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ちしきの金曜日
 
灘の酒蔵めぐり
 


前回神戸に行った記事を書いたのだが、そこで知り合った方が「灘の酒蔵巡りはおすすめだよ、試飲たくさんできるし」と教えてくれた。

灘区〜東灘区には酒蔵が多数ある。そこを一軒ずつ回っていくのだ。たのしそう。
そして何より、しぼりたてのお酒が待っている愉快な散策。

お酒以外のもろもろとの出会いにも酔いしれてきました。

(text by ほそいあや



出発!

阪神魚崎駅から出発することにした。今日は昼間から無礼講だ!のめやのめや。
実は日本酒あまり飲めないのですが、○○巡りという言葉にはときめきを隠せません。


さあ歩くよ。巡るよ。

酒臭くない。
駅からの道は普通の住宅地だが、歩いていると所々に見慣れない建物が見え始める。あれが酒蔵か。初めて酒蔵を見た。
自宅の近所にお酢の工場があり、前を通るたびにツーンとすっぱい匂いがするのだが、きっと酒蔵の前もお酒の匂いがするのだろうと想像していた。しかし、全くしなかった。
というのも、シーズンオフだった事を後に知るのですが。
この中全部お酒かしら?!
タンクから道をはさんでコンビニの上を通る管。まさかここをお酒が通ってるのか?や、それはないだろう。

 

● 一軒目「菊正宗酒造記念館」

有名な酒造メーカーである。
ちょうど外には観光バスが停まっており、中には多数の観光客がいることが予測できた。


さりげなくバリアフリーでした。

わーいわーい。
名前を書いて入館する。
ちなみにこの酒蔵の原酒は美味しいと評判らしいが、非売品だそうだ。それなのに試飲はできる。なんという生殺し。
と思えば、たまにこっそり販売している時期もあるとかで、酒飲みの心を華麗にもてあそぶようなシステムである。
観光客は外国人御一行だった。すごいテンションで試飲している。
まぼろしの原酒ゲット。
外国人さんに「ホワッツディス?」ときかれたので「ジャパニーズピクルス」と答えたのだが、よかっただろうか。
うめえうめえ。

外国人さんは「ベリーナイス!」と言ってなら漬けを食べていた。日本人でも好き嫌いがあると思っていたが、わりといけるようだ。
試飲もかなりハイテンションで何杯も飲んでいる。きっと日本酒が珍しく、口にも合ったのだろう。

この原酒、日本酒に関して言えば下戸の私でもおいしさを実感できた。辛口ですっきりしている日本酒ならおいしいと思えることもあったが、ここまで濃くがっしりした味でもおいしいと感じた。やっぱりしぼりたてだからだろうか。ほんの少しの試飲だが満足。またこのなら漬けが相性ぴったりなのだ。


奥の展示がちょっとした「お酒テーマパーク」みたい。

「夏子の酒」ごっこもできるよ。
樽がでかい。
おかめのぐい飲みに萌えー。

酒造兼資料館ということで、なかなか見応えがあった。
帰ろうとした頃、展示エリアに試飲を終えた外国人観光客が流れ込んできた。まだ試飲してたのか。

でも、皆とても楽しそうに写真を撮り合っていた。
これを機に日本酒や漬け物を好きになってくれるといいと思いながら建物をあとにした。

 

● 二軒目「瀧鯉蔵元倶楽部 酒匠館」

途中の沢の鶴がお休みだった事を残念がりながら歩いていると、こぢんまりとした大正ロマンな建物が現れた。


渋くて古くてかっこいい。日本兵とか出てきそう。

人の気配がしない・・・
入り口を見つけると、おお?
やっぱり大正ロマンだー。
となりの部屋は普通にお酒を売ってた。
買いたかったがすでにかばんはお土産の珍味で重かったため断念。

この建物、やっぱり大正時代に建てられたそうだ。スパゲッティのチェーン店「馬車道」の本物という感じの雰囲気だ。わかりづらいと思うけど。

他にお客さんが居なかったこともあり、店員さんが色々と説明してくれた。阪神・淡路大震災でも倒れなかったのか、すごいなあ。

そしてここでもお酒の試飲。これはフルーティだった。ああ、日本酒ってうまいのね。少量で満足する感じも心地よい。今までちゃんと向き合ってなかったのがもったいない。

 

● 三軒目「泉勇之介商店」

ここも比較的小規模な酒蔵。そういう所のほうが建物がかっこいい。「灘泉」というお酒を造っている。


六甲おろしを利用して水を冷やす過程があるらしく、風を受けやすいように建てられている。

人んちっぽいおもむきだ。落ち着く。
やおらおじさんに声をかけられる。

 

おっちゃん

入っていくと、急におじさんが
「見学してくか?試飲するか?」
と声をかけてきた。「あ、お願いします!」とおじぎをすると、
「おっちゃん、今暇なんだよ、暇だから相手してあげるんやからな!普通だったら相手せーへんで!」
とこちらの相づちも許さないアピールで畳みかけられて面食らう。

すごく面白いおっちゃん、突然の出現だ。

実際は予約が必要らしいが、シーズンオフのこの季節は仕事がないらしく、じっくりと酒蔵の内部を見学させていただいた。

次ページからは、おじさん(以下おっちゃん)の軽快なガイドでお送りします。


 

 
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