50分の40が現場です
エレベーターのホールランタンを作る工程は大まかにいうと…
A.設計 (意匠図や建築図面をを参考に作図)
B.板金でケースを作る
C.板金でカバーを作る
D.アクリルで点灯するレンズを作る
E.ランプや配線を組み立てる
F.B〜Eを組み立てる
G.最後に検査を行う
という流れである。50人弱の会社のうち、直接の制作に関わっているのが大多数の40人ぐらい。うち、組立グループが一番人が多くて15人だ。
アクリルは乳白色のものがいいらしい
それぞれの過程が興味深いが、まずはアクリルでレンズを作る行程を見ていこうと思う。
アクリルはホールランタンの顔であり、このつるつる感がエレベーターの先進性を象徴するものだと思うのだ。(この辺は今村さんの言葉ではなく僕が勝手に書き加えている)
そんなアクリルの作業工程を見ないわけにはいかない。
アクリルというのはもともとは無色透明のものだが、ホールランタンになるものはあらかじめ色をつけた乳白色のものが多いのだそう。この理由を今村さん、お願いします。
今村 はい。光をあてると、少し濁っている色のほうがきれいに明かりが出るんです。無色透明のものは点灯具合にむらがあるんですよ(端っこのほうが点灯していないなど)。
へー。明かりがない状態で見ると透明なほうがきれいなんですけどね。
まずはアクリルを機械でがりがりとおおまかに削っていきます。うーん、いかにも工場見学っぽくなってきましたね。ここは機械任せ。音はうるさいし破片は飛び散るけど、まあ僕にもできるんじゃないでしょうか。難しいのはその後の微調整。
まずは工具で人間の手である程度そろえていきます。ここでもうすでにある程度完成しているのですが、それをやすりでこつこつ削っていくわけです。
これが熟練の技が必要なのですね。1日にどれぐらいの数のアクリルを作るのですか?
削り担当の女性 うーん、まあ忙しいときと暇なときで差はあるけど、ざっと100個ってとこじゃないかしら。何、あんたも磨きたいの? コツは、そうねー、忍耐じゃないかしら。とにかく根気よく磨き続けること。あとは力加減ですね。縦とか横とか同じ向きにばっかり磨いちゃダメ。やっぱり円を描くように磨かないとね。
だそうです。ちなみに、設計担当の今村さんでも、この仕上げの工程はできないのだとか。うーん、磨くだけでも奥は深いんですねー。
中国を視野に入れる
今村 最近はこういったものを中国にも出荷しているんです。中国は今や高層ビルが増えてエレベーターの需要も増えてますよね。今、島田電機では中国に工場を稼働させるという計画があるんですよ。
世界の工場こと、中国で作ればいいじゃん、とお思いのかたもいるかもしれませんが、こういった技術はまだ日本のほうが何歩か先をいっていて、中国の業者には日本のメーカーほど良いものは作れないのだとか。ジャパン・アズ・ナンバーワンなわけですな。
今村 次はこれらのアクリルと、電球を入れる箱の役割をする板金の行程を見ていきましょう。 |