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はっけんの水曜日
 
満員電車を有効活用したい
ラッシュ時にはホームだって分けられちゃうんだ。

毎日通勤で使っている電車がとてつもなく混んでいる。まったく身動きがとれずにぺしゃんこになって会社まで運ばれてくるのだ。降りたとたんにげっそりする。

しかしそんなの電車で通勤している人にとってはいとも普通のことで、ただただ耐えるしかないのかもしれない。だけどせっかくこれだけ圧力が加わるのだ、この巨大な力を何かに利用できないものかと、一度は考えるだろう。実行しないだけで。

安藤 昌教


さながら戦場だ

これが毎朝の通勤風景だ。今日は取材ということでいつもは降りない駅で降りて外から電車を眺めてみた。こうして視点を変えてみるとよくわかる。そうか、こんなことになっていたのか。そりゃ乗っている方はたいへんなわけだ。

もうまったく乗る余地はないはずなのだが、あとこれだけ乗りたい人がいる。  
わっしょいわっしょい。いや、もう無理でしょう。 しかしこの後ちゃんとドア付近のかたまりが車内に収まって発車したからすごい。
中はどうなっているかというと、こんなだ。僕のデジカメは起動するときレンズがにょきって3センチくらい出てくるのだが、その3センチすら出るときに人に当たる。写真は降りる際にザリガニみたいに背中で人をかき分けて進みながら撮ったもの。この「後ろ向き降り」は降りたい駅で降りるための最終手段として覚えておいて損は無いです。
降り際に撮影した貴重な写真。  
これだけ圧縮されるということはもちろん持ち物にも影響が出る。持っていたおにぎりは朝は確かに三角だったはずなのだが、お昼に出してみると角が取れて丸くなっていた。今日なんてまだましな方だ。中身が出てしまっている日も少なくない。ライター工藤さんのおにぎりはデジカメの凹形をしていた、と言っていた。満員電車に大切な物を持ち込んではいけない。
三角だったのに。  

ごらん頂いたとおり、毎日の通勤電車の車内に渦巻く圧縮力はただならないものなのだ。これを何かに生かすことはできないものだろうか。うちの子供なんかは電車が大好きで、ことあるごとに電車のおもちゃをほしがるのだが、一度あの満員電車の中心に入ったら二度と電車なんて見たくなくなるかもしれない。

しかしそれはなんとなくネガティブな利用法だ。もっとみんなが幸せになれるような解があるはずだ。

これを使おう。  

あの圧力を有効利用したい

そこで実際にあの電車内部の圧をプラスの方向へ利用するべくいろいろ試してみることにした。

まずは押し花、そしてしわくちゃの紙幣のしわ取り。地味なことが大好きだ。どちらも半紙ではさんで固定する。紙幣はしわが伸びやすいように少しだけ湿らせた後、半紙ではさんだ。

花があるのに地味。  
取ってきたばかりの花びらは元気いっぱいで半紙を持ち上げていた。こいつらこれから自分の身に起こることをまだ知らないのだ。大人になるってどういうことなのか教えてやる。
潰されるのに抵抗するかのような勢い。  

花びらとしわくちゃの紙幣を挟んだ半紙を、さらにクリアファイルで補強してからTシャツの背中に貼り付ける。ボディとなるTシャツがすでにしわくちゃなのは見えないことにしてほしい。あ、このしわくちゃのTシャツも満員電車でプレスされて伸びるかもしれないですね。

そしてさらにもうひとつ、圧といえばやっぱり漬け物だろう。

Tシャツのしわも伸びるだろうか。  
キュウリを一口大に切って。 塩を振ったら。
キュウリは満員電車で漬け物になるのか。成功したら電車漬けという名前で売り出したらいい。しかし心配なのは押しつぶされて中身がでないかということだ。車内にぼとぼとキュウリが落ちていたら事件なのか事故なのかわからない。
背中に貼る。  

装着

これらをTシャツに貼り付けたら外から見えないように上着を着る。隠さないことにはいくら込み合っていても僕の周りに空間ができてしまいそうだからだ。それはそれで悪くないが今回の趣旨からは外れる。

いつも着ているジャケットだと「装置」の一端が出てしまうのでカーディガンにした。素材がソフトなので圧を直に受けられそう。

安藤さん、後ろ、うしろ!  
明らかに出てる。 うむ、これならばオッケー。

 

この圧力利用服を着て満員電車に突入する。普段の通勤では賞味1時間弱の圧時間なのだが、今日はサービスということで座れるくらいに空いてくるまでずっと降りずに同じ路線を行ったり来たりすることにした。有効利用しようという希望があるので、いつもは不快なだけの押し合いへし合いにも今日は進んで突入することが出来る。プラスに解決しようとすることで過程の苦しさが薄れるのだ。これは精神的効果も期待できそうだ。

 

むっぎゅー。 ぺったーん。

満員電車の攻略法としては、入り口付近にとどまらない、これが鉄則。乗客はどうしても入り口付近に固まりやすい(降りたいし乗りたいので)。しかし今回は圧を受けることが任務なので、できるかぎり人の多い入り口付近であえて潰されることにした。

2時間近く乗っていたと思う。途中で辛くなって何度か上着を脱いで「満員なのに人が寄ってこない」という企画に変更しようかと思ったくらいだ。

どどどどどー。  

実験終了、そして結果は

やっと座れた時には僕の魂は車内に浮遊しているような気分だった。5回くらい足を踏まれて3回くらい強烈な肘打ちをくらった。若い男の子ににらまれもした(なにもしてないのに、だ)。ここまでは日ごろのさえない通勤風景と同じだ。しかし今日の僕はちょっと違うぞ、主に背中が。

はたして仕込んだ「装置」たちはどうなったのか。

ぐったりだ。  

じゃーん。

会社でカーディガンを脱ぐとなんとなくTシャツのしわが伸びていた。すでに効果てきめんではないか。

花はどうか、お札はどうか、そしてキュウリは!

Tシャツのしわも伸びている。  
キュウリはどうか。 見事に漬け物化している!
花は微妙。 お札も、やっぱりしわだらけ。

満員電車には漬け物だ

キュウリは適度に水分が出て柔らかく、見た目は一昼夜漬け込んだ浅漬けのようにも見える。いい感じだ。

しかしほかの押し花と札伸ばしに関してはできれば無かったことにしたい。満員電車はまっすぐ後ろから押されるだけでなく、前後左右からもみくちゃにされる。すると花やお札はしわが伸びるどころかよりいっそうぐちゃぐちゃになってしまうのだ。

このもみくちゃ効果をうまく利用したのが漬けものだ。もしかしたらパンをこねたり餃子の具を作ったりするのにも向いているかもしれない。しかしこれらはいささか重装備になる。手軽に満員電車の圧力を利用するのならば、漬物を漬けるといい、そういうことだ。


キュウリはお昼に食べたらちょうどよく漬かっていました。

満員電車を利用しよう

毎日片道1時間かけて通勤しているってことは、往復で2時間、月に40時間以上を潰れて過ごすということになるのだ。これだけの貴重な時間をただ「疲れた」だけでやり過ごしてしまうのはあまりにもったいなくないか。

満員電車の圧力を利用するのに適しているのは漬け物だった。朝野菜を刻んで塩振って背中のパックに入れておけば出社するころには食べ頃の漬け物になっているのだ。イッツオートマティック。お弁当の時間に一品増える。

こうやって自分をだましたり鼓舞したりしながら今週もがんばっていきたいと思っています。


 
 
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