デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ひらめきの月曜日
 
東京都の最低峰登山めぐり
 

 東京というとあまり山というイメージがないかもしれないが、それでも西部には登山も楽しめる有名な山がいくつもある。それほど高くないけれども、高尾山はミシュランの三つ星観光地となって話題になった。

 最高峰は雲取山で、標高は2017m。なかなかの高山と言っていいだろう。では逆に、最低峰はどこだろうか。

 東京で最も低い山。最高峰に行く気合いはないけれど、最低峰なら行ってみたい。最低!という響きにも勝手に共感を覚える。

 調べてみたところ、なかなかおもしろそうではないか。そういうわけで、実際に行ってきました。

小野法師丸



●最低峰であり最高峰でもある愛宕山

  東京都の最低峰。いきなり答えを言ってしまおう。それは、港区にある愛宕山である。

 愛宕山、調べてみると同じ名前の山は全国にかなりたくさんある。本家らしき愛宕山は京都府にあり、標高は924mとなかなかに高い山だ。


ウェブマスター林さんも訪れた愛宕トンネル
その脇にある登山道の目印

 それに対し、東京の愛宕山の標高は25.7m。京都の愛宕山よりずっと低いが、だからこそ気軽に訪れることもできる。

 ちなみに、日本の最低峰と言われているのは大阪の天保山。標高は4.53mとのことなので、最低度としては愛宕山は結構負けていることになる。


登山開始
登山の雰囲気をかもす立て札

 日本最低には遠い愛宕山。しかし、天保山が人造の山であるのに対して、愛宕山はあくまで自然の山という特徴がある。これは最低度を考えるときにアドバンテージと考えてもいいだろう。

 さて、そんな愛宕山に登山開始。とても低い山なので登山気分が出るか心配していたのだが、「ガケ地危険」を呼びかける立て札もあって、山っぽさが出てきた。

 立て札の最後に「社務所」とあるのは、山が神社になっているからだ。山頂にあるそれを目指して登っていこう。


階段メインの登山道
にょろにょろと登っていきます

 しっかりと手すりまで作られた階段が登山道のメイン。いわゆる自然の登山という感じとは趣きが違うが、木が茂っていたりしてそこそこの登山感じ味わうことはできる。

 都会の思いっきりど真ん中にあることからしても、この雰囲気は味わい深い。セミの鳴き声のでかさもそう感じさせる。


最後の階段を登って…
山頂到着です

 登り始めて5分もかかっていないと思うのだが、山頂に到着。山頂征服、という感覚はない。

 先ほども書いたとおり、愛宕山は山頂が神社になっている。歴史を感じさせる空気が漂い、訪れたときには人もほとんどいなかったこともあって、とても厳かだった。


これはいい雰囲気だ

最低峰ということでやってきたわけだが、語感とはかけ離れた神妙な雰囲気。素直にいいところだなと感じさせられて、心を洗われたような気がする自分に驚く。


「あら〜、素敵じゃない〜」
「今度旦那とデートしようかしら〜」

 予想外のいい感じに素直に打ちのめされ、写真におばちゃん風のキャプションをつけて照れ隠ししてみたが、あんまりうまくいってない気がする。すいませんでした、と訳もなく謝りたくなる。


うっかり癒されました

 冒頭の見出しに「最低峰であり最高峰でもある愛宕山」と書いた。それはある意味で真実なのだ。というのは、東京都内の最低峰であるこの愛宕山なのだが、それと同時に「東京23区内の自然の山」としては、最高峰でもあるのだ。


最低峰ゆえ、山頂から見えるビルの方がずっと高い

 ちなみに、東京23区内で全ての山を含めた最高峰は、新宿区にある箱根山(参考記事)。こちらは人造の山なので、自然の山としては愛宕山が最高峰になるのだ。

 あたりまえだが、最高とか最低とかいうのは基準によっていろいろ変わる。後述するが、そもそも「山」という認定そのものにも意外と曖昧なことが言えるようだ。


ありがたい石との表示
その微妙な形状

 全体的に隙のない厳かさが漂う中、気になるものを見つけた。本社の前に置いてある「招き石」だ。立て札の説明の言葉遣いも丁寧で逆に気になる。

 石本体は、なんとも言えない…としか言いようのないような形。確かに御利益的な何かがありそうではある。


境内に生えてたキノコがでかい

 ここ山頂は神社になっているわけだが、そう言えば鳥居をくぐっていなかった。どうやら私が登ってきた道はどちらかという裏道のようなところだったようだ。

 お社の正面には大きな鳥居がある。それを反対からくぐってのぞいてみると…。


こっちが正面だ
のわー!

 ものすごく急な石段になっていた。これはびびる。

 こちらから来ればくねくねした階段を通ることなく、一気に山頂に来られたわけだ。もちろん裏道ならではの登山らしさもあってよかったわけだが、下山はこちらからしてみよう。


ひょー
うひょー

 とても普通のペースでは降りられない階段。確かに山頂直通というからには、これくらいのハードさがちょうどよいようにも思えて、怖いながらも楽しい。


一気感がよくわかる一枚
でもエレベータもあるよ

 自分が降りた後、あとから登っていくグループの様子を見て、その急な感じが客観的によくわかった。ただ、帰り道にあとからわかったのだが、山頂まで行けるエレベーターもあるではないか。

 楽ちんコースはこちらをどうぞ。でも石段でも裏道でもいいので、できたら自分の足で登ることをおすすめしたい。

 さて、この記事は「東京都内の最低峰登山めぐり」というタイトルなのだが、言ってることに矛盾があるのがわかるだろうか。そしてそれはどういうことなのか。


 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.