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はっけんの水曜日
 
不安の分だけ貯金する


  得体のしれない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。というのは梶井基次郎の「檸檬(参照)」の冒頭である。最近の僕も似たような感じがする。なんだかどよーんとして、不安がどんどんたまっていくみたいな気がする。

 たまっていくのが不安じゃなくて、お金だったらいいのになあ、なんてばかげたことを思いついた。いや、本当にばかげているだろうか。不安をお金に変換すれば、今のぼくならばすぐにお金持ちになれそうだ。いいアイデアかもしれない。

(text by 藤原 浩一

不安をすべて小銭に

 不安になることはとってもいやなことだが、それでお金が貯まるとしたらどうだろう。不安になるのもそんなに嫌じゃなくなるんじゃないか。

 しかも、不安になったときはきっとお金への執着がなくなっているので、貯金もガンガンしやすい状況だと思われる。貯金のタイミングを逃さないように、まずは貯金箱を用意しよう。

 というわけで、近所の100円均一でいい貯金箱が売っていたので購入してきた。

口がハート

かわいいですぞー


 コイの形をした貯金箱だ。口の部分がハートになっている。こいつなら僕の不安を受け止められる深い懐を持っていそうだ。この貯金箱を持って一日生活してみようと思う。


財布に小銭を詰めるのも忘れずに

 

公園が不安

 はじめに公園にやってきた。

 僕は学生なので学校へ行かないとならないはずが、公園にやってきているのはどうなんだという話だが、それこそ不安の表れだと言っていい。ちゃりんちゃりん(小銭が貯金される音)


たまに遊んだ公園。あなたにはどう見えるだろうか。


 無意識的に足を運んだこの公園だが、ここは小学生の時にたまに遊んでいた場所だ。思えば、この公園にはいやなエピソードがいくつかある。

 この公園のブランコから足が抜けなくなったり、芝生で犬のフンを踏んでしまったり、待ち合わせの時間を間違えたり。


信用できない芝生

他ではあまり見ないブランコ


 言ってしまえばすべて自分の不注意なのだが、公園にいるだけであの時感じたいやな気持が蘇る。

 いやな記憶はいやな記憶なのだが、それとともに、今遊んでいる子供たちを見ると、「もうあんな風に楽しく遊べたりはしないだろうか」と思ったりする。

 なんだかさみしくて不安だ。そして不安とともに貯金箱には小銭が投入され続けるのである。ちゃりんちゃりん。


ちゃりーん

 

天気が不安

 さて公園で時間をつぶしすぎてもよくない。学校へ向かおう。そう思った道中、不安な光景を目にした。雲が不安だった。


あっちは晴れていたのに

行く先はすごく曇ってる…不安


 自宅の方は晴れているのに、電車に乗って向かう学校の方角はすごく曇っていたのである。

 こんなことで不安になるのか、と思われる方もおられるだろうが、今の僕はこんなことでも不安になってしまうのだ。お金に例えると10円分くらい、言い換えるとワンコイン不安である。ちゃりん。


駅ビルでは空きスペースでガーゼが売られていた。これも不安だ。


 

 
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