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ちしきの金曜日
 
福澤諭吉のトルコライス?
 


慶應義塾大学が創立150年記念の一環として、福澤諭吉にちなんだ学食メニューを期間限定で販売している。

メニューは全部で第3弾まで予定されているが、そのうちの第1弾、「文明開化の昼餉(ひるげ) 福澤諭吉のおすすめランチ」のメニューを見て驚いた。トルコライスのようなものがあるではないか。その名も「慶應土耳古(トルコ)プレート」。明治時代の文献を元に、学生と生協が共同で開発したメニューだという。

さっそく、長崎から飛行機飛ばして食べに行って来ました。

(text by T・斎藤



緑豊かな慶應・三田キャンパス
「慶應土耳古(とるこ)プレート」  
「味噌すき牛鍋風」
「空知汁(そらちじる)」

 

文明開化の昼餉 福澤諭吉のおすすめランチ

上記の3品が、福澤諭吉にちなんだメニューとして考案されたものの第一弾。そして私が大いに注目したのは、この中の「慶應土耳古(トルコ)プレート」である。

スパゲッティが無いものの、これはどう見ても謎の長崎名物・トルコライスではないだろうか。これが福澤諭吉と関係してるとは…?!

 と、その前に、トルコライスとは何かご存知でないかたのために一応説明を。
 トルコライスとは、ひとつの皿にピラフ、トンカツ、スパゲッティが盛られたもの。が、

  • なぜこれがトルコなのか?(トルコはイスラム文化なのでトンカツは食べない)
  • なんで長崎名物なのか?
  • その発祥は?

など、いろいろと謎が多い。いくつか説はあるが、どれが本当なのかハッキリとはわかってない。


開発に関わったメンバーの一人、荒木結香さん(文学部4年)

今回のレシピは、学生と生協食堂が協力して考案したという。メンバーの一人、文学部4年生の荒木結香さんにお話を伺うことができた。それによると…

土耳古めし

福澤諭吉が創刊した新聞「時事新報」に、「何にしようね」という料理コーナーが連載されていた。そこに、土耳古プレートの元になった「土耳古めし」のレシピが掲載されていたという。日付は明治26年10月21日。


土耳古めし
先づ鶏か牛肉にてソップを取り置き此ソップにあっさり鹽味(しほあぢ)を附け之を水に代用して飯を焚く可し、飯の焚ける前、別に鍋を掛け置きてバタをぢりぢりと底一面に煎り散らし、焚けると直ぐに飯を其中に入れて充分に掻廻はしバタのまんべんなく廻りたるを見て之を御鉢に移す可しバタ餘り多ければしつこき故其所らが手加減の肝要なる所なり少し鹽味を含む上に其味ひ云ふばかりなければ別におカヅが入らぬ程にて香の物か前號鳥めしに用ひしかけつゆ位にて事足るべし


また、明治時代の小説「食道楽」(村井弦斎)にも土耳古めしの記述があるという。どうやら、当時それなりに知られていたレシピらしい。

これが土耳古めし

さて、しかし「土耳古めし」のレシピはご飯部分だけで、カツはない。ここにどうして「慶應土耳古プレート」ではカツが付くことになったのか?

それは荒木さんらが土耳古めしの話を生協食堂のシェフにしたところ、シェフが長崎のトルコライスを知っていて、それに習ってカツを添えることを提案してくれたのだそうだ。なるほど、それで見た目がすっかりトルコライスになったというわけか。

シェフの案で、長崎のトルコライスに習い添えられたカツ。

 

トルコライス・ネーミング説に決定打か

前述の通り、トルコライスのネーミングの由来には諸説あって、本当のところは謎に包まれている。が、これでなにやら、ひとつ見えてきたように思う。

現在候補として挙げられている説は、

  • トリコロール(三色旗)から取った
  • 西洋(スパゲッティ)と東洋(ご飯)の架け橋(トンカツ)に位置するのがトルコだから
  • トルコ風呂で働いていたあるトルコ嬢が好きなメニューを一皿に持ったものだから
  • 昔長崎にトルコという名前のレストラン(喫茶店?)があり、そこのメニューだったから
  • ピラウというトルコ風プラフに、カツとスパゲッティを添えたものだから

が、これに明治時代に既に知られていたという「土耳古めし」の話を考慮すると、どうやらトルコ風ピラフ=土耳古めしにカツとスパゲッティを添えたという説が有力。というか、それでもう決定!…でいいんじゃないか、と思った。

もぐもぐもぐ…

さて、味の方だが、写真からも伝わって来てると思うが、なかなかおいしかった。値段は483円。
さすが学食。安いなぁ〜。

普段、女子大生と話す機会など滅多にないもので…
やや戸惑い気味のT・斎藤。(大丈夫か)

 

次々といただく

次に、頂いたのは「味噌すき牛鍋風」。
味噌味のすき焼き。

日本で牛肉が食べられるようになったのは江戸時代末期頃からで、多くの人がまだ敬遠しがちであった中、福澤諭吉は早くから好んで食べていたそうだ。

「味噌すき牛鍋風」 (252円)
それと、半熟卵。

味噌味というのもさほど違和感は無い。
半熟卵を絡めて食べたら、うまくないわけがないだろう。

半熟卵に絡めながら食べる。

お次は空知汁(そらちじる)。
これも「時事新報」の料理コーナー「何にしようね」で紹介されていたレシピを元に復元したもので、北海道空知郡の郷土料理なのだとか。

空知汁(そらちじる) 157円

これ、かなりうまかった。

が、学生たちの間からは「高い」という声が挙がってるんだとか。157円のどこが高いのか!?と思ったら、学食メニューのとん汁が100円で、それと比べて高いと言ってるのだとか。比較対照が安過ぎて焦る。

癒し系美人女子大生に見守られながらの昼食。
こういうサービスの店があったら案外いいかも…。

最後に瓶入り牛乳を。
こちらも今回の福澤諭吉にちなんで用意したものだそうだ。
たしかに、言われてみると瓶入り牛乳って、最近は銭湯でしか見かけないかも。

瓶入り牛乳
んめぇ。

牛乳も明治時代から飲まれるようになったもので、それまではまだ一般的な飲み物ではなかった。福澤諭吉は腸チフスにかかった時、牛乳を飲んで回復した経験から、積極的に牛乳を飲み、牛乳の広報活動に一役買っていたという。

話を聞いてみると、福澤諭吉ってかなり食のチャレンジャーだったみたいだ。

第1弾1期:「文明開化の昼餉 福澤諭吉のおすすめランチ」は、4月22日〜5月10日まで。その後、第1弾2期が5月20日〜5月31日で、長ネギを使った「明治のライスカレー」「きゃべつ巻き」などが登場する。その後も、第2弾、第3弾と続く予定だとか。学食は、慶應の学生でなくとも、一般の人でも誰でも利用できる。

取材協力:慶応義塾大学

土耳古プレートは一番人気とのことでした。
たしかに、みんな食べてた。

 
 
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