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ロマンの木曜日
 
会社名を少しだけ変えたい

トラブルというものは突然やって来る。

夕べ、僕は日曜担当ライターのヨシダプロの家にいた。デイリーポータルZラジオの収録のためだ。林さん、べつやくさん、荻原君、大北君もいた。とても楽しい収録だった。収録後、事務所に戻って今日掲載の原稿を書き上げる予定だった。栃木で取材してきた内容を3ページほどのレポートにまとめる。ヨシダプロの家から事務所に戻るのが深夜0時半、1ページ書くのに約2時間として、朝までには終わる計算だった。  

しかし、トラブルは突然やって来た。
事務所に帰ると、停電だったのだ。

(text by 住 正徳



停電、さあどうする?

マンションのエントランスが真っ暗だ。エレベーターも動かない。そういえば、給湯室に「停電のお知らせ」というプリントが貼ってあったような気がする。それが今夜だったのだ。状況を完全に把握出来ないまま、携帯電話を懐中電灯代わりにして非常階段を上った。僕の事務所は3階にある。


エントランスが真っ暗

エレベーターも動かない


携帯電話で照らしながら階段を上る

真っ暗だ。そして階段が辛い。今日1日、ずっと働いていたのだ。たった3階といえども足腰にくる。もし事務所が4階だったら辿り着けなかったかもしれない。3階にしておいて本当に良かった。


2階を通過

手探りで

3階に到着

不安でならない

エヴァンゲリオンの中にネルフ基地が停電になってしまうエピソードがあった。最先端科学を駆使したネルフ基地が、停電によってほとんどの機能を失ってしまうのだ。科学は万能じゃない、という教訓を説いたエピソードのように理解していたが、今日、その考えが変わった。あのエピソードは「電気を大切にね」というメッセージを伝えたかったのだ。

そんな事を考えながら、ようやく事務所の扉までやって来た。携帯電話で鍵穴を照らしながら鍵を開ける。自分の事務所なのになんとなく後ろめたい気分だ。


ピッキングのようだ

事務所の中に入り電気のスイッチを押すがやはり電気はつかない。

玄関においてあった非常用の懐中電灯を照らし、事務所の中をゆっくりと進む。事務所荒らしの人たちはこんな感じで事務所内を物色するのだろう。視界の悪い中、大変な作業だと思う。


非常用懐中電灯で照らしながら

事務所内を探る

給湯室で本当に停電か確かめる事にした。
停電と思いながらスイッチを押したから点かなかっただけかもしれない。


停電のお知らせ

やっぱり今日だった。具体的には夕べの23時50分から今日の朝5時半まで、約6時間の停電だ。前日も同じ時間帯で停電だったらしいが、その時間、僕は栃木にいた。今日の原稿のために取材をして、夜遅くなったので栃木のホテルに泊まっていたのだ。今夜、それを原稿に起こそうと思っていたのに、停電という事はパソコンの電源も入らないという事である。パソコンの電源が入らないという事は原稿を書けないという事だ。冒頭でも書いたように、今回の取材をまとめるには3ページは必要だ。最短でも6時間はかかる。朝5時半から書き始めたとして、書き終えるのが11時半。そこからコーディングをして12時、公開時間を1時間も過ぎている。

まずい。まず過ぎる。

オフィス内はどこも真っ暗

僕のデスクも真っ暗

パソコンも起動しない

ここから、僕は言い訳を考える作業に入った。
検討の結果、以下の対処法を思いついた。

1.お腹が痛くなって動けなかった、と林さんに連絡をする。
2.ぎっくり腰になって動けなかった、と林さんに連絡をする。

林さんはいつも朝の5時くらいまで起きているので、それくらいの時間に携帯メールを入れるのが良さそうだ。

しかし、どうだろう。
ヨシダプロの家では元気だったし、ヨシダプロの家から渋谷までずっと林さんと一緒だったし、急病と言い張るには無理がありそうだ。

どうしよう?
時間はすでに深夜1時40分だ。

時間は刻々と過ぎていく

ふと、10年以上も前の事を思い出した。会社勤めをしていた頃、社員旅行で香港に行った時の事だ。

社員旅行で香港だなんて随分贅沢な会社だと思われるかもしれないが、そこには一つ落とし穴があった。香港に行ってる間、その様子をホームページ上でリアルタイム更新しなければならなかったのだ。日中起こった事をレポートにまとめ、夜中にそれをホームページにする。そんな3泊4日である。楽しいはずがない。しかし、2日目の朝、事件は起こった。僕の上司がデジカメを壊してしまったのだ。1台しかないデジカメが壊れたのである。もう、レポートを作る事は出来ない。ホームページ作りは中止か? 僕たち部下は「良く壊してくれた」と心の中で拍手を送っていたのだが、その上司の口から意外な言葉が飛び出した。

「写真がダメなら絵で伝えよう。スキャナーならホテルのビジネスセンターにある」

結局、その案が通って写真の代わりに絵でレポートする事に決まった。絵を描く分、余計に時間がかかってしまい、「なんでデジカメを壊したのか」と僕たち部下はその上司を恨んだ。

10年以上経った今、僕はデジカメを壊した上司と同じ状況にある。
デジカメがなければ絵で伝える。その発想が、今、必要とされているのだ。

さあ、どうする?

あ、そうだ!
僕にはMacBookAirがあった!


MacBookAirがある

MacBookAirなら電源を繋がなくても内蔵電源で動いてくれる。
これを使えば朝までに原稿を書き上げる事が出来る。

いや、違う。

MacBookAirは電源をつながない状態だと3時間ちょっとしかもたない。しかも、夕べ電源をつながずにMacBookAirをいじっていたせいで充電が半分もない。もって2時間か。

どうする?


充電が…

本格的に困ってしまった。


……

こういうのとかどうかな

「懐中電灯で下から顔を照らすと怖い」
という記事はどうだろう?

ダメだろう。

Jackpot : Jackpot

そして今、5時になろうとしている。そろそろJ-WAVEから「オハヨウゴザイマス」という外国人女性の声が聞こえてくる時間帯である。

結局、深夜3時過ぎに停電によるトラブルをそのまま記事にしてしまう事に決め、MacBookAirで原稿を書いた。思ったよりもMacBookAirの電源はもってくれてここまできた。しかし、もう時間はない。「予備電源で動いています」と表示が出てしまったのだ。そろそろ落ちてしまうだろう。僕の電池も間もなく切れる。おやすみなさい。




 
 
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