猫は高いところがお好き
だが幸いにも、猫は再び見通しのきく道路のほうへでたようだ。ぼくもまた小屋から通りにおり、小さくなった猫の後ろ姿を必死に追う。 すると、猫がまたもや家の庭に入っていくのがみえた。
お、あんなところに
猫に遅れること1、2分。家の前までたどりついたが、
見当たらない
うーん。今度こそ完全に見失ったか。小屋での出来事を悔やみつつ、ふと視線を上げると、
おった。おったわい! おったけど、丘のぼってるわい! どうするどうする結構急だぞ。アワアワしながら今きた道の先に目をやる。
坂道発見
丘にのぼって再会
よし、猫より大まわりにはなるが、あの坂をのぼって追いかけよう。
なんとまたまた幸運にも、坂をのぼったところにある家の前にちょうど猫があらわれたのだ。でもタイミングがあまりにバッチリすぎ。警戒されてしまうと案じたが、猫はたいして気にするふうもなく、一瞥だけをくれるとまたヒョコヒョコ歩きだした。
距離を大きくあけ、猫よりも低い位置に移動して見上げる形でそっとあとを追う。
予測はずれる
まっすぐ歩いてくるかと思いきや、途中で脇道へ入ったようだ。
そして最後にサービスショット
だが、こんな事態にはもうなれたもの。すぐに軌道を修正して、
リカバリー
リカバリーはしたが、猫はどんどんスピードを増して立ち止まることがない。ああ、いちばん避けたかった追いかけっこの様相に。だがこうなったら意地だ。日が暮れるまで追いつづけるぞ!
斜面を駆け抜け、塀もひとっとび
なんとかカメラを向けるも撮影するたびに距離があいていく。これはやばい。 少しでも近づくべく、ふたたび相手の進路を予測し、先回りを試みる。
息を切らしてのぼった小さな道の先には!?
ちがう猫いたー!
しかも、
かぷり
子猫くわえてるー!
興奮して荒くなるぼくの鼻息。 そしたら、
あの猫も見失った
最後に出逢った子持ちの猫。突然あらわれたぼくにびっくりして、子供を噛む口に力が入ったりはしなかったろうか。がぶ。心配だ。 ずっとぼくに付き合ってくれた猫。何度も驚かせて申しわけなかったけど、おかげで一度やってみたかった野良猫の追跡を心ゆくまで楽しみました。
猫が平然と前を歩いているときには、なんだか「ついてこいよ」って言ってくれてるみたいで、子分肌のぼくにはたまらない時間でした。
「遅れるんじゃねえぞ」