まずは麦

お酒に関する法律は厳しいものがあり「え、自分で作った梅酒って人に飲ませられないの？」などビックリすることが多いが、今回作るのはノンアルコール飲料である。誰に気兼ねをすることなく、堂々と胸を張れる実験であることを、まずは明言させていただきたい。

アルコール分ゼロということは、面倒な発酵という作業とは無縁ということでもある。私と発酵との折り合いが悪いのは、過去の記事をお読みになった方ならば納得いただけるのではないだろうか。

とにかく、発酵させたらダメなのだ。法律違反なのだ。そのへんの詳細は、過去に当サイトで安藤さんが書いた「発泡酒を作ろう」という記事に詳しい。

おもわず鬼の形相になってしまったくらい、恐ろしく苦い液体が出来た。でもビールは苦いと相場が決まっている。うん。これはいい。かなりの自信作だ。

これを炭酸水で割るだけで「第５のビール」くらいにはなるんじゃないだろうか。

でもこれを炭酸で割ったら、せっかくの苦みが薄まってしまうことも考えられる。

そこで登場するのがコチラ。

かなりイイ線いってるんじゃないか？

でも苦さの再現には少々心許ない。もっと強力な助っ人が必要なんじゃないだろうか。苦いと言えば…

正露丸がどういう作用をしてくれるのか全く想像もつかないが、子どもの頃に舐めさせてもらったビールの印象はとにかく「苦い」だった。もしかしたら、もしかする。

さあ、準備は整った。スーパーで買った発泡水の大ビンと市販の麦茶、さらに自信作の凍らせた濃縮麦汁と胃腸薬。果たしてミラクルは起こるのだろうか。

外で飲もう

ビールの試飲を一人室内で…というのはあまりに虚しく寂しい作業だ。せっかくの夏だし、やっぱり青空の下、グビグビと飲むのが似つかわしい。

そこで、すべての材料をカバンに詰め、近所の公園へと自転車で向かった。ご近所の当サイトライター陣に、協力という名の毒味をしてもらおう、という趣向である。

招集をかけたのは、月曜ライターの古賀さんと、火曜ライターの大北さんだ。

古賀さんの自転車にはスタンドがない。「柵がないところでは、いっつも乗り捨てたみたいになるんですよー」とのことだが、これはすごい。

それにしても休日の昼間に自転車で集合！ という行為は子どもの頃以来のことであり、飲む前からテンションが妙に上がってしまう。

芝生の上にシートを敷き、そこでさっそく試飲会を始めることになった。

保冷剤をたっぷり入れた袋から、用意してきた飲み物やら胃腸薬を次々に取り出す。もちろん、ビールといえばつまみも欠かせない。

自信作の濃縮麦汁がなかなか溶けてくれないので、まずは「市販の麦茶と炭酸水」という組み合わせからスタートすることにした。

まずは御挨拶代わりの一杯だが、なんとミラクルが起きた。起きてしまったのだ。