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ひらめきの月曜日
 
「○○街」の気になる店探訪

●道具街で見つけた「魔性の味」

  続いては台東区・合羽橋道具街。飲食店関係のプロが集まる、調理器具や店舗用品の店が並ぶ街だ。


かっぱ橋という名前もかわいい

 この道具街も、普段は興味がなくても面白いものがたくさん並んでいる。精巧にできた食品サンプルは良い例だろう。必要はないのに欲しくなるその魅力のためか、外国人のおみやげとしても人気があるらしい。


意味なく欲しくなる大売出しののぼり
この店、陶器の密度が日本最高なのではないか

 大売出しののぼりなど、店をやっているわけではない私には全く必要ないものなのだが、なぜだかちょっと欲しくなってしまうのはなぜだろう。家の前に立てておいたら、誰かが騙されて入ってくるだろうか。

 不要ながらも魅力あるものたちが並んでいて、意味ない買い物をしてしまいそうな中、通りをひとつ入ったところに気になる店を発見した。


珈琲のオンリー
「魔性の味」というのが気になる

 「珈琲のオンリー」という店。クラシックな喫茶店といった構えの店だが、やはり気になるのは「魔性の味」というフレーズ。店頭にもいくつか書かれていて、とても気になる。これは入って確かめてみるしかないだろう。


「大盛りコーヒー」というのもあんまり見ない
自家焙煎の本格派

 メニューにはいくつかの種類のコーヒーが並ぶ。店の人に「魔性の味というのはどれになるんですか?」と聞いたところ、ブレンドコーヒーとのことなのでそれを注文。

 コーヒーが来るまで店内を見回していると、魔性の味の正体を発見。6種類の豆をブレンドしたコーヒーであるらしい。


魔性の味のコーヒー
違いのよくわからない男

 実は私は結構なコーヒー好きなのでこれは楽しみ。そうこうしている間にやってきたブレンドコーヒーを飲んでみる。

 うーん、いい香り。味わいも豊かでおいしい。

 酸味がある?とか、コクがある?などと言葉を思い浮かべてみるものの、どれにも今ひとつ自信がもてない。コーヒーは好きなのだが、普段からゴクゴクとよく飲んでるだけであんまりよくわかっていないのだ。

 そういうやつがおいしいよと言ったところで、説得力がないのだが、「たぶんうまい」というくらいまでなら言い切ってしまっていいと思う。

 

●電気街でワカメが買える店

 続いては千代田区・秋葉原。電気街として古くから有名だが、電気製品の中でもパソコン、またホビー系の店もたくさん集まっている街だ。


駅は改装中だったが…
振り返るとドーン

 駅の東側は再開発でキラキラしたビルがたくさん建っている。ここ10年ほどの間にかなりの変貌があった秋葉原だが、次の写真に気になるところがあるのがおわかりだろうか。


キラキラビルと低層ビル、それから…

 写真右下に白い看板を掲げた店があるのがわかるだろう。文字が読み取れるだろうか。

 その店、正面から撮った写真がこれだ。


くっきりと千代田海藻
隣はいかにも秋葉原な感じのお店

 白地に太い筆文字風で「千代田海藻」。ピッカピカのビルと差し向かいに立っているコントラストがうまく写真に納められずくやしかったのだが、かなりの異彩を放っている。

 海藻ってあれだろ、ワカメとかコンブとか、へろへろした海の草たちだよな。秋葉原と縁遠くないか。


小売り対応

 店頭に張ってある紙によると、小売りもしてくれるとのこと。店の雰囲気には強い問屋感を覚えるのだが、普通の客にも売ってくれるのか。

 なんとなく敷居が高いが、ワカメを買うべく中に入ってみる。すみませーんと声をあげると、奥からおじさんが出てきた。

 場違いなところに来てしまったかと思いつつ「ワカメを買いたいんですが…」と言うと、情のこもった口調で「いいのがあるよ〜、200g500円!」と返してくれるご主人。

 ちょっと安心し、ではそれでとお願いすると店内にあったワカメの入った段ボールに手を突っ込んでワカメを取って、重さを量りはじめた。


このタイプのはかり、稼働中

 このはかりがかなりの年代物。現役で使われているのを見るのはいつ以来になるのだろう。店構えの印象だけでなく、中に入ってさらに昔に戻ったような気持ちになる。

 量りながら、「このワカメはいいもんだよ〜」とおっしゃるご主人。その口調が、ワカメのことをいかにも大事に自慢するような感じなのだ。

「ほら、水がよく切れてて塩が白くついてないだろ。スーパーに売ってんのはもっと塩がついてて水っぽいだろ。おんなじ重さでも意味が違うからな」


言われて気づく質の高さ

 確かにそうだ。よく袋詰めされて売っているのとは違う。

「味噌汁とかじゃなく、三杯酢で食べて欲しいねえ」とご主人がおっしゃるのは、やはりこのワカメに自信があるからなのだろう。こういう買い物をしたのは久しぶりだ。

秋葉原には以前、青果市場があった。この海藻屋さんはその名残りであるらしい。市場は移転し、その跡地にはピカピカのビルが建ったが、この店は残り続けたというわけだ。

 いろいろな専門街の中にある、異彩を放つ店。その街のもつ一般的なイメージと離れているほど際だつ存在感。

 今まで通ったときに何度か目にして気になっていた店たちを、一気に訪問できてすっきりした。ワカメはおじさんの言う通りにして食べたらとてもおいしかったです。


 
 
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