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ちしきの金曜日
 
アナゴ釣りと私

記者会見のようなフラッシュを浴びた。サメなのに。

サメ!

釣れたのは、アナゴではなくサメの赤ちゃん。
小さい獲物だが、今までの人生で一番大きい魚なのは間違いない。ああ、なんか嬉しいよ。
でもこれ、食べられるのか?

みんながどっと集まってくる。サメに興味があるわけでなく、私が釣ったからだ。みんな笑顔だ。肩の荷が下りたのだろう。
ほんとうに気を遣わせてすみません。



ありがとう、私の針なんかにかかってくれて。飼いたくなりました。

 

アナゴのみ、さばくのが難しいのでやってくれる。

船上でアナゴをさばいてもらう

おじさんが、揺れる船上でお客さんの釣ったアナゴをさばいてくれる。なんというテクニック。

サメは普通は食べないとのこと。でも食べようと思えば食べられるらしく、これでどうにか食卓に花を添えられる。

おじさんが私のバケツにサメが入っているのを見て、「小さいからリリース…」と言いかけた瞬間、友人達がやや焦り気味に「いや、持って帰ります!」と口を揃えて言った。
友情に涙をこらえるのが大変な一日だ。

 

アナゴパーティー

釣果は玉置さんの10匹がトップ。

翌日、魚介好きの友人を集め、玉置さん宅でアナゴをむさぼり食う会が行われた。
次から次へと並ぶアナゴ料理の洪水にくらくらする!


シェフはもちろん玉置さん。

白焼き。味の濃さに全員びっくり。アナゴってこんなに美味しかったのかー。

わさび醤油で食べると失神しそうなおいしさ。
なにこれなにこれ!?を連発する友人。「今まで食べてたアナゴは何だったの」

煮アナゴ。あえて薄味で。うまい、うますぎる。

アナゴといえば天ぷら。味が濃いので何もつけないでも食べられる。

骨をカリカリに揚げたもの。これ主食でもいいや。

カシラ。ざくざくしてておいしい。なんでどうやっても美味しいんだ。

なにこれなにこれ

「びっくりするよ」という言葉通り、想像をはるかに上回るおいしさ。調味料がいらないくらいに味がする魚なんだな、アナゴって。

面白かったのは、その場にいた女子は一口かじってはみんな口を押さえる。オエッとなっているのではない。思わず口を押さえてしまう感動的な味なのだ。
そして次いで出てくる言葉は「なにこれなにこれ」。

 

サメの出番だ

アナゴの凶暴なおいしさに酔いしれた頃、玉置さんがサメを焼き始めた。他の乗客が置いていったサメももらってきたので、全部で3匹ある。

はたしてどんな味なんだろう?


普通は食べないサメを下ごしらえして焼いてくれる友人って素晴らしいよ。
初めて自分で釣った魚を食べた。いける!


これがおいてある居酒屋があると聞いたら絶対行くレベル。

湯通しして皮を剥き、塩を振って脱水シートに包んで冷蔵庫で一夜干しをしたらしい。
歯ごたえがあって、味は淡泊だけれど上品な白身魚を食べているようでおいしい。みんなの反応も上々で、日本酒に合うと言われた。なんかうれしい。サメ釣ったの自分だけだし。

でも、やっぱりアナゴが釣りたかったんだよ・・・。

釣りに心を開けない

実は、私の隣で釣っていた釣り船屋のおじさんが、私のあまりの釣れなさに見かねたようだった。そして帰り際にこっそりアナゴを10匹くれたのだ。私だけに。
友人以外にまで気を遣わせてしまった。こちらとしてはそんな気は全くないのに。(でもそのおかげで沢山のアナゴを食べられたし、とても感謝しているのだけど)

夏になり、他の釣り好きの友人からも「釣りしたいって言ってたよね」とお誘いをもらうのだが、へそを曲げて断ってしまった。なんという器の小さい人間なんだ私は。

もう釣りはしばらくしない。…と思っていたが、多分また行ってしまうんだろうな。釣れないのもまた楽しいのかもしれない。

そんな目で見つめられても何もあげられないんだ。

 
 
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