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ひらめきの月曜日
 
そら豆を愛するNPO法人があった

黙々と働く皆さん

タカハシさんもハイペースで収穫していた。お互い没頭しすぎているせいか、会話もない。

しかし、どうやらこれは私たち以外にも当てはまるようで、参加していた他の皆さんも、それぞれバラバラに、黙々とそら豆を採り続けていたように思う。

こういうのを本能というのでしょうか。それとも妙な脳内物質でも分泌されてしまいましたか。


カゴが一杯になったらそれをザーッと箱にまとめて、
再び畑の中へ。

そういえば「山武陵西」の方にばかりいて「あまえくぼ」の畝はまだ見てなかった。タカハシさんと「次はあまえくぼの方に行こう」と声を掛け合い、山武陵西の畝から離れることにした。

あまえくぼは、そら豆嫌いの人にも食べてもらえるように、甘みが強く、しかもそら豆独特の香りが少ない品種なのだという。

そういえば、そら豆が嫌いな人って必ず「あのニオイがちょっと…」って言いますもんね。もったいない。


では、こちらも生でいただきます
見た目はさっきとほぼ一緒。ツヤッツヤですよ。

おお、味が違う! そして確かに甘みが強い。さっきの山武陵西が栗の味ならば、あまえくぼはアレだ、トウモロコシだ。この甘さはコーンに例えるのがピッタリだ。

これを加熱して食べたら…と思うと、また興奮して採取する手に力がこもる。

ちょうどそんな時だった。「皆さーん、お昼にしましょう。茹でたそら豆を用意してありますから、一緒に食べましょう!」と、会の方から声が掛かった。

ああ、食べます食べます! 食べさせてください!

 

福に至ると書いて「至福」

会の皆さんは、そら豆を茹でたり焼いたりして参加者をもてなしてくれた。


一瞬「枝豆か?」と思うほどに大量。
こちらでは焼きそら豆を。

いいのだろうか。こんなにもてなされて。

会の方は「いやぁ、そら豆が好きな人の輪を広げたいんですよ」とおっしゃるが、ここに参加している人は既に十分そら豆大好き人間だと思います。


体を動かした後だけに、気持ちいいことこの上ない。

そら豆がどんどん出てくる。恐縮してしまうくらい出てくる。

採れたてのせいか皮が柔らかく、一緒に食べても青臭さがほとんどない。皮だけを単独で食べても十分においしい。実のおいしさなんて、ちょっと罪なくらいですよ。

だってこの味を知ってしまったからには、これから先、どこでそら豆を食べたって「これ以上の物」には出会えないワケですよ? どうしてくれるんですか。


皮の柔らかさが伝わりますでしょうか。
おいしさが伝わりますでしょうか。ああ罪な味。

ちなみにこの収穫体験、参加費は2000円なのだが、それには昼食代も含まれている。おにぎりとお茶とそら豆だ。これだけあれば、他に何がいると言うのか。

…いや、すみません。言い過ぎました。事前に「お酒は好きに買ってきて下さい」とのことだったので、ビールを持ち込んでおりました。やっぱりそら豆にビールは欠かせませんよねぇ。


う、うめえ。

ふと振り返れば、そこには田植えを終えたばかりの田んぼが広がり、風は心地よく頬を撫で、太陽の光は優しく降り注ぐ。

…なんだここは。天国か。さもなくば桃源郷か。


さっきからずっと、
近くでウグイスが鳴いているよ。

続いて大福が振る舞われた。昨晩、会の方が1時過ぎまでかかって作ったという「そら豆大福」だ。

収穫自体が楽しかった、ってだけで十分満足なのに、お昼が付いた上におやつまで出ますか!


甘いのと、あんまり甘くないのの2種類あります。
あんまり甘くないのを選択。ものすごくおいしい。

さらに、「そら豆に塗って食べるとおいしいんですよ」と言って、クリームチーズを持ってきてくれた。これが「おお!」とビックリするくらい、そら豆と良く合う。非常においしかったのだが、食べるのに夢中で写真が一枚も残ってません。

他にも「焼きそら豆のサヤも食べられるんですよ。青臭いのが嫌いじゃなかったらどうぞ」と勧めてくれたり、いろんなことに感心してばっかりだった。

その後も飲んだり食べたり、他の参加者とお話ししたりで、のんびりしたひとときを過ごす。


その帽子のSって、そら豆の「S」かい?

腹も膨れたことだし「さあ、もうひと働きするか!」と
ばかりに、それぞれが再び畑へと散った。


 

 
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