Q.でもこれだけ長く続けていると大変なこともあったんじゃないですか?大事件とか。
A.いやそんなのはありませんよ。でもお客さんが来なくなったときが一番大変です。
今日満席になったからといって明日も満席とは限りませんからね、と付け加えたマスター。
当たり前のことですが義理や人情だけでは商売はやっていけないんだなと、ちょっと現実に引き戻されました。
でも私がここに来てから小一時間の間にも、お客さんは入れ替わり立ち代りひっきりなしにやってきます。
そのほとんどがマスターと顔なじみの方らしく「風邪ひいちゃったんだけどここのコーヒー飲まなきゃ治るもんも治らないと思って」と、まさに江戸っ子な会話のやり取りが聞こえてきました。
それと同時にこのお店が長く続く理由がわかる気がしました。
実はとんでもない大物と相席していた
私がこの店に入ったとき、初老の男性が1人入店してきました。
この方もどうやら常連さんのようで、会話の様子からほぼ毎日この店に来ているようでした。
この方が来る前からこの店にいたもう1人の男性と顔馴染らしく、その会話の内容は落語に関するものでした。
私はあまり落語には詳しくないのですが、このお2人のやり取りがまさに漫談で、面白くてしかたがなかったのです。
初老の男性の方が仕事で中国へ行ったらしく「今何かと話題になってるからね〜。知らない間に変なもんでも食ったんじゃないかってドキドキしながら帰ってきたけどこの通りピンピンしてるよ」と笑うともう1人の方が「師匠は変なもん食った方が丈夫になるんじゃないのかい?」と返す。
そんなやり取りが続いていました。
しばらくその会話を楽しんだ後、もしかして落語家さんなんじゃないかとマスターにこっそり聞いてみたら
「どちらも若手が聞いたら腰が引けてしまうくらいの大物の噺家さんですよ」と、衝撃の事実を伝えられました。
無知とは恐ろしいものです。「おじさんたちも常連さんなんですか〜」なんて気安く話しかけなくて良かった。
(名前を伺って帰宅後調べてみたら本当に大物の方でした。)
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