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はっけんの水曜日
 

箱枕で寝ぐせ知らず

およそ枕を作っているようには見えないですが。

低反発、そば殻、横向き用。これらのキーワードに共通するものといえばなんだろうか。

そう、枕だ。

枕には実に様々な種類のものがある。その中でもあまり現代人になじみのない箱枕という枕を今回使ってみた。というか作ってみた。

安藤昌教



寝ぐせがすごい

とにかく僕は寝ぐせがすごい。写真はごく最近の朝の光景だ。アトムか。もちろんこのまま外出するわけにもいかないのでシャワーを浴びたりドライヤーかけたりする必要があるのだが、そのために出かけるまでにかなりの時間をロスしてしまうのだ。寝ぐせさえつかなければ起きてすぐ家を出られるのに。なんとかならないものだろうか。

ぴょん、とはねてなかなか戻らない。  

寝ぐせの原因について少し調べてみると、驚くほど簡単にその解決策に行き着くことになる。「寝る前に髪をちゃんと乾かすこと」だ。なんと的確な。そしてそんなの調べなくてもうすうすわかっていた。確かに僕は夜髪を洗った後、面倒くさいので半乾きのまま寝てしまうことが多いのだ。要するにこれさえやめればいい話なのだが、ここを正すのは自分のライフスタイルを否定することを意味するだろう。そんなの嫌だ。他の要素を変えることで寝ぐせが治るのならばそちらを優先したい。

例えば枕を変えてみてはどうだろうか。寝ぐせのつきにくい枕ってないものだろうか。

寝やすいんだけどね。  

これが僕のこれまで使っていたまくらだ。正直とても寝心地がいい。しかし改めて写真で見てみると、横になっているときに頭と枕との接地面が広いことがわかる。そしてそのエッジ部分で髪の毛がはねている。これが寝ぐせの原因と思われる。

ならば枕の形を変えたら寝ぐせがつかないんじゃないか。幸い僕は枕が変わると眠れないとかそんなデリケートな人間ではないので、寝ぐせがつかない枕を模索してみようと思う。

頭との設置面積が広いのがいけないんだ。  

そこで箱枕だ

いろいろと枕の形を思案していたとき、箱枕という存在を知った。箱形の枕、つまり時代劇に出てくる武士や殿様が使っている木でできた枕のことだ。

もちろん現代では特殊な用途をのぞいて一般的に使われているものではない。特殊な用途というのは、たとえば日本髪を結った女性が夜をまたいで髪型をキープしたいときに、この箱枕で寝ることがあるのだという。つまりはこれで寝れば髪型がくずれないということだろう。まさに僕の目的にぴったりじゃないか。

しかしそんなある意味特殊な枕、普通にデパートの寝具売り場とかでは売っていない。インターネットでアンティークな箱枕が販売されていたりしたが、これは実用というよりも骨董品としてだった。実際、ほとんど需要がないのだろう。ならば自分で作るしかない。


ないものは作ろう、これがデイリーのモットーだ。都合のいいことに箱枕はとてもシンプルな作りをしている。木箱があって、その上に細巻きの枕が乗っかっているだけだ。まさに箱、そして枕。昔は人が眠っているとき、その魂は肉体から抜け出していると考えられていた。その魂を収納する場所、これが箱枕だったわけだ。寝ぐせをつけないためにこんな神聖なものを作るのは少々気が引けるが、僕にとっては深刻な問題なのだ。許してもらいたい。

これだけの材料で箱枕はできる。  

それではいざ箱枕を作りたいと思う。とにかく資料が少なくて寸法などは適当なのだが、現存するものの写真や当時描かれた絵などからおおよそのサイズを決定した。木箱部分の高さは10〜12センチ程度と思われる。あまり高いと首が痛そうだし、あまり低いと意味をなさない。

作業の様子がちまちましているのは作業場所が自宅のベランダで、しかも日が暮れた後だったからだ。派手にぎーこぎーこやっているとなにかバラバラにでもしているんじゃないかと誤解されそうだったから。都会の生活に気遣いはマストなのだ(都会じゃないけど)。


のこぎり引いていたらメガネが飛んだ。 切り出したら丁寧にヤスリをかける。
箱枕は別名船枕とも呼ばれているらしく、その名の通り箱が船の形をしているものがある。これには訳があって、船型をしていると寝返りしやすいのだとか。なるほど。ただの木箱ではさすがに寝づらいだろうとは思っていた。先人の知恵にあやかって適度に箱の側面部の角をとって船型に加工する。そして各部材をビス留めすると、箱枕の土台部分の完成だ。ここまでの所要時間、約30分。
船型の箱枕側板。  
各パーツをビス留めして。 箱枕の完成だ。

意外なほど短時間で台座部分ができてしまった。手で押してみるとちゃんと船をこぐように力を入れなくても左右に揺れる。これならば寝返りをうっても大丈夫だろう。

ちゃんと揺れるだろうか。 パーフェクト!
木で作った台座の上に小さくまとめた枕を設置して箱枕の完成だ。時代感を出すために和柄を選んだのは正解だったと思う。僕としては満足なできなのだが、わかってもらえるだろうか。実はこれ、布団と一緒に置くとその存在感を発揮するのだ。まあ次のページを見てくれよ。
柄もしっくりきていると思うのだが。  


 

 
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