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ちしきの金曜日
 
3分でインタビュー〜あなたのケンカ話聞かせてください〜
相方はこいつら。


ライターという仕事をしていて一番面白いのはインタビューだ。文章を書くこと自体もひとつの快楽ではあるけれど、知らない話を当人から聞ける!という喜びの方が実は上かもしれない。

だが、ライターという仕事で一番面白くないのがテープ起こしだ。つまりインタビューを録音したテープやMD・音声データを文章に書き起こす作業、これがとにかく時間がかかる。よく喋る人のインタビューは何分何時間やっても面白いのに、テープ起こしの時は苦痛‥ああパラドックス。これを解消しつつ、インタビューの快楽だけを得る画期的な方法を思いついた。

大坪ケムタ



苦痛じゃない時間だけ聞けばよいのだ

先に書いたとおり、テープ起こしというのはとにかく苦痛だ。一度聞いた話をもう一度聞かなければいけない。しかも、自分の話。聞いてるうちに「ああ、これも聞けばよかった」と後悔してくることもたびたび。

その上、一時間半程度の話を文章化しようとするともう一日仕事。ま、それはテープ起こししつつ適当なサイトをちらほら見てしまう己の集中力の無さと、不器用さゆえなんだけど。使わなさそうな所までわざわざ起こしちゃうのよね。

以前単行本の作業やった時に10時間強のインタビューやった時はキツかったなぁ‥。自然とテープ起こししたデータのタイトルも「地獄」とかつけちゃってたもの。


いや、ネタじゃなくて自然とこんなタイトルに。

インタビューは楽しいのに、テープ起こしは苦痛。これを抜本的に変える方法はないか‥辛いのは、テープ起こしの時間が長いこと。ということは、インタビューの時間を短くすればいいのだ!逆転の発想!実際テープ起こしが苦痛じゃない時間というと‥3分?

といって、逆転はすれど普段の仕事のインタビューで「すいません、テープ起こし面倒なんで今日は3分で‥」とはいえない。テーマを絞って、いろんな人に「3分だけ」インタビューしてみよう。

ただテーマが問題だ。誰でも頭にあって3分で話せそうな話というと、「忘れられないカレーの思い出」とか?それだとただのグルメ自慢になっちゃうな。じゃあシンプルに「一番仲良い友達」?それは絶対話長くなるな、もっと手短に話せるヤツで。

出来ればもっと体験系のことがいい、喜怒哀楽が出そうな。じゃあ「あなたが印象に残っているケンカ」ってのはどうだ?笑いあり涙ありサスペンスあり、になりそうな気もしないでもないし。

ということで「3分だけ話聞かせてほしいんですが」と友人知人に声をかけて、「いいですよー」と言ってくれた皆様のケンカ列伝!

 

離婚話からジャッキー的世界観まで

今回7人にケンカ話を聞いたのだけど、たまたまバー経営の方々に手をあげてもらった。お店に行けばすぐ聞ける、というのでまずはそんなふたりから。

まずは下北沢のバー「エルマーゴ」のマスター・みなこさん。個人的にイベントなどでお世話になってまして、下北界隈の奇抜な人の集まる居心地のよいお店です。それを仕切る彼女の人柄は言うまでもなし。ただし現在のお店の場所での営業は5月までというのが残念。


みなこさん(下北沢・エルマーゴにて)

今回、インタビューする人には事前に聞く内容は話してないだけに、テーマを明かすと「ケンカ、ケンカねぇ‥」と悩みはじめるみなこさん。これ以降もそうなのだけど、正直「自分のケンカ」というと結構皆さん口ごもったりする。ということで暴力沙汰でも口ゲンカでも良し、自分のケンカじゃなくて「こんなケンカを見た」でもオッケーです、と説明を加えると思いついたようで。


「誰でも見れるサイトですよね?じゃあ匿名にします(笑)。お客さんでAちゃんって女の子がいたんですけど、結婚したんですね。で、あっという間に離婚したんです。私がその保証人をしたわけですよ、離婚の保証人」

−−あ、保証人って結婚だけじゃなくて離婚もいるんですね。

「(保証人になるのは)ヤだったんですけどね。それで私ともう一人保証人になった友達とAちゃんの3人で飲んでたんです。その女の子はもうすでに別れた後で、前の彼氏とヨリを戻したんですよ」

−−早いですね、その人も。しかも前カレて。

「それで『私は今の彼一筋で浮気なんかしたことなーい!!』とか言うんです。それ聞いて、ボソッともう一人の女の子が『え、でもAちゃん結婚したの何だったの?』って言ったらカーッとしちゃって。『私には関係ない!』とか怒鳴りだして。場所は『(餃子の)王将』なんですけどね。周りの人もみんな注目しだして、『見てるから』って言っても『見てたっていい!』って言って、しまいには割り箸をバキッ!と割って店出て行っちゃったんですよ」

−−激情的というか、離婚の理由が分かるというか。

「それで『今のナニ?私たちも保証人やってるんだから、それくらい言う権利はあるわよねぇ〜』って残った2人で話してたんですけど、あとで聞いたら彼女は結婚・離婚のこと隠したまま今の彼とつきあってたらしくて」

−−あー、バツイチって内緒で。

「転籍までしたそうで。それで飲み直そうかって言ってたところに戻ってきたんですよ。その後も何かにつれてキレて‥」



はい、ここで3分!長いようで短いような180秒。大まかなストーリーは知れたものの、この辺も知りたい!帰ってきてどうなったの!という枝葉の部分まで辿り着かなかった感がある。3分で詰め込めるよう、こちらも聞くスキルを上げていかねば。


バーとはいえ取材中は自粛しないと。

短い分どんどん聞いていくことに価値がある。続いては渋谷の「BAR ISSHEE」マスターのいっしーさん。

1月に開店したばかりのお店で、ジャンル分けするならばロックバー。長らく音楽業界に携わり海外のフェスにも度々行ってる人だけに濃い話を聞かせてくれます。次はバイオレンスな話が聞けるかな、ロック=反骨!だけに。安直ですが。ということで録音スタート!


いっしーさん(渋谷・BAR ISSHEEにて)

「うーん、あれは中学生‥自分自身のことなんですけど、中学生の時に友達と喧嘩したんですよ。その頃の喧嘩なんでしょうもないことがきっかけだったんですけど、殴り合いになってある程度まで進んだ時に、相手に一発殴られたところでなぜか自分から『ここでやめよう』って言ったんですよね」

−−引き際を自分で引いちゃったと。

「たわいもない理由のケンカだったと思うんですよ。それで続けてしまうと、こいつとの仲ももっと悪くなっちゃうなって思って」

−−相手はそれまでは仲良かった人?

「まぁ、普通に仲良い感じで。殴り合いっていってもそんなむちゃくちゃなことじゃないんだけど。相手の強い時に終わらせておけばいいだろう、って」

−−それで自ら退いたわけですね。また中学生で大人な判断を(笑)。ケンカ自体は結構多かったんですか?

「ケンカはねぇ、まぁ口ゲンカはあるけど掴み合いまでは無かったですね」

−−それは学校自体が?

「激しいのもいたけど、高校になってからが多かったかな。それもどっちかというと先生とやるほうが(笑)。校内暴力が新聞で話題になってくる前ね。うちの中高はアレだったんですよ、国旗あげるときに君が代流れて直立不動、みたいな。そういう時にヘラヘラしてると先生に後で殴られるみたいな学校だったんで‥」


反骨ではないものの男気な話!サラリと話すところが男っぽいなぁ。話題の流れで学校のバイオレンスな話を聞いてるところでタイムアウト。

やっぱりバーは喋るのも仕事だけに話すの上手いなぁ、どちらも。ただ3分ピシッと、というよりはダラダラ話してたい感じなんですが。逆に言えば、3分じゃもったいない。お酒の席の会話って、そんなせわしくてもヤだしね。3分で物足りないくらいがちょうどいいのだ、きっと。


すいません、やっぱり飲んでました。

続いてはコロッとタイプを変えて、ライター・プランナーの荒井さん。ネット界隈に詳しい人なら古参テキストサイト「おはら汁(現C.I.L)」の管理人といった方がいいかもしれません。ちょうど地元・板橋区についての本を書き終えたところだそうで、ケンカネタも板橋周辺の話題だったんですが‥多少文字をボカしつつのお話です。


「喧嘩ですよね?ということは暴力沙汰ならいいわけですよね」

−−ま、そちらの解釈で結構です。

「それで印象に残ってるだったら、ほんとトラウマになってるんですけど、中学一年くらいの時に□□学校の生徒30人に追われたってのがありますね。板橋にずっと住んでて、(隣駅の)十条に友達がいるんでチャリで向かってたんです。そこでいきなり因縁をつけられ、よくわからない言葉でまくしたてられて」

−−初対面なのに因縁てのもヒドいですねぇ。

「普通に信号待ちとかしてたら、いきなり肩を殴られて。こっち2人だったんですけど、むこう4人くらいで。さらにチャリンコとかガンガン蹴られ始めて、これは何だ?と思ってたら、あきらかにやばい雰囲気になってきて」

−−不穏にもほどがあります!

「これは逃げなきゃ!と思ってチャリ漕ごうとしたら、もう押さえつけられてて。それでもうとにかく走って逃げて。とりあえず人通りある商店街に逃げればいいだろ、と思ったらそんなのおかまいなしで、商店街の中でも物投げてきたり、人に連絡して曲がり角ごとに追っ手が増えてくるんですよ。ドラマみたいに」

−−むちゃくちゃスペクタクルですね。

「よくわかんないでっかい声で叫んだと思ったら、次の曲がり角から出てくるわけですよ。今思うと『すげぇな、このアニメ!』って(苦笑)」

−−むしろジャッキー・チェンだ(笑)。

「俺は汚い定食屋のオヤジと闘わなきゃいけないのかと(笑)。そういうノリで逃げて、タクシーとか止めてる余裕もないので、とにかく絶対入ってこないところに行かないと殺される!って思って、最終的に考えたのが埼京線の踏切から線路走って逃げる方法。それで駅の方に走って逃げて、やっと生きて帰れた」

−−ケンカっていうか‥ゾンビ映画みたいな話だなぁ。

「暴徒に終われる一般市民みたいな。記憶に残ってるのはそれですね」

−−そんなんよくあったの?

「しょっちゅうでしたよ」

−−ちなみに捕まるとどうなるの?

「いやぁ、もうここでは言えないような‥大坪さんと喋ってないですよ」

−−他の捕まった話とか聞いたことない?

「拉致られて金取られたとか。友達何人かを捕まえて、それを何倍かの人数で囲むわけですよ。それでひとり身柄押さえて、『こいつを返して欲しかったら金持ってこい』って。身代金要求ですよ。金額も少ないんですけどね、5千円とか一万円とか。『友達を帰してほしければ日暮れまでに一万円用意しろ』って」


一気にバイオレンス度数上がりましたー!学校は実名だったんですが、その辺は控えめに‥。あんまり話がインパクトありすぎて顔写真撮るの忘れちゃったよ!申し訳ない。

しかしバーの2人に比べると明らかに違う文字量。でも実際喋った時間は変わらず3分。多少編集はしてるので、それによる文量の変化もあるし、前2人に比べると早口というのもあるんですが。ある意味プレゼン慣れしてる感じするなー。さすがネット業界。


荒井さんのイメージ写真。夜の池袋。

 

 
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