ホヤっていうと、よく小さく切ったやつを三杯酢なんかでちびちびと食べるけれど、これは一切れで口いっぱい。
新鮮なホヤはとても瑞々しくて柔らかく、まず海水を甘くしたような不思議な風味が口に広がる。そして次にくるのが苦みを含んだホヤ独特のえぐみ。
えぐみという言い方が不適切ならば、風味といってもいいかもしれないが、ここはあえてえぐみといいたい。このえぐみ、珍味好きの舌をまったくイヤではないえぐり方をしてくるのだ。どちらかというと「もっとえぐって!」と思ってしまうタイプのいいえぐみ。
そしてそのえぐみが落ち着くと、口の中にはホヤの甘みと旨みだけがしばらく残る。まさに味のジェットコースターロマンス。
あ、鳥肌立った。 |