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フェティッシュの火曜日
 
食べ物の名称・品名に注目する

 

名称に逆らうとどうなるか

 ここまでで、名称氏の頑固さはよくわかっていただけたことと思う。そんな頑固な名称氏に、果敢にも戦いを挑む者がいた。その挑戦の一部始終を見ていただこう。


「私、生まれはマーガリンですけど、焦しバター風味です。私はバターを名乗るべきではないでしょうか!」

「ダメダメ、マーガリンはマーガリンだよ」

「今日は15%もバターを含んできました。これはバターであると言っても決して過言ではないと思います」

「はいはい、マーガリンね」

「私の半分はバターです。これがバターでないとしたら何がバターといえるでしょうか」

「半分ってなんか微妙だからこれで。」
えー!

 名称氏に逆らい続けたことで、「マーガリン」から「乳等を主要原料とする食品」に。罰としてよけいに得体が知れない感じの名称にされてしまった。恐るべき強権支配。食品業界にはそのうちクーデターが起きるのではないか。名称の自由を我らに!

 

 

カレーパンにはなんと書かれているか

 最後に、今回の記事の発端となったカレーパンの名称について調べてみることで、名称氏のカレーパン観を浮き彫りにしたい。


ドーナツ

ドーナツ

ドーナツ

惣菜ドーナツ

ドーナツ

 

 あれ、ほとんど全部「ドーナツ」だった。なんだ、油菓子なんて僕が食べたやつだけじゃないか。

 ということは、僕が食べたカレーパンと、これらのカレーパンは何か違うのだろうか。たとえば脂肪分が何%以上だと油菓子になるとか。だとすると、名称氏はその脂肪分のパーセンテージに何を見いだしているのか。

 メーカーであるフジパンのお客様相談センターに問い合わせてみたところ、(焼くのではなく)油で揚げる、という調理法を表すために油菓子としているだけで、要はドーナツと同じ意味だそうだ。じつは品名・名称の文言は厳密な規定があるわけではなく、ある程度メーカーが裁量で付けているらしい。だからこうした表記揺れがあるのだとか。(食品の種類によっては例外アリ)

実はメーカー次第だった

 名称はお役所が決めてる、という先入観で58才の公務員のキャラクターを設定してしまったが、実はメーカーが各自で決めているのだった。名称にまつわるいろんなドラマも、実はお役所が説明を放棄したり強権支配しているわけではなくて、全部メーカーが自分でやっていたことだ。名称氏なんていなかったのだ!

 いると思っていた悪役が実はいなかったなんて、ちょっと拍子抜けだ。今日も世界は意外と平和です。

取材中に見つけたお菓子。
岡山だと思っていたきびだんごがいつの間にか北海道銘菓に!

 

 

 
 
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