指圧師さんは、入ってくるとまず「今日はどの辺りが辛いですか?」と聞いてきた。いつもなら、首から肩にかけてと腰を、とお願いするところだが、今日は違う。テーブルの上に置いた団子状のうどん粉を指差して、
「僕の代わりにこのうどんを指圧してもらえますか?」
とお願いした。
キョトン。
そんな擬音がピッタリはまる表情で、じっとうどん粉を見つめている。
「あ、指圧師さんならきっとおいしいうどんを作ってくれると思いまして」
何の説明にもなっていない補足を加え、なんとか交渉が成立した。こういう時は詳しく説明しない方がいい。デイリーポータルで培ったノウハウである。 |