大集合!

楽しそうな人(大北君)の写真を貼り
周りをラメシールで飾る。気分は完全に女子高生

鼻眼鏡も投入
とにかく全部、盛ってみました

 しかしこれだけ楽しい物が並ぶと壮観だ。壁に貼り付けていても、ついつい気分がウキウキしてくる。目の前でじょじょに姿をあらわしていく楽園。

 そして、できあがった究極のハッピーがこれだ。

 

パッパパーン!この世のあらゆるうれしい・たのしいを凝縮した壁、「THE ハピネス」!(マウスオンで説明)

 あふれ出すうれしさ。おもわず「やったー!」と叫びたくなってしまうほど、濃厚な「嬉しい」が充満している。

 この日、僕と大北君、それぞれ自分の考えた「怖いもの」「楽しいもの」を持ち寄るはずだったのだけれど、大北君はすっかりハッピーに気をとられてしまい、持ってきたのは楽しいものばかりだった。彼のそんなハッピー好きな性格もあいまって、楽しいものに埋もれた彼の写真はさながらハッピーの精という感じだ。

 そんなハッピーの精の住むこの箱、どれほどの幸せをもたらしてくれるのだろうか。


マウスオンで迫ってきます

楽しい箱→大北箱

 迫ってきたのは、鼻眼鏡をかけた大北君だった。楽しい壁が迫ってくる部屋のつもりで作ったのだが、大北君の写真を使ったばっかりに彼の顔が迫ってくる部屋になってしまった!

 使った写真は彼が以前記事にした厳寒焼肉大会のときのもので、寒さとアルコールでだいぶ顔が赤い。顔を赤らめた27歳の男が鼻眼鏡で迫ってくる部屋。出口なし。もはやヴァーチャルとか現実とかそういう枠組みに収まりきらない、悪夢みたいな存在感。ハッピー転じて、今日一番不気味な壁がここに誕生した。

 

ずいぶん遠くに来たような

 迫ってくる壁を作ろうとして、試行錯誤しているうちにヴァーチャルと現実を行ったり来たり。最後には、小学生の工作みたいな2枚の壁が残った。

 罠と締め切りの話からずいぶん遠くまで来てしまったなあ、そんなことを思いつつ、この妙なエネルギーを振りまく2枚の壁は僕と大北君で一枚ずつ持ち帰った。こうやって原稿を書いているあいだにも、僕の引き出しからは恐怖の壁が怪しい波動を発し続けている。

並べると小学生の工作みたいなたたずまい。
左が女子グループ、右が男子グループ



 
 
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