●そうなりたい自分に向かって行動できる者でありたい
続いては暴風雨体験室だ。ここでは最大で毎秒30mの暴風雨を体験できるらしい。
ガラスの向こうにある体験室。写真右奥にある大きなファンから、ものすごい勢いの風が発生する仕組みになっているようだ。これはすごそう。
部屋に張ってある掲示には、風速とそれによって起きる現象とが解説されていた。30m/秒では、雨戸がはずれて、家が倒れることもあるとのこと。
思っていたよりすごいことになっている。大丈夫だろうか。
体験室前にはこんな表示もあった。どうやら通常は暴風雨ではなく、暴風のみの体験であるらしい。それはまあいいだろう、あの写真の状況を再現するには、風さえあれば必要十分だからだ。
「小学生以上」という条件は満たしている。気になったのは「おひとりさま一回とさせていただきます」との一文。
そうか、うまく写真を再現できなかったからと言って、何度も体験することはできないのである。あくまで一回で決めなければならないのだ。さあ、いよいよ体験だ。
スペースの関係で、体験室内にいる体験者を正面から直接見ることは難しい。しかしそこはよくできていて、室内にあるカメラからの映像がモニタに映し出されるようになっていた。
写真内、右の赤丸の私が、モニタ内の赤丸の部分に写っている。これなら室外からでも状況がよくわかる。
ポジション的にもよい場所に立つことができた。他の体験者を見てもわかるが、特にレインコートの貸し出しなどはしていないようだ。まあ風だけだったら本来必要ないわけだが、今回は目的が目的なので自前で準備してきてよかったと思う。
そろそろ暴風体験が始まるぞ、フードをしっかりセットして、あの感じを出せるような準備は整った。
さあ、暴風開始だ。うおお…。
だんだん風が強くなっていく。室内の表示で数値が上がっていくのがわかるのだが、もう風速15m/秒くらいで、かなりの恐ろしさを感じるくらいの強さだ。
バサバサなびくヤッケ。あとから外にいた妻から聞いたのだが、室外で見ていた子供がずっと「あの黒い人、すごい!」と連呼していたらしい。
「黒い人」とは私のことだろう。子供をも興奮させる暴風。さあ、さらに強くなっていく。
ついにマックスの風速、30m/秒に到達。すごい、本当にすごい。
しっかり棒につかまり、踏ん張って立っていないと飛ばされてしまいそうな威力。写真はその状況を写したモニターの様子だ。よし、これはどうだ!
おお、これはかなりいい感じだと言っていいだろう。
ディティールはともかく、大まかなところではかなりの再現性だと思う。
パンフレットの写真を見たときは、「どうしてこんな決定的な瞬間の一枚を選んで載せたのだろう」と思っていた。しかし、実際にやってみてわかったのは、この状況は別に決定的な瞬間ではない、ということだ。
風が吹いている間、ずっとこんな感じだった自分。意図的に写真の真似をできるような状況ではないくらいの強風だったのだが、自然に写真と同じような様子になった。
だんだん風が弱まり、めくれていたフードも戻っていく。この時点で体験室内にいる私は、まだ自分の状況を確認できていなかったわけだが、それでも「これはうまくできたはず」という確信があった。
余裕はないにしろ、フードの状況には手ごたえがあったからだ。実際、撮影された写真を確認して満足したのである。
本気ですごかった暴風体験。駅で見つけたパンフレットの状況を再現するということを目的として訪れ、それを達成したわけだが、それよりも衝撃的だったのは暴風のものすごい威力だった。
実際に自然災害で暴風に遭ったときは、フードのめくれ具合をどうこう言ってる場合ではない。安全を確保する必要性が身にしみてわかった。
そんな本物の状況に遭わないとも限らない、これからの季節。フードのめくれ具合のことはもういいから、ここで体験したことを生かして行動したいと思う。