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土曜ワイド工場
 
もっと知りたい!紙パッケージの「あの部分」

遂に真打ち、ジッパーの刃型の登場!

次に、お待ちかねのジッパーの刃型を見せてもらった。おおおお!刃の並びが確かにあの「開け口」だ。例えると、彫刻刀セットの中に入っている三角刀の刃が規則正しくならんでいるみたいに見える。美しい…。このいかにも工業製品っぽさ。思わずウットリと見入ってしまう。


憧れのジッパーの刃型が今ここに!

さて、この写真の中に2種類のジッパー刃があることにお気付きだろうか?写真向かって左に見える刃が既製品。画面右側から中央奥にかけて伸びる刃が手作業で作られたものなんだとか。

実は、こういったジッパーや切り取り線用のミシン目の刃には既製品の刃があり、刃型業者に注文すれば比較的簡単に作ることができるらしい。しかし、時に職人さんが1つひとつ手作業で刃を折って作る刃型を使うこともあるというのだ。

土台の板をひっくり返して裏側からみると一目瞭然。
既製品のものは1本のつながった金属刃がそのまま埋め込まれているのに対し、手作業のものは仕上がりラインに沿って1刃ずつ打ち込まれているのがわかる。


一見して見分けがつかないのだが…
裏側をみたら一目瞭然

 

本当に開けて欲しいジッパーがある

面倒臭がりの私としては手作業で刃を折って型を作るよ りも、既製品を使った方が楽な気がするのだが…。
既製品と手作業の違いは、切り取りやすさの違いにあらわれます」と説明してくれたのは「かみの工作所」のデザイナーで、国立デザインセンターの三星さん。

三星さんによると既製品の型を使用した場合、切れ目同 士の間に少しだけ距離ができるらしい。出来上がったジッパーを開ける際、その距離が大きいほど、手で紙を破る力が必要になる。 それに対して手作業のものは、刃の折り方や角度を調整して隙間の少ない切れ込みを入れることができるため、開ける時の抵抗も少ないということなのだ。


刃同士の隙間について図解してくれた

出来上がったものを切り取ってもらうと、違いがハッ キリわかると思います
とのことなので、2種類のジッパーを開け比べてみた。


切り取ったあとの毛羽立ち具合に注目

向かって左側のものが手作業、右が既製品のものだ。 破り開けた後の紙の毛羽立ちに注目して欲しい。 手作業のものは既製品に比べて毛羽立ちが少ない。その 分手作業のジッパーの方が開けやすいということだ。

三星さんはこう教えてくれた。 「手間のかかる作業なので、大抵のものは既製の刃を使 います。ただ、作り手の強いこだわりがある作品の場合 にはあえて手作業の刃を指定していますね」。

そこには「本当に開けて欲しいジッパー」があるようだ。 確かに手作業の刃で付けられたジッパーは、いくつでも 開けたい使い心地だ。 一見同じに見えるジッパーでも、見えない部分でこんな に違っているのだ。


刃型に関して熱く語り合う

しかし、これで驚いてばかりはいられない。次は、ついにこの刃型を使って紙に切れ込みを入れていく作業に進んでいくよ。


 

 
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